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5話「修行開始!そして、彼女は………」

 ーーーモミュ


 「んっ………」


 ーーーモミュ


 「んんっ………」


 ーーーモミュ、モミュ


 「んっ………あっ………」


 ーーーモミュ、モミュ、モミュ


 「そこは………んっ………ダメ………。」


 ウルフは睡眠から覚醒する直前に、何やらマシュマロのような柔らかい感触を右手で感じていた。それに、その柔らかい感触を感じる度に、色っぽい声も聞こえてくる。


 これは、一体何なのだろうか。


 そう思いながら、ウルフはゆっくりと瞼を上げて目を覚ます。


 すると、目の前にはーーー


 「やぁ………少年。中々………積極的じゃないか。」


 顔を恥じるように赤くして、呼吸が荒くなっているリーゼの色っぽい顔がウルフの顔の近くにあり、そんな彼女の豊富な胸をウルフの右手がガッシリと掴んでいた。


 「うわぁ!?ご、ごめんなさい!!」


 驚愕の光景にウルフはすぐに彼女の胸から手を離して、藁の寝床から飛び上がるように立ち上がったあと、そのまま両膝を地に着けて頭を下げた。いわゆる、土下座である。


 「あはは、顔を上げたまえ。別に怒ってはいないよ。」


 「ほ、本当ですか?」


 「うん。だから、そこまで気にしないでくれたまえ。それに、ゆっくりと眠れたかい?」


 リーゼは上半身だけ起き上がらせ、先程まで横になっていた藁の寝床をポンポン、と叩きながら感想を聞く。


 「あ、はい。それは、もう………。今までで1番気持ち良く寝れました。」


 「そうかい。それは、よかったよ。」


 そう言って、リーゼはしれっと着ていた服を脱ぎ出す。それによって、彼女はウルフの目の前で素肌を晒した。


 「ふぁ!?」


 「ん?」


 「ん?じゃないですよ!なんで脱いでーーー」


 両手を手にして、背後を向いたウルフは大声をあげる。


 「水浴びに行くからだが………」


 何を当たり前なことを、みたいな雰囲気で言葉を出すリーゼ。


 「別にここで脱がなくてもいいじゃないですか!!」


 「どこで脱ごうか私の勝手だろう。ほら、君も脱ぎたまえ」


 「はい?」


 「2人で一緒に入った方が効率良いだろう。ほら、早く。」


 全裸なリーゼは後ろを向いているウルフの上の服をガシッと掴みそのまま脱がす。両手を顔に当てていたウルフは唐突の出来事にポカンとしていた。


 そうしているうちに、彼女はウルフのズボンも下着と共に下に下げる。


 「え?」


 こうして、誰もが恐れる『魔の森』の中心部で衣服を何一つ纏わっていない全裸な男女が誕生してしまった。


 「よし、少年。行こう」


 未だに現状を理解していないウルフはそのままリーゼに湖まで連れてかれ、共に身体を洗いあった。


 ウルフが正気を取り戻したのは、彼女に背中を拭いてもらう時であった。当然ながら、彼は大声を上げた。


 






 「うぅ………、もうお嫁に行けない」


 「ふふ、君がお嫁さんなのかい?でも、確かに君は女の子にも見えるから…………そっちの方でも…………」


 「行きません!!行きませんからこれ以上、言わないで下さい!!」


 「ふふ、冗談だよ。反応が面白いね。」


 布を身体に覆い、焚き火の前で身体を温めていたウルフとリーゼは雑談を交わす。それはお互いにとても楽しい時間ではあった。



 しかし、ウルフにとって楽しい時間は終わりを迎える。



 リーゼが用意した朝食を完食したあとに遂にーーーー



 「では、少年。今から君の修行を始める」



 「はい!!」


 動きやすい服装に着替えたウルフは、同じく動きやすい服装(しかし、何故か露出が多い)に着替えたリーゼに、拠点としていた中心部では無い違う場所へと連れてかれた。


 その後、彼女はウルフにまたしても、新品な木刀を差し出しながら言葉を出していく。



 「修行内容は至ってシンプル。ここで、ただずっと永遠に私達と木刀で打ち合う。それだけだ。」



 リーゼはそう言って、持っていた木刀を構え始める。


 …………本当にそれだけ??と思うかもしれないが、ここから先は一切、休憩を取らずにリーゼの言葉通り永遠と木刀を打ち合うのだ。


 普通の人ならば、不可能な内容だが"無"の加護により体力が無限にあるウルフだからこそ、やり遂げれることができる。



 「ん?私『達』ってーーー」



 修行内容を理解したウルフであったが、先程の彼女が発言した言葉に違和感を感じていた。


 ここにいるのは、リーゼ1人だ。もちろん、ここに来て彼女以外にウルフは人とは出会っていない。


 それなのに、彼女は私『達』と口にした。これは、どういうことなのだろうか。



 「ーーーーーーあ」



 しかし、すぐにウルフは察することが出来た。なぜなら、それは凄く簡単な答えだったからだ。


 リーゼはウルフと違って、体力に限界がある。休まずに木刀を振るうことが出来る時間はMAXでも半日ぐらいだ。


 では、リーゼが休息を取っている間に誰がウルフの相手となるのか。


 彼女と出会い、安全地帯である中心部にいたからこそ忘れていたがーーー



 ウルフとリーゼがいるのは『魔の森』。高ランクモンスターが数多く生息していて、誰もが恐れる場所だ。



 そして、今2人がいるのは中心部ではない。つまりーーー




 「ガルル…………」



 「シャーーー!!」



 「ウホッ!ウホッ!」



 「ギェーーーー!!」



 「グォォォォォォォォォ!!!」




 「ーーーーーッッ………」



 辺り一面にモンスターの鳴き声が激しく響き渡る。そして、姿は現さないものの2人の近くまで何匹かのモンスターが潜んでいるのを匂いでウルフは確認した。



 「なるほど…………。これは、確かに過酷な修行だ」



 リーゼの言葉を理解した上で、改めて修行内容を完璧に把握したウルフはタラーッと汗を垂らしながら苦笑いをする。


 高ランクモンスターと圧倒的な差で交戦できる目の前いるリーゼと打ち合いしながら、自分達に襲いにかかる高ランクモンスターとも相手をしなければならない。ハッキリ言って、最後まで成し遂げれるのか不安になってくるだろう。




 では、やめるか?クリスの時と同じようにこの場から逃げ出すか?





 …………やめる訳がないだろう!!逃げてたまるか!!





 "無能"と呼ばれ続けたウルフにとって、Sランク冒険者になれるかもしれない奇跡と言ってもおかしくはないぐらいの千載一遇のチャンスなのだ。


 だからこそ、最後までやり遂げてやる。例え、これから先、想像以上の過酷な地獄を味わうことになったとしても。


 ウルフはニッ、と笑いながらリーゼから貰った新品の木刀を握る力を強めて構える。狙いはもちろん、リーゼの首だ。



 「さぁ、来いよ!!少年!!」



 「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」



 ウルフは、雄叫びを上げながらリーゼに向かって走り出し、木刀を振るった。




 こうして、リーゼによるウルフの修行が開始された。






 ♢♢♢♢♢


 ウルフがずっと暮らしていた街から姿を消して1年が経過した。



 「来るぞー!!お前ら、回避しろ!!」



 そして、現在。鉱山付近で何人かの冒険者と1匹のモンスターが交戦していた。


 そのモンスターの名は『ロックウォーリア』。全身に分厚い岩を身に纏っている人型モンスターで、身に纏う岩によって防御力が高い事で有名なBランクモンスターである。


 数名の冒険者はその『ロックウォーリア』を討伐しようと交戦していたが、思うように攻撃が通らずに苦戦していた。


 「くっ………、このままじゃジリ貧だ。どうすれば………」


 1人の冒険者が諦めたような表情を浮かべ、言葉を呟いていると『ロックウォーリア』はその冒険者に目掛けて拳を突き落とす。もし、これを喰らってしまったら即人の原型は留めることは出来なくなるだろう。


 

「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



 冒険者は目から涙を浮かばせ、叫び声を上げる。


 そして、モンスターの拳が冒険者に触れようとした瞬間ーーー



 「『死の大吹雪(デス・ブリザード)』」



 ビューー!!とかなり冷たい風が『ロックウォーリア』に襲い掛かり、すぐ様凍りついて息途絶えた。


 腰を抜かし、股部分が徐々に染まっていく冒険者は震えながら首を振り向くと


 そこには2人の男女がいた。


 男性である方は、赤髪で細目が特徴的な人物であり、女性の方は透き通っている青髪が肩まで伸びていて、かなり容姿が整っていた。しかし、目にハイライトがなく、まるで死人のような目つきをしていた。



 「流石はクリス様。高ランク冒険者でも苦戦するBランクモンスター『ロックウォーリア』をあっさりと討伐するなんて」



 パチパチと賞賛するかのように手を叩く赤髪の男性。そして、クリスと呼ばれた女性はそれを聞いてとても不機嫌そうな表情を浮かべる。



 「黙れ、ダリアン。…………任務は完了した。私は帰る。」



 クリスはそう言って、ダリアンと呼ばれる男性の目の前からシュッ!!と姿を消した。


 それを見届けたダリアンは苦笑いしながら




 「流石は………………Sランク冒険者、『氷の狂戦士(アイス・バーサーカー)』クリス様だ。」




 そう呟いた後、ダリアンは冒険者と氷漬けとなった『ロックウォーリア』の元へと足を進めた。




 




 

 


次話は9時に投稿予定です。


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今後の執筆の励みとなります

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