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雑多小説倉庫

やるだけ無駄です

作者: 文章・腹黒ツバメ 原案・ツバメ母



〈やるだけ無駄です〉



 ――決めた。全自動になろう。


 まるで馬車馬のように肉体に鞭打って働く日々の中、ふと思う。

 上司のご機嫌を窺ってする無意味な真面目くんごっこには、もう疲れた。

 どれだけ懸命に汗水流して働いたって、まったくの無駄。結局“あいつら”は自身のストレス発散のために、次々と性格の悪い小姑じみた難癖をつけてくる。

 作業が遅い、見落としがある、今日も明日も残業……

“あいつら”に言わせれば、誰かのケツを拭うのは、自分の仕事が滞るだけで、誰かのために頑張るのは、割り振られた仕事の能率を下げるだけで。

 いくら仕事に全身全霊を捧げたって、その見返りが安い給料と上司の長いお説教だけ。アレが駄目、コレが駄目、駄目駄目ダメだめ……

 この職場は駄目だ。

 昼飯がいつも愛妻弁当の奴も、プライベートじゃ『会いたかった』とか叫んでる奴も、とにかく“あいつら”は総じてクズで。

 年功序列だの出世頭だの、カビ臭い言葉が幅を利かせて、弱者の努力すら気まぐれに弾圧される。

 絶対王権のちっぽけな猿山。下々の精神を食い破る悪意の巣窟。

 辞めたいと思ったこともあった。今だって、来月にでも給料だけ掻っ攫って“あいつ”の脂ぎった鼻面に三行半を叩きつけてやりたい。

 けれど、その夢は叶わない。悔しいが、俺にも生活があるから。

 だから俺は全自動に――心も身体も機械になるんだ。仕事に対する意欲もなく淡々と与えられた作業をこなす。“あいつら”による理不尽にも動じない、カラクリ仕掛けの心になる。

 あんな腐った肥溜めに、精魂なんて意地でも捧げてやるもんか。


 全力で取り組んでも背中を蹴られるんだったら、真面目にやるだけ無駄だろ?


 そうさ、機械になれば、安月給を哀れむ冷笑も、突き刺さる後ろ指もはね返す、鋼の身体になれる。

 仕事に一生懸命にならなくて済む。頑張ろうなんて気分にならなくて済む。


 そしてなにより、一生“あいつら”みたいな糞野郎にならなくて済む。


 まるで生き甲斐みたいに仕事をして、出世して課長にでもなって、社長とか提携する企業のお偉いさんとかに揉み手すり手してストレスを溜め込んで、それを部下いびりで発散したくなって、ボス猿を気取って八つ当たりをするくらいなら――


 やっぱりこんな職場じゃあ、真面目にやるだけ無駄なんだろう。







 読んでいただきありがとうございます!


 実をいうと拙作の原案は、私の母による職場の愚痴だったりします。

 母はとあるケーキ屋さんでパートタイマーとして勤務しているのですが、クリスマス前になるとやはり尋常でなく多忙らしいです。

 そして、イヴが近づくと急に上司のいびりが激化したそうで……

 その話を聞き、若輩ながら覚えた憤りを文章にしました。

 皆様も、非人道的な上司や先輩にはお気をつけください!


 拙作はあくまで一個人の意見を基盤にしておりますので、必ずしも社会人全体がこうではないはず……世の中には素敵な上司さんもいっぱいいると思いますよ!



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