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シングルママ愛子 vol.101. 涙にくれる父と母。
琴美の頭を撫でながらにっこりと微笑み、
それでも部屋の中に設えられている白い姿のそれを見ながら、
目を赤らめて鼻を啜る香苗。
「まさか…こんな日が来るとはな…。あの日…、デパートで突然倒れて病院に運ばれ…急性骨髄性白血病と聞いた時には…、もう…脳天をかち割られた感じだった。基子が…まさか…、と思ったよ。…覚悟は決めていた…。だけど…、望みがあれば…、と言う感じでもいたんだ。…が…な…。」
白い布を捲り、基子の白く変わり果てた顔を見ながら、宗雄は話す。
目を閉じて手を合わせ、そして目を開けたときの濡れた瞼。
それと同様に目の下に白いハンカチを放せない母の香苗。
「ごめんね~基子~あんたの傍にいてやれなくって…。本当にごめん。」
川岸が日下部の両親に基子の訃報を電話で伝えたと言うのは留守録だったのだ。
母の香苗が出掛け先から自宅に帰って、
基子の訃報を知ったのだった。
涙にくれる父と母。