04.気遣いと経緯
「そっかー。優太君も告白という青春イベントを、終えちゃってたんだねぇ~」
ナル部長は感慨深げに答えてくる。これで告白が成功していたら文句なしだったんだけどなぁ。そうして高校に到着するまで、ゆっくりと歩きながら雑談する流れとなった。
「だけど、告白相談を私にしてこないとは水臭いなぁ。今まで女子の接し方やら身嗜みやら、色々アドバイスしてきたのに」
残念そうな反応をされて、苦笑が漏れてしまう。少し前に彼女が欲しいと思い立ち、本やネットで色々調べたのだが、生の意見も聞きたかったので、大学生の彼氏がいるナル部長に相談をして、その後、ちょくちょくアドバイスをくれる様になったのだ。本当にいい先輩だ。
「頼り過ぎは良くないと思ったので自分の力だけでやったんです。それに、告白までアドバイスしてもらうのは、流石に恥ずかしかったですし」
「男って妙な拘りがあるというか、意地っ張りだよねー。そういうところ、女としては分かり辛いんだよねー」
ナル部長的には告白アドバイスもOKだったらしい。なんだか自分1一人が勝手に暴走したみたいで、やっぱり恥ずかしい事になってしまった。
「ナル部長は優しいですね。色々と気にかけてくれますし」
「当然だよ。そもそも君が彼女の作り方を相談してきた時、眼鏡をやめてコンタクト、常に笑顔、運動と勉強して魅力を高めろって私が答えたじゃない。そしたら君は週明けからコンタクトになって、ぎこちない笑顔で私に挨拶してきたんだよ。何かもうほっとけないじゃん!」
その言葉はとても嬉しいのだが、変なプレッシャーを与えてしまった様で申し訳ないな。
「でも優太君は、随分いい感じに成長したよ~。顔見知りの女子なら自然に話せる様になったし、顔とか体も引き締まったね! ほんとに運動もしてるんだねー。この前の試験結果も良かったみたいだし、ちゃ~んといい男になってるから安心しな」
お世辞でも、励まされるのは嬉しい。
今までの努力が無駄じゃなかったって実感できる。
「先輩に相談してよかった。ありがとうございます」
「それはいいんだけど、確か優太は年明けに相談してきたよね。年末に何かあったの?」
ナル部長が興味津々な感じで尋ねてくる。
「確かに何かがありましたけど、面白い話じゃないですよ。秘密って訳じゃないですけど」
「なら教えなさい。部長命令です」
嬉々とした笑顔で迫られてしまった。ナル部長には沢山お世話になっているし命令なら仕方がない。なので年末の出来事を思い出し、言葉を選びながら説明する事となった。