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黒薔薇のスナイパー  作者: モカ太郎
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反撃前夜

 俺には最近、悩み事がある。


 どんな悩みか聞きたいって?ダメだね。言ったところで誰も信じちゃくれない。


 現に、10年以上の付き合いがある友人ですら、「頭イカれてんのか?」と即答している。


 それでも聞きたいのか…。じゃあよく聞けよ?絶対に信じないと思うけどな。


 俺はな、最近、…黒ずくめのスナイパーに、ケツを狙われている。







 7:00を告げる目覚まし。いつもの朝。

食卓にはバターの乗った、トーストとコーヒー。いつもの朝食。

 ハンガーにかかった制服。いつもの服装。

 

 そんな日常に突如現れた非日常が、今日も訪れないことを願い、「いってきます」の声と同時に、ドアを勢いよく開けて全力で駆け出す。


 ダンッ!!


 ゴム弾が地面に打ち付けられ、地面が悲鳴を上げる。


やはり今日も現れてしまうらしい。走りながら家の近くにあるビルの屋上に目をやる。


 いた。俺の日常に現れる非日常。今日も黒いコートに黒いボーラーハット。そして黒く光るスナイパーライフル。そしてそのスナイパーライフルから放たれるゴム弾は、正確に俺のケツを狙ってくる。


走っていなければ、確実にヤられてた。今日は運が良かったのだろう。


 ヤツの射撃能力は侮れない。毎日こうして走っているが、三日に一回は当たっている。

おかげでボラギノールが手放せない体になってしまった。

 なんとか教室についたものの、まだ油断できない。

 

 ヤツは学校にいても狙ってくる。教室、廊下、階段、窓があれば狙ってくる。校庭なんざ以ての外だ。学校に逃げ場はほぼない。…が、なぜか授業中だけは狙ってこない。なぜだろうか、もしかして、理系クラスでテストの順位が低いことを知っていて、心配してくれていりのだろうか。


 「そんな優しさがあるなら、ケツをゴム弾で狙わないか…。」変な妄想を、俺は一言でかき消した。



俺の学校生活で、最も狙われる時間。それは間違いなく部活だ。

テニス部に所属している俺は、外で部活をせざるを得ない状況にある。それでも、部活をさぼるわけにもいかず、こうして毎日テニスをやっている。


もちろん、そんなことをしたら狙い放題だ。テニスは動くことが多いが、それでも止まる場面はいくつもある。今まで何度ケツにスマッシュエースをぶち込まれたか。

思い出しただけでケツが悲痛を訴える。俺はそっとボラギノールをケツに塗って、痛みを抑えた。



だが、そんな生活も今日で終わりだ。俺は今日届いたamezomuのダンボールを開き、例のブツを取り出して、静かに笑った。


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