シングルママ愛子 vol.116. 一瞬のインスピレーション。
「もしかしてこれって…!」
実際、粕谷恵美子も全くの一瞬のインスピレーションだった。
まさか自分がこんな事を感じるとは思ってもいなかったのである。
「でも…有り得なくはない。」
と、恵美子がそう感じたのが、川岸からの電話を部長の立花建夫が取り、
川岸の奥さんが亡くなってしまったと周知された時。
瞬間的に恵美子の頭の中に「あっ、愛さん。」
と、言う愛子の顔が思い浮かんだ。
しかも、それがいとも自然に…。
そのインスピレーションは瞬く間に、
恵美子の頭の中で膨らんで行ったのだった。
そしてあの一言。佐伯の…、
「恵美ちゃん…誰か紹介してやんなきゃ…。」
この佐伯の一言でもう恵美子のイメージは固まったのだった。
そしてそれはその日の内に友恵と麻衣子にも伝わり…。
そして愛子自身からしても、自分のあの一言に対しての反応…。
「愛さんも自分で気付いている。」
そう恵美子自身が確信したのである。
もう恵美子自身、川岸の奥さんが亡くなったからと言って、
その哀しみをいつまでも抱いていると言う気持ちからは解き放たれていた。
そして、それは愛子も同じであった。
「これで…もう…。」
愛子は…。