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始まりの始まり


20XX年 日本万博の年


世界は日本の底力を身を持って知ることとなった衝撃


世に言う ロボティクス元年は、日本の威信を掛けた日本万博が世界を魅了したことから始まった。


「日本始まった!」


世界のメディアが喧伝したこの言葉に、日本の物作り精神と自重知らずの2.75次元論(2.5次元の非現実が3次元の現実を変えるかもしんない論争)が巻き起こしたお祭り騒ぎに、担ぐべき神輿を与え目指すべき頂きを与える神が現れた。


ロボティクス軽重工業 3代目社長 大和 尊


「儲かってるから、儲けの10%賞金に出すから俺のダンジョンをクリアしてみて。」


「ブヒョヒョ~。某、その程度で労働堕ちなどしないでござるよ~。」


今では「煽り神 」と呼ばれる「九九機雷」


ただの ニートな青年と最先端の会社社長の青年の、討論会での売り言葉に買い言葉からソレは始まった。



ロボティクス軽重工業 3代目社長 大和 尊

その貴公子のような柔らかい笑顔は、既に消えかけていた。


「働けばいいだけですよ?」


ネット番組トーク企画

「若き社長達と若きニートの対話」


意識高い系の若者達とお察しな若者達とのトークバトルは、ニートの優勢で展開されつづけていた。


表情を引きつらせながらも、尊はギリギリの笑顔で優しく話しかける。


「偽善者面、乙!それがしは ・・・・ 」


人をイライラとさせる見事な話ぶりに、理性的な話は感情的な論調に重きをおいた内容になりつつあった。


誰も止めないけど。


「その程度口車では、そちらのフィールドに落ちないでござる(笑)」


「いや、落ちてるのはそちらで、こちらに上がってくださいって話ですよね?」


「自分の得意分野に引きずり込もうとしても無駄でござるよ。その程度の浅はかな計画にハマらないでござる(笑)

というか、そちらとてそれがしとあまり変わらんでござろう?親からの金額の多少の差しかないのではござらんか(笑)」


「はぁ~!?お前と俺が変わらないとか意味わかんねーし!!マジでムカつくやつだな!」


とうとう大きく表情を歪ませてしまった尊自身にも、自覚はあった。


父の死に、若くして譲られてしまった社長職を必死に歩んできた自負がある。簡単な訳がないのだから。


「痛いとこを突かれて、窮鼠猫を噛むでござるか。いやはや。三代目ともなると全てが当たり前で、人のフィールドには怖くて入り込めなくても致し方ないと。周りの方達のお守りの無い場所は立ち入れなくても致し方ないなしといったところでござろうな。」


「・・やってやる・・。」


「は?やるとは?どの漢字をつかってるのでござろうか(笑)本職を呼ぶ必要がありますかな?」


「お前の。お前の得意なフィールドでやってやるよ。」


「ほ~♪では、ネトゲですかな?アプリですかな?MMOVRですかな?」


「いや。2.75次元だ。」


「グフ(笑)逃げ場がなくて壊れましたか?」


「お前、ゲームとかアニメがフィールドだろ?俺がリアルで造ってやる。それを、自分の力だけでクリアしろ。出来たら許してやる。出来なかったら働け。働き場所は我社で作ってやる。」


「2.75次元などといいますが、それがしが自らの手足を振るえばそれはもはや3次元くらいになってしまうのでは?いやはや、若様は必死に考えても詰めきれていないというか、」


ニート九九機雷は、困ったものだという表情に大袈裟なジェスチャーをする。


それを見て再び三代目は、怒りに顔を染め怒りに震えていたが、フッと表情を緩めしてやったりというようにニヤリと悪い笑みを浮かべた。


「だろうな。だから、それも造ってやる。お前が動かず、ゲームのように操作して 動けばいいんだろ?」


「自宅警備をおろそかにするのはいただけませんが、動かずゲームなら許容しないこともないでござるよ。」


「よし。それで、 お前が乗り込めるように 2メートル前後の機体で 実際の山3つ4つに フィールド?まー、仕掛けやら洞窟用意して …」


「判りやすい事故死にするつもりですかな?」


「するか!マンガじゃねーんだぞ? 機体が丈夫なら 何メートルか落ちたり 火に焼かれても大丈夫だろ?」


「そこまでするなら、拙者にも何か、現実ならクリアボーナスくらいは期待したいでござるよ。」


「よし、クリアボーナス、それと途中で金でも置いとけば やる気も出るだろう?それでだいたい2.75か。多少の曖昧はお互い様だ。」


「面白そうではござるが、一方的に決められれば、勝ち目などないでござる。某は嫌でござるよ。」


「わかった。決まったことは、順次知らせる。気に入らないところは言ってこい。考慮してやる。それでいいだろう?」


「あ、あのー!盛り上がってるところをすみません!それ、中継させてください!」


番組ステージの奥から、作業着姿の男が手を挙げながら話に割って入った。


「プロデューサーか・・。俺は構わないが、制作費回せるのか?金の話はするぞ?」


「金の話、良いですな。某も構わんでござるよ。金の話は某にも用意してもらう所存ではござるがな。」


「では、放送権についての制作費とフィールドクリアの報酬額等については後程詳しく。」


「プロデューサー殿。報酬とは不粋であろう。某は2.75次元(笑)にて、アニメやゲームのフィールドに挑む言うなれば冒険者となるのであろう?お宝や戦利品といった方が、ロマンがあって視聴者受けにはの相応しかろう?」


「な、なるほど。では、お宝としましょう。」


「プロデューサー殿は、まだまだですな、グフ!その辺りもサッて出てこなくては、ゴールデンを任されるには先が長そうですな(笑)」


三代目、ニート九九機雷、プロデューサーの三つの思惑が合致した瞬間であった。


「あ、あのー!冒険者なら、僕もなりたいです!」

「俺も!俺も!」「賞金が出るならやつてみたい!」


ここまでほぼ発言のなかったニート達から声が上がった。


同時に、意識高い系の間からも名乗り出るもの達が出てきた。


「大和さん!わが社でも協賛させてください!」「九九機雷って奴に一泡吹かせる協力させてください!」


会社陣対九九機雷。しかし、会社側にも冒険者希望者もいたり大混乱となったが、騒乱に漬け込みが得意なプロデューサーが場を仕切り、あれよあれよという間にダンジョン側と冒険者側の取り決めが成されていった。


深夜放送であったので、当日はそれ程の視聴率もなかったが、ネットにアップされたそれはその後も「神回」として視聴されつづけた。


見れば見る程、そのように話が進むしかなかったようにも見えるし、そのような話になることではないだろうとという風にも見える。


若さゆえの過ちで生まれた感情的という火種に、資本と科学力を持つ大人達が薪を放り続け、 公共性という現実的フィールドに乗せた結果であるとして、永く語り継がれることになった、正に「神回」



日本始まった!


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