表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
告白の情感進路(ルート)  作者: 奈瀬朋樹
4/17

03.ナル部長

電車から降りて、我が高校の制服が一方向に移動していく最中、僕もその中に加わる。今はテンション最悪だから、知り合いには会いたくな…… 


「やぁやぁ優太(ゆうた)君、おはよう!今日も無駄にあっついねー」


凜とした声で我が料理部の3年生、大嶋(おおしま)成恵(なるえ)ことナル部長が声を掛けてきた 世話焼きでたよりがいがあり、しかも巨乳という抜群スペックなのだが、背が低くて見た目の大人っぽさが皆無というアンバランスな容姿をしている。まぁこれで背まで高かったら眩し過ぎて近寄り難いので、個人的にはこれでOKである。とにかく先輩相手だし、今はカラ元気でいいから明るく振る舞わねば。


「おはようございますナル部長、今日も髪綺麗ですね」


ナル部長は一見黒髪だけど、ナチュラルブラウンに染まっていて、毛先が緩くカールするセミロングになっている。前に「髪拘ってますね」と言ったら、嬉々とした顔で三十分力説してくる程だ。拘りを維持し続けるのは大変で、それを分かってくれるのは嬉しいらしい。


「ありがとね。でも今日の優太君の顔は暗いなぁ。好きな子に告白してフラれたりでもした?」


何で知ってんだこの人! いや、待て! 落ち着け! この口調は普段冗談を言ってくる時のノリと同じで、つまりこれはジョークだ! 普通に否定して、スルーすれば終わる!た から動揺を出さず、努めて冷静にツッコミを入れれば、


「朝からナニ言ってるんですかー。そんな訳ないじゃナイですかー」


そう答えたらいきなり手を引っ張られて駆け足の移動が始まる。連れていかれた場所は駅裏にある小道で、人気は殆どない。


「あの、ナル部長どうし…」

「ごめんなさい! 冗談で言ったんです! 本当だと思わなかったから!」


 即バレ&平謝りされてしまった。


「何で分かったんですか!」

「そんな泣きそうな顔で否定されて、信じられる訳ないでしょうが!」


なんと!!

そんなに表情酷いの!?


電車内でも疑問に感じたけど、僕の表情は想像以上に残念らしい。もう帰るまで待ってられない! すぐに駅トイレの鏡で表情の確認をしに行かないと!


「すみません! ちょっとトイレ行ってきます!」


立ち去ろうとしたら、ナル部長が立ちはだかってくる。


「待て! 個室で泣くのか! そんなの駄目っ! 行っちゃ駄目だよ部長命令っ!」


いえいえ、個室じゃなくて鏡です!

確かに泣きたい気分ですけど!


こんな情けない事情を説明する訳にはいかず、背を向けて逃げようとしたら、背中のやや下辺りを鷲掴(わしづか)みにされてしまいバランスが崩れるのと同時に、ワイシャツがズボンから脱げて、背中が丸出しになる。踏ん張って転ばずに済んだが、この一瞬の隙でナル部長が後ろから飛び付き、羽交(はが)()めされてしまった。


ちょっ、背中が柔らかくて良い感触が直肌に!


夏休み前の7月中旬、女生徒は半袖ブラウスという夏服スタイルで薄着であり、そこに暑さで少し汗ばんだ背中に直接抱き付かれる事が、こんなにも刺激的だとは思いもしなかった。しかも露出した背中に抱きつかれてるから、ナル部長の感触がダイレクトに伝わってくる。


やわらかい、あったかい、気持ちいい!


「いーかーなーいーでー」


ナル部長は子泣き爺のごとく、必死に背中に張り付きながら声を上げている。しかも背中越しに抱きしめられる力が強くなる一方で、生々しい感触が伝わってくるのと同時に、男性ホルモンが刺激されて、このままじゃ下半身の生理現象が!!


「分かりましたOKで了解です! もう逃げませんから離して下さい!」


これ以上は先輩後輩の関係が崩壊するので素直にゲロったら、やっとナル部長が安堵の溜息を出して背中から離れてくれた。そして昨日フラれたという現実を、羞恥心に抗いながら説明しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ