気になる。
さわとは、4年の時も同じクラスになった。その頃には、オレにとって女子の中でもかなり話す方の女子になっていた。
リュウヘイも同じクラスで喜んでいたが、さわの好きな人がレンだって本人から聞いたらしく、ショックを受けていた。聞かなきゃいいのに、知りたくなっちゃうもんなんだから仕方ない。
レンは同じ男から見ても、憧れるようなヤツだった。見た目も良いし、勉強も運動も出来たし、何より優しかった。
それに、リュウヘイには悪いけど、レンとさわはお似合いだった。
前期のクラス委員を一緒にやっていたのだが、仲が良いって言うかコンビネーションが良かった。レンのリーダーシップ力とさわのサポート力が見事に発揮されていて、他のクラスの先生達からも絶賛されていたくらいの2人だったのだ。
そんなだったから、レンが1番人気だったのは間違い無い。
そして、その頃には、さわもそのと同じくらい人気だった。リュウヘイの他に、オレが知ってるだけでも3人はいたのだ。
さわはなんて言うか、知れば知るほど気になってきてしまうのだ。
例えば3対3の合コンをしたとする。実は男子は初めの時点で、誰が好みか、合図を送りあっている。
第一印象で人気なのは、クールキューティーなそのだ。
そして初めの席替え前に、また合図を送り合う。実は、その頃には結構バラつくのだった。
第一印象のその派と話していて楽しいシイ派、そして話せば話すほど気になっていくさわ派だ。
さわはそんな、他の子には無い不思議な雰囲気がすごくあった。
ただ、不思議過ぎて無理!ってなるヤツもいるし、それが魅力的で気付くとハマってたってヤツに分かれるタイプだった。
オレも初めは前者だった。
謎の「す」と「む」の丸の形。
そして、4年の終わりにやった、ドッヂボールのレクだ。
4年全員でやったのだが、オレはさわと同じグループだった。さわは小さいながらも、女子では主力メンバーだ。
しかし、そのレクの間、いつもならキャッチしたりするさわが、ひたすら逃げていたのだった。
レクが終わって教室へ帰る時、
「さわちゃん何でキャッチしないで逃げてばっかりだったの?」
と言う、シイの声が聞こえて来た。オレもずっと不思議に思っていたから、耳をダンボにして聞いていると、
「私今日のレク、なんか勝手に体育館だと思ってたんだよねー」
とさわが言った。オレはいつもながら、
「だから?」
と思いながら聞いていると、シイは慣れたもんで、
「あははは!だからかー」
と言って笑い出した。何が⁈今ので何が分かった⁈と、オレが思っていると、
「え?シイ何で今ので理解しちゃえるの⁇」
と、ミオがいいツッコミを入れてくれた。
するとさわが、
「体育館だと思ってたから、服考えずに来ちゃったの。」
と言った。体育じゃなくてレクだから、服装は動ければ自由だった。さわは確かクリーム色のパーカーを着てた気がする。
「外のボールキャッチしたり当たったりすると汚れ目立つじゃん。前汚した時、お母さんに怒られて大変だったんだよー」
さわは困った様に話した。そこまで話されて、ミオと密かに聞いていたオレはようやく納得出来たのだった。
どうりでいつも以上に必死で避ける訳だ。まあ、そのお陰で、相手チームが焦ってミスをしてくれたし、オレもやる気が戻って、結果、優勝出来たのだけど。
シイの理解力すげーな、と感心するのと同時に、さわの不思議ワールドがちょっとハマって来てしまうオレだった。