DATA 1
小川の流れる音。
鳥のさえずりが聞こえる。
だが鳥はいない。
そもそも鳥という存在自体知らない。そんな違和感すらこの子達には感じることを許されない。
「おい、何寝てんだよ。」
頭を軽く蹴られる。眩しい光に目がくらみ一瞬目を細める。徐々に目が慣れていき自分を覗きこむ存在を実体として掴む。レンだ。
「ママがご飯だって。お前また薪集めサボってただろ俺たちが集めなきゃいけなくなるだろもぉ〜」
「まぁいいや、とりあえずママが呼んでたから。ちゃんと伝えたからな早く戻ってこいよ」
僕は大きく頷き集めたほんの少しの薪を小脇に抱えて駆け出した。
「ただいま!」
勢いよく扉を開けるとママがいた。
「おかえりなさい。今日の薪は随分と少ないのね」
少し大げさに薪のことを、指摘された僕はとりあえず誤魔化してみる。
「いや今日は大きな魚を見つけてねそれを取ろうとしてたら薪を集められなかったんだ。ママにも見て欲しかったなぁ」
よし今日の嘘は割と完璧。
「へぇそうだったの私も見てみたかったわぁ。貴方の夢の中の魚を」
だめだバレてる。これはもう言い逃れできない。
「ごめんなさい、本当は寝てました。」
「正直に言ってくれてありがとうココロ。でもやっぱり薪はないと困るから明日、レンとまた集めに行きなさい。」
「えー!俺も行くのー?」
とレンが二階の手すりから身を乗り出して一階にいる僕たちを話しかけてきた。
どうやら盗み聞きしてたらしい。
「ココロが一人で行けば良いじゃん。なんで俺まで」
「レンはココロの見張りです。ココロ一人じゃ薪がいくつ集まるか心配ですもの」納得できないと言いたげな蓮の顔を見てママ仕方なさそうに
「じゃあ手伝ってくれたら、次の食糧注文の時に好きなものを一つ頼んであげましょ!」
「本当!?、約束だからね」レンは無邪気に顔を綻ばせた。
「さぁ、みんなが待ってるわ。早く食堂に行きましょう」
食堂に入るとご飯の美味しそうな香りとみんなの楽しそうに話す声が聞こえてきた。僕たちは10人程で森のかなに大きな二階建ての木の香りのする家で生活している。基本的には自給自足。時々ママが食べ物の注文をして足りない食料は補っている。
「ちょっと、いつまで待たせるのよ。ご飯が冷めちゃうじゃない」
いのいちばんに話しかけてきたのは、前の席に僕の座った席の前に座っていた。アキだ。
「ごめん薪集めに時間がかかっちゃって(本当は寝てただけなんだけど)」
「ふーん。なら、仕方ないわね」
よしなんとか騙し通せる!
「アキ!騙されるな!こいつが今まで寝ていて薪なんて少しも集めてなかったんだぞ!」
「おい!レン!」もうなんで言っちゃうんだよ!
「ちょっとココロ!どう言うこと!」
やばいアキがめちゃくちゃ怒ってる。
「まぁまぁ。二人とも喧嘩はやめて夕飯にしましょう。じゃあみんな手を合わせて。いただきます。」
「「「いただきます!」」」
ママ!ナイスな助けて船!
「あとで、部屋でゆっくり言い訳の理由を聞かせてもらうから」ふくれっ面でアキは出されているミニトマトにフォークを突き立てた。
「だいたいアキはいつもココロに甘すぎるんだよ。ココロの言うことすぐ信じちゃってさ」
「べ、別にそんなことないわよ」
「そうかなぁ。ココロばかりおかしいよ。」
「もう!レンは黙ってて!!」
この日の僕らの食事は険悪なムードの中終わりを告げた。




