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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

贈り物

作者: 村崎葵

私の心に届く他人の気持ちとその扱い。


私のための私だけの部屋の中、好きな音楽、好きな本が溢れている。それらは部屋を彩るだけじゃなくて、部屋が傷付いたら直してくれる。たまに雨漏りしたり地震で揺れたり雷で停電したりもするけれど、大抵は大丈夫。部屋の一部は黒焦げだけど可愛いもので覆い隠して日頃は見えないようにしている。


そしてこの部屋には荷物が届く。生まれた頃から親からずっと送られてくるもの、傷付いたら友人から届くもの、街を歩いていると見知らぬ人から届くものなど様々だ。そして贈り主には出来る限り有難うと手紙を出すのだ。


とは言っても、届くのは嬉しいものばかりではない。届いた途端に破裂したり部屋を汚すものだってある。色んな人から色んな物が届く。それらがより私の部屋をより味があるものにしてくれるのだ。


そして今頻繁に届くものがある。贈り主は友人だ。それは瓶に入っていて、私は中身を部屋の隅に置いてある器に移し替える。日々日々器に溜まっていく。


「どうして貴女はこんなに沢山贈ってくるの」


重たくて大きくて、視界に入れたくないのに主張してくる。それは決して色鮮やかなんて言えるものではなく、濁って見える。割れやすい薄いガラスの容器に覆われて。


梯子に登って上から覗く。試しに触ってみると、ゲルみたいで手に纏わりつく。手に付いたそれを舐める。匂いも味も彼女が好きなもの、私好みではないけれど。貰ったところでどうすればいいのか。持て余した私はそれを貴女の廃棄物だと思い始めた。それにしても捨て過ぎだ、そして貴女はいつも自分の分が足りない足りないと泣いている。


『足りない足りないもっと欲しい、欲しい欲しい欲しい』


貴女の声がした、足を滑らせた、それの中に落ちた。どんどんどんどん深い所まで降りて行く。僅かな光しか届かない。降りながら貴女との時間を振り返っては、思わずにはいられない、貴女は恋に恋してるの。貰ったものなのにいつまで経っても自分のものに思えない。当然だ、貴女は私を通して貴女自身を愛でている。贈って贈って贈って贈って、贈ったことに満足しては、私がこうして持て余しているどころか溺れているなんて想像もつかないんだろうな。ここから出よう。掻き分けて掻き分けて器の縁を掴む。それの中は決して心地良くなんかなくて、やはり私へのものじゃなく貴女の為のものだった。


地面にヘタリ込み、自然乾燥をする。早く蒸発してくれ。気晴らしに欲しいものでも考えようか。私、あの人の少量だけどキラキラ水色で透き通ってて優しい香りがするあれが欲しい。元気かな、会いたいな。顔を見るだけでこの部屋が明るくなる人。


スマホが光り、ベルが鳴る。私はまたそれを受け取った。今度はずっしりとして生暖かく、ハートの器に入っている。


中身をさっきの大きな器に捨てて、ハートの器を叩き割った。破片が部屋を傷付けた。



「レズかもしれない」出会って9年になる友人そう言われました。ですが、バイの私はその友人の恋愛対象が男性であり寂しくて私にそう言っていると思いました。それにそもそも私には好きな人がいて、友人のことは正直人間として見下していました。「キスして欲しい」何度断ったか。友人からのメッセージが来る度に溜息が溢れ、私の為と尽くしてくれる友人に有難うと言い疲れました。

そんな友人に彼氏が出来ました。これでもう恋愛と友情を履き違えないだろうと安心したのも束の間、彼氏がお金にだらしなく私がおかしいと言った次の日に友人は彼氏を振りました。私は友人にキスされそうになって避けました。そんなこんなでこの文章を書かずにいられませんでした。最後までお読みいただき有難うございました。

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