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ツイート  作者: あぐりの
ジュンペイのつぶやき
7/113

ライバル。

6月に入って、修学旅行があった。

何かしらなんとなくだが期待していたより遥かに、さわと接点がないまま終わってしまった。

そして気付けば7月になっていた。


7月から体育がプール授業になる。タツヤやリュウヘイは、

「水着♪水着♪」

と、エロ全開で喜んでいた。いや、そりゃね。オレだってね?ドキドキしますよ。そりゃ、男子なら誰だってそうだよ。好きな子の水着姿なんて、見たいに決まってる。

素早く準備を終えてプールサイドに出て行ったタツヤとリュウヘイが、直ぐに戻って来た。どうしたんだ?と思っていると、

「さわもミオも見学だった…」

と、見るからにテンションダウンしている2人だった。

「ははっ!残念だったなー」

オレは2人にそう言った。けど、自分に言っていたって方が合っているかも。いや、本当に、テンションダウンだわ。

だが、授業が始まると一変した。

さわとミオは、体調不良の見学ではなく、忘れ物をした見学だった。だから2人は、人使いの荒い事で定評のある担任達にこき使われていた。問題は、2人の服装だった。

たぶん、プールに入るつもりだったから、着替えやすいワンピースを着ていたのだ。しかし、その服装でプールサイドを歩き回るのがどんな事になるのか、2人は全く気付いていなかったのだ。

泳いでるみんなのサイドを、スカートをふわふわしながら歩いている。

リュウヘイとタツヤは大興奮だった。

「ヤバイ。水着以上にエロい!」

「見えそうで見えない所が、エロ過ぎ!」

なんて言って盛り上がっていた。が、たぶん、口には出さないけど男子みんな、同意見だったと思う。


「自由時間がチャンスだな。」

リュウヘイとタツヤがそう話しているのが聞こえてきた。

しかし、2人とも何で気付かないんだろ。と思って見てたけど、次から次へと仕事を与えられて、そんな事に気付く余裕がないんだろうな。と思った。

今は両サイドに分かれて、タイムの記録を取っていた。タイムを測ってる先生の斜め後ろ。それは、泳ぎ終わった人がプールから上がる時に、見えそうで見えない、絶妙な距離だった。

タイムの計測が終わると、自由時間だった。リュウヘイとタツヤがソワソワし出してるのを見て、オレは何だかちょっと、

「見せたくない。」

と思ってしまった。特にリュウヘイみたいな奴に。何とかリュウヘイにバレずに、スカートの事を教えれないか考えた。

自由時間になると、2人はプールサイドで監視役をするはずだ。定位置に着く前に何とか伝えたい。

なんて考えているうちに、最終組が終わって戻って来てしまった。

リュウヘイのソワソワはマックスだ。さわの動きを見ると、ラッキーな事にオレに近いサイドの監視っぽかった。あぁ、考えがまとまらない内に自由時間が始まってしまった!

その時、視界の隅で、レンが足早にさわの方へ行くのが見えた。

「負けたくない!」

そう思って、オレはもう考え無しで、潜水してさわの方へ近付いて行った。

適当に浮き上がると、さわの姿が近くに見えた。歩き方からすると、まだスカートの事には気付いてなさそうだった。レンの姿も、パッと見、居なかった。

オレは急いで、さわに向かって水をかけた。

「わっ!」

さわはそう小さく叫んで、オレに気付いた。

「何忘れたの?」

オレが話しかけると、さわはプールサイドにしゃがんで、

「プールキャップ。」

と言った。この時は流石にスカートを気にして、中が見えないようにしゃがんでいた。ざんね…いや、安心した。本当に。うん。

オレはリュウヘイが狙っている事を伝えて、リュウヘイにバレない内にその場を離れた。

さわと逆のプールサイドに着くと、リュウヘイとシイがさわの近くにいるのが見えた。さわはスカートをちゃんと気にしていた。良かった。間に合った。


「ジュンペイ、今さわに教えに行ったの?」

プールサイドに座って、ホッとしていたオレにレンが話しかけて来た。

「オレも行こうとしてたんだけど、誰かと話してるのが見えてさ。誰かと思ったらジュンペイだった。」

バレてた。でも、リュウヘイにはバレてなさそうだった。

「あいつの事、好きなの?」

レンは直球で聞いて来た。

「レンこそ、教えに行くって事は、好きなんだろ?」

オレがそう言うと、

「って事は、好きなんだ。」

と、レンは言った。コイツ…どこまでも攻めて来るな。オレはちょっとイラっとして、

「お前には負けねーから!」

と言い放って、プールに入ってレンから離れた。

「もしかしたら、もしかするかも。」

その期待は、見事に打ち崩された。

レンはやっぱり、さわだった。

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