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7話「冒険者登録試験!?」

 グランドドラゴンであるヒナの背中に乗って揺られながら、『魔族の森』を抜け、かつてウルフが通っていた冒険者ギルドに向かっていた。


 あと、もう少しで冒険者ギルドに到着するところでーーー


 「あ、名前考えなきゃ」


 ウルフは思い出したかのように、言葉を出していく。


 そもそも、ウルフは死のうとして、地元を離れて『魔族の森』へと足を踏み入れた。だから、世間では、ウルフは行方不明……………もしくは死亡扱いになっているかもしれない。


 そんなウルフが、ケロッとした表情で地元の冒険者ギルドに戻ったら当然のように騒ぎになること間違いなしだ。リーゼの件もあるし、それだけは控えたかった。


 だからこそ、偽名を考えなければならない。今の時代、親につけてもらった名前を捨て、新しい名で生きていくことはさほど珍しくはなかった。


 偽名さえ考えれば、あとは問題ないだろう。今のウルフの姿を見て、その人が4年前に行方知らずとなったウルフだなんて気付くことはないはずだ。それほど、ウルフは見違えた。


 そもそも、ウルフという存在が冒険者ギルド内で覚えられているのかすら、疑問に残る。


 きっと………かつて共に過ごしてきた天才少女、クリスも忘れているはずた。もし、生きていれば今頃は有名な冒険者になっていることだろう。


 「んー、どうしよっかなー。」


 ウルフは腕を組んで、偽名を考える。しっくりと来るのが中々、思い浮かばなかったが、しばらくした後で1つの名を思いついた。



 「リーフ………。うん、リーフにしよう!!」



 リーフ。簡単に言えば、彼の師匠であるリーゼとウルフの名前を合わせただけなのだが、ウルフにとっては魅力的な名前であった。


 立派な偽名を思い付いたところで、ウルフは冒険者ギルドがある、かつてウルフが暮らしていた町、『ユマニ街』に辿り着いた。


 「4年ぶりだなぁ………。全く変わってないや」


 久々に地元の街の風景を堪能するウルフ。4年という月日が経過したのにも関わらず、何も変わっていない景色に懐かしさを感じる。


 「とりあえず、ヒナを龍小屋に連れてかなきゃ」


 ウルフはひとまず、ヒナから降りて、手綱を優しく引っ張りながらヒナと並んでユマニ街を歩く。


 龍小屋とは、名称通り地龍などを預けることかできる施設である。基本的に低価格なので、商人とかはよく愛用している場所だ。


 入口から1番近くにあった龍小屋を見つけ、中に入る。


 「すみませーん。地龍を1匹、預けてもらいたいんですけどー。」


 「はーい。少々お待ちをー。」


 店内に入り、声をかけると奥からは1人の女性が姿を現した。その女性は繋ぎを着て、頭に布を巻き付けている中々可愛らしい印象がある。


 「いらっしゃいませ。我が店『龍の寝床』へようこそ。私はここの店主やってるナツミといいます!!」


 ナツミと名乗った女性はペコッと頭を下げたあと、ヒナの方に視線を移す。


 「立派なグランドドラゴンですね。しかも、貴方様にしっかりと懐いている。ここまで、主人に懐いているグランドドラゴンは初めて見ましたよ。」


 「見ただけで分かるんですか?」


 「はい。私は物心が着く前から地龍が周りにいる環境で育ってきましたから。目が合っただけで、地龍の気持ちが分かるんです。……………この子の名前を教えて貰ってもいいですか?」


 「ヒナっていいます。」


 「ヒナちゃん………ですか。いい名前ですね。では、ヒナちゃんを当店でお預かりさせていただくという形でよろしいですかね?」


 「はい。よろしくお願いします。」


 「分かりました。では、少し書類等を書いて貰いたいのでお時間いいですか?」


 「はい。」


 ナツミはそう言って、棚から何枚かの紙と羽筆を取り出してウルフに差し出す。


 「では、こちらの方に名前とかご記入お願いします。」


 「分かりました。」


 差し出された羽筆を手にして、ウルフは書類の項目に記入し始める。


 「因みに、この街には何しに?やっぱり、商売関係ですか?」


 記入していると、ナツミはウルフに話しかける。地龍を連れてるからか、彼女はウルフを商人か何かだと思っているようだ。


 「いえ、別に僕は商人とかではないです。この街に来た理由は冒険者になりに来ました。」


 「え!?」


 冒険者という単語を聞いて、ナツミは驚いたように言葉を出す。そこまで驚くことではないと、ウルフは思っていが


 「時間………大丈夫なんですか?」


 「時間?」


 ウルフは意味がわからないと言わんばかりに右に首を傾げる。


 「試験ですよ、試験!!」


 「試験?何ですか、それは。」


 今度は左に首を傾げるウルフ。


 「試験を知らないんですか!?」


 それを聞いて、席を立ち上がるナツミ。何をそこまで驚いているのだろうか。


 「冒険者に登録するための試験ですよ!!」


 「え!?何ですか、それ!!」


 冒険者に登録するための試験………。そんなの4年前は無かったはずだ。普通に受付の人に声をかけて、登録金さえ支払えば冒険者になれたのだから。


 「2年前ぐらい前に、冒険者ギルドが登録するための試験を導入したんです。」


 ナツミ曰く、『ユマニ街』の冒険者の質が年々に弱くなっていることから、腕のある冒険者、または成長の見込みのある冒険者を見定めるために試験を導入したという。


 試験を導入したことにより、成果は出ているらしく、今では腕のある冒険者達が続出し、高ランク冒険者も年々に増えているんだとか。


 しかも、登録する年齢にも訂正が入り、登録するには13歳からだという決まりも出来たらしい。


 「そして、その試験は今日の12時からなんですよ!!」


 「は!?」


 ウルフは咄嗟に、店に設置されている時計を目にする。時間は11時45分。あと、15分ほどしかなかった。


 「因みに………今日を逃したら………」


 「確か、登録試験は年に4回のはずなので、今日を逃したら3ヶ月後になっちゃいますね。」


 「そんなの待ってられるかよ!!」


 ウルフは急いで書類を記入する。そして、懐からお金の入っている小袋を取り出して、中からお金を出す。


 「これで、よろしくお願いします!!」


 「はい、では確かに。では、ヒナちゃんをーーー」


 「頼みます!!それじゃあ、僕はひとまずこれで!!」


 ナツミの言葉を遮るようにウルフはそう言って、ペコリと頭を下げたあと、大急ぎで店へと出ていく。その姿を見て、ナツミは苦笑いを、浮かべていた。


 現在、時間は11時50分。冒険者ギルドまでの距離を考えると全力ダッシュして本当にギリギリ間に合うかどうかだった。




 「うおぉぉぉおおぉおおおおおおお!!!!」




 自慢の無限体力を駆使して、ウルフは全力ダッシュでなんとか1分前にギルドに辿り着いて受付に声をかけるのであった。



 「すみません!!登録試験、受けたいです!!」


面白いと思ったらブクマ・感想・レビューよろしくお願いします<(_ _)>


今後の執筆の励みとなります!!

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