変わる街並み
てんと申します。
この物語を選んでいただき、ありがとうございます。
短いお時間ですが、お付き合い願います。
朝の通勤電車。
私は窓から見える街並みをぼうっと眺めていた。
特別面白いものがあるわけでもない。
感動なんてない。
ただ、ぼうっと眺めているだけだった。
ある日、私は会社に行くのが嫌になった。
昨日の失敗を思い出し、先輩や上司の顔を見たくなかったのだ。
しかし、母に無理やり叩き起こされ、いつもの通勤電車に乗り込んだ。
私は窓から街並みをぼうっと眺めた。
いつもと変わらない街並みがあった。
ある日、私は一睡も出来なかった。
今日の仕事が終わったら、彼女に僕の気持ちを伝えようと思っていたからだ、
果たして彼女は頷いてくれるのだろうか、なんて心配で頭の中をかき乱されながら、いつもの通勤電車に乗り込んだ。
私は窓から街並みをぼうっと眺めていた。
頭の中では、彼女が笑顔を思い浮かべていた。
ある日、私はいつも通り家を出た。
カバンの中には妻が作った弁当が入っている。
今日は何が入っているんだろう。蓋を開けた事を楽しみにしながら通勤電車に乗り込んだ。
私は窓から街並みをぼうっと眺めた。
いつもと変わらない街並みがあった。
その日も、私はいつも通り家を出た。
いつも通りに駅の自動販売機で、微糖のコーヒーをぐいっと飲み干す。
いつもと同じ場所で電車を待ち、いつも通りに通勤電車に乗り込んだ。
そしていつも通り、私は窓から街並みをぼうっと眺めた。
・・・ん?
違和感を感じたのは突然だった。
はて?
そこにはいつもの街並みがある。でもいつもと何かが違う。そう感じたのだ。
だが、何が違うのか?
街並みをもう少しよく見てみようと身を乗り出してみたが、違和感を感じた場所はもう過ぎ去ってしまい、違和感の正体を確認することは出来なかった。
仕事終りの帰りの電車。気になったところは暗くて何も見えなかった。翌朝もう一度確認しようと思った。
翌日、いつもの通勤電車に乗り込んだ。
あの違和感の正体は何だったんだろう。と、ちょっとした間違い探しをしている気分だ。
違和感を感じたのは、たしかこの辺りだったはず・・・。
と注意深く眺めると、違和感の正体が分かった。いつもはなかった鉄塔がすらっと街から生えていたのだ。
高層ビル建築中によく見る機械だ。
なるほど、新しい建物が建つのか。それともマンションだろうか・・・。
この街も変わっていくんだな。
・・・って、あの街ってもともとどんな街なんだっけ?行ったことないからわからないな・・・。
あの鉄塔の麓には、どんな街があるんだろう。
なんだか興味が湧いてきた。
そういえば再来週の休日は空いていたな。ちょっと行ってみるとするか。
違和感も解消し、新しい興味も湧いてきて、なんだか気持ちが清々しい。
さぁ、これからの仕事頑張るとするか。と日常に気持ちを込める。
携帯の画面を見る。そこには愛する妻と二人の子供の写真が映されていた。
お読みいただき、ありがとうございます。
ご感想いただけると、嬉しいです。
こういう短い物語を投稿していこうと思っていますので、またお付き合いいただければと思っております。