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シングルママ愛子 vol.100. 兄弟姉妹もいないから…。
葬儀社の川岸家の控室では川岸と担当係、
そして愛子も交わり打ち合わせが続けられていた。
そこへドアが開き、基子の両親が顔を現わした。
「あら~愛子ちゃん。来てくれてたのね。ありがとう。」
と、基子の母親の日下部香苗が開口一番で口にした。
それに伴って、
「おぅ、おぅ、愛ちゃん、すまないね~わざわざ…。」
と、日下部宗雄も愛子に挨拶をして、
あらためて新谷栄二の追悼を愛子に告げる。
そんな基子の両親に深々と頭を下げ、栄二の際の厚情にお礼をして、
今回は自分もお手伝いすると両親に提案した。
「わざわざありがとう、申し訳ない。お願いします」
香苗は愛子の姿勢に手を合わせて頭を下げた。
「そんな、おばさん、頭をあげて下さい。モコは私の妹同然なんだから…。」
「そう言ってくれると本当に嬉しいよ、あの子には兄弟姉妹もいないから…。心細くってねぇ。」
そんな2人の話を聞きながら、宗雄も、
「愛ちゃん、すまない。私からもお願いするよ。」
そして川岸を見て、
「利さん、ありがとな、感謝するよ。」