表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Devilish children ー悪魔の子供達ー  作者: カプチーノ
序章 ー出会いー
4/6

第四話


さっきの部屋は2階だったみたいだ。




シュンに引きずられて階段を降りて来たリビングでは、おばあさんが料理をしていた。焼きたてのパンのいい香りがする。そういえばしばらくご飯を食べていなかった。腹の虫がなく。聞こえていないか恥ずかしくなった。シュンをみたがずんずん進んでいくだけで気づいた様子はない。

焦ってた自分にも恥ずかしくなった。






「ばぁちゃん。連れて来た 」

僕たちに気づいたおばあさんは料理をしながら、こちらを向いた。


「やぁ。ウェズ、であってるかい? 」

突然名前を呼ばれ、体がこわばる。


「あたしがこの家の主だよ。はっはっは、そんなに怖がることないさ。ばぁちゃんとでもよんどくれ 」

景気良く笑うおばあさんはとても気さくな人だった。緊張が少しほぐれた僕は小さくうなずいた。






「さぁ、腹減ったろう?今作ってるからその辺座って待ってな 」

木のテーブルにイスが4つ。どうしようかとおろおろしていると、シュンが近くのイスに座った。

「ばぁちゃん、おれもー 」

足を振りながらいう。


「はいはい、いま全員分作ってるから 」


シュンがここに座れと言わんばかりに、隣の椅子をぽんぽんと叩いた。言われたとおりにそこに座る。





誰かが階段を降りて来る音が聞こえた。

振り返るとそこにいたのは、金髪のがっちりとした青年だった。目があう。少し驚いたような顔になる。




「……お前、魔族だったのか 」




魔族…?

なんだ?魔族って?



首を傾げる。





「あー、目が俺と一緒だもんなー!」

シュンが嬉しそうにいった。

「おいおい、まず気づけよ…… 」

青年が呆れていた。

青年は僕の前に座った。





シュンはなにかおもいついたように顔をあげた。


「あー! だから捨てられたの? 」

シュンが僕をみつめて言った。一同が静まり返る。



シュンがしまったというような顔をする。







……ステラレタ?










あぁ。捨てられた、ね。


あー、なるほど。わかった。

僕は " 捨てられた " んだ。

だから僕はここにいたのか。

すべてが結びついてすっきりしたはずなのに、頭のなかに靄がかかったようだ。






"使えないやつは捨てられる"


あの噂は本当だったらしい。

あの生活から逃げ出したかったはずなのに、いざ突き放されるとこんなにも悲しいものなんだ……。






「……そうかも。多分僕、捨てられた 」


言葉にすると全てが現実味を帯びてきた。





あぁ、捨てられた。捨てられたんだ。





これからどうすればいいっていうんだ。

何もない。

家族も、お金も、家も、知恵さえも何も持っていない。






ただただ喪失感だけが胸のなかに残っていた。


ただ闇だけが……











その中にぽっと灯がともった。




温かいものを感じた。


おばあさんの大きくて温かい手だった。



「……そうかい。じゃあ、うちに住めばいいさ。生憎こいつらもそうでさ。何、そんなに気にすることないさ 」

おばあさんがそっと頭を撫でてくれていた。





「さぁ、食べな。あったまるよ 」

シチューとパンを僕の前においてくれた。






ゆっくりと躊躇いがちに、木のスプーンに手を延ばす。

口に運ぶとシチューの温かさとともに、優しさが広がっていく。

灯の明るさが徐々に闇を溶かしていく。そんな気がした。


頬に涙がつたった。

でも、悲しくはなかった。





嬉しかった。



笑みがこぼれた。


「…ありがと 」




そうしてみんなで食卓をかこみ、ご飯をたべた。




やっと序章が終わりました!



これから本章のスタートです!

読んでいただけると嬉しいです!


ご意見、ご感想を待ちしています( ̄▽ ̄)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ