表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

うろたえる墓守

作者: 京本葉一
掲載日:2020/06/17

 ああ、道はここまでだ。ここから先は、この沼のなかを進まないといけない。深いところで腰くらいだ。歩いて渡れないことはないが、嬢ちゃんには厳しいだろうな。沼から出たときには絶叫ものだ……ああ、もちろん毒蛇もいる。


 沼を迂回? できないことはないが危険だな。斜面を転げ落ちるのも怖いが、ダニも怖い。くいつかれたら外科手術でないと取れないダニもいるからな。運が悪ければ、病原菌や寄生虫のおまけがつく。


 わかったかい? そう、ヒルに血を吸われたこともない嬢ちゃんは、ここでリタイヤだ。あきらめて下山するといい。奥にいっても古い墓があるだけで、ばえる写真とやらは望めねえよ。

 なに、ちがう? 写真じゃない? まあとりあえず歩いてログハウスまで戻ろうや。駅までは車でおくってやる。俺も買い出しにでたいからな。そのついでだ。


 ああ、俺は墓守だ。こうみえても、このあたりの地主でな。先祖代々、山の奥にある古い墓を管理している。まあ見張り番だな。むやみに人が足を踏み入れないようにしているのさ。虫やら獣やら、いろいろと危険だからな……ああ、墓を守るついでに、人間の命も守ってるってことだ。

 もっとも、自殺志願者ですらほとんど近寄らない土地柄、人間を追い払った経験なんて……いや、先月も、嬢ちゃんみたいな若い子がきてたな。



 ああ、疲れたのなら休んでいくといい。そこの椅子にでも座ってくれ。うまいタンポポコーヒーでもいれてやろう。心配するな、甘いものもある……おいおい、山を歩いたんだぞ。ハイカロリーな激甘に決まってるだろうが。


 それで、なんで嬢ちゃんはこの山に入ろうと思ったんだ? 占い? いや画面をみせられてもな……なんだこの、アニメの女の子は? ボイスロイド? そのボイスロイドとやらが、占い結果を読み上げると……ほう、そんなに当たるのかい。


 ようするに、勝手に送られてきた占いでなにもかもうまくいっていたのに、占いメッセージが途絶えたせいでなにをどうしていいのかわからなくなった。で、追いつめられたところにアニメ占い師がふたたびあらわれて、一生うまくいく生声メッセージを受け取りたければ、この山の遺跡までくるようにいわれたと…………あれ、これ封印だいじょうぶか?


 よし、お互い、ちょっと落ち着こうか。


 いやいや、墓守だよ? 奥にあるのは古い墓だから。そんな遺跡とかじゃないから。墓地で生声メッセージとか、聞こえちゃだめだろう? なに呼び寄せられてるの? というかなんで呼び寄せてる? これほんと封印だいじょうぶなのか? だいぶ緩んでないかこれ?


 いや、先月も嬢ちゃんみたいな子が、位置情報RPGとかいうゲームのために入ろうとしたんだが……そう、なんたらGOとかいうゲームのためにな。もしかしてあれも、運営会社のミスじゃなかったのか? というか、太古の魔物のくせに、なんでおまえ、そんなにITを活用してるんだよ……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ