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シングルママ愛子 vol.1. 当たり前の家族。
ごく普通の、当たり前の家族だったんです。
主人と私、小学2年の娘がひとり。
夜の食卓で…。
「…ん…、何、それじゃあ琴、ペンギンさん役で、歩いていて、つまずいて転んじゃったんだ。ハハハ、そりゃ、とんでもない目にあったな、ハハハ!」
「…ん、もう、パパまで笑うんだ。」
「でも、見ているお母さんたち、転んでもしっかりとお芝居出来て良かった~って、褒めてたよ~!」
「そうなのか、じゃあ良かったじゃん。ハハ。」
翌朝…。
「あなた…ハイ、これ…。」
「…ん…。じゃ行ってくる。…おっと、忘れちゃ…チュッ!んん…、相変わらず良い匂いだ。」
「バカ、何言ってんの。フフ…。」
午前中、洗濯や掃除に追われ…。
勤務先では、
「課長、次はコッチの現場です。今少し作業が…。」
「ああ…、それはでも、手配済み…じゃないの…。そうそう、それで良いんだ。」
工事現場を歩き回りながら…。
「課長、午後3時くらいには何とか…。」
「分かった、じゃあ、今のここは人…回さなきゃ間に合わない…。」
その時、ビルに材料のアングルをクレーンで運んでいた時に、
固定していたはずのアングルが…。