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シングルママ愛子 vol.106. 解れた体…。
そんなに大掛かりな葬儀でもなく、
どちらかと言えば、こじんまりとした葬儀の中で、
基子には常に寄り添いながら、入院生活にも習慣のように、
基子の人生の最後まで基子の傍に居続けた川岸。
そんな川岸の時に震える背中を見て、
そして赤い目を見て、愛子はただ、そんな川岸を見守る事しかできなかった。
そしてそんな川岸の肩をしっかりと叩き、
そして労わってくれたのが、部長の立花。
そして先輩格の古谷や同僚の佐伯に鈴木と言った同じ部署の面々。
そしてそんな男性陣に混じって、
優しい声で労わってくれたのが粕谷に野崎、
そして姿麻衣子と言うように、部署のメンバーが一同に介して、
葬儀の中での川岸を励まし、勇気づけてもくれたのだった。
もちろん、愛子もそのメンバーとは顔見知りでもあり。
以前の栄二の葬儀でも手伝ってくれた事もあり、
お互いに基子の死を悼んだのであった。
男だからと言って、泣かずにはいられない。
葬儀の後で、気の合う同僚の前で、酒を酌み交わしながら、
一気に気が解れたのであろう。
川岸は…、涙が止まらなかった。