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「それにしても先生はすごいですね。今日もまた、事件を解決してしまった。」


 微笑みをたたえた女が部屋から連れ出されたと入れ違いに、黒いスーツに身を包んだ男が部屋に入ってきた。


「東雲の自白通り、杏奈さんは彼女の下宿先のアパートの一室にいました。変わり果てた姿で。」


 称賛の言葉とは裏腹に、その瞳は鋭く白衣の男を見つめる。


「李先生のそのオッドアイに見つめられると、精神病の被疑者はみんな催眠にかかったように自分の罪をペラペラ話しちゃうだなんて。先生は精神科医よりももっと他に向いてる仕事があるんじゃないかって思いますよ。」


 李先生と呼ばれた男、精神科医の李は白衣を翻しながら椅子から立ち上がり、自分よりも背の低い黒スーツの刑事の視線を受け止めて肩をすくめた。


「嫌だなあ、人を化け物みたいに。僕はただ、カウンセリングをしているだけだよ。その過程で被疑者が罪を勝手に語ってくれるだけのハナシさ。」


「しかも、話し終わった犯人は皆、希望を見たかのような幸せそうな表情をしている。一体、先生の瞳を見た者には何が見えているんですかね。」


「さあ、僕にはわからないけれど……ただ、



 見たかった未来、が見えてるんじゃないのかな。」


 今はもう塀の向こうに進んでいく見えない彼女の後姿に視線を向ける。親友との幸福なやり直しの未来、もうあるはずのない未来に向かって歩み始めた彼女を。

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