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  作者: 時雨
3/8

言い放たれた真実

いったいどうなっているのだろう。

ただでさえ今信じられない現象が起こっているのに、夢で出てきた声がなぜ・・・






銀髪の男が完全に出てくると、周りの空間の歪みがなくなり、元に戻った。

「・・・え?ど・・どうなってんの!?」

美雪はわけがわからずに周りを見渡した。

元に戻った空間は、まるで何もなかったかのようにいつも通りだった。



美雪が呆然としている間に、男が突然動き出す。


「あ、ちょっと待って!!」

美雪は慌ててそう言ったが、男は少しも耳を傾けずにどこかへ行こうとした。

まるで、こちらには全く気が付いていないかのように。


「ちょっと!!待てっていってんじゃん!!」

美雪は少し怒って男の腕を思いっきり引っぱった。

倒れるぐらいの勢いで。


振り向いた男の顔はかなり驚いている。


「てめぇ・・・俺が見えるのか!?」

「・・・は?何言ってんの?」

美雪はわけがわからないと言うように目を点にしたが、相手の方は突然美雪を振り払って腰に掛けていた刀を抜いて、美雪に向けた。

思いもよらなかった行為に美雪はもっと驚いた。


「ちょ・・ちょっと!!・・いったい何のつもり!?」

「てめぇ何者だ!!」

「は・・・はい?」

「さっさと言え!!」

言っている意味がわからない。


「何者って・・・ただの高校生なんですけど・・・」

「そんなに死にたいのか!?」

「ええええええ!?!?訳わかんないんですけど!!」

もはやパニック状態だ。まぁそれもそのはず。

突然訳のわからない事を言って、刀突きつけられたのだから。


だが、相手はどんどん怒りを募らせてくる。

「・・・・・・・・」

「あのさ!!何かわたし悪い事したの!?」

美雪は必死にそう言った。

「誰だか知らないけど、わたし悪い事した覚えないよ!?」

「・・・何言ってんだ?てめぇ・・・」


相手は何を言ってるんだお前という顔をしたが、突然思い立ったように声を上げた。


「お前・・・まさか・・・さ・・・・」

何か言おうとした瞬間に、また周りの景色が歪み始めた。


「クソ!!追いつかれたか!!」

「・・・!?!?」

いったい何が・・・と言おうとした瞬間に、巨大生物が数匹、歪んだ空間から出現した。








「ええええええ!?な・・何よこいつら!!」

さらにパニック状態に陥る美雪。

「んなもん見たらわかるだろ!!化け物だ化け物!!」

「わかるわけないじゃん!!」

美雪のツッコミを半分スルーして、男は続けた。

「あ〜もういい!!逃げるぞ!!」

「ぎゃあああ!!何すんのよ!!」

「うるせぇ!!置いてくぞ!!」

見た事もない化け物が現れたかと思うと、突然襲いかかってきた。

男は咄嗟に呆然と立ちつくしている美雪を抱えると、屋上のフェンスをよじ登った。


「え?ちょっと待って!?何する気・・・?」

美雪の質問に答えずに、男は美雪を抱えたまま真っ直ぐ地面に向かって飛び降りた。


「!!?〜〜〜〜!!!!!」

怖さに何も言えない美雪。

だが、急に落ちているという感覚がなくなった。


「・・・飛んでる・・・?」

男の方を見ると、背中から翼が生えている。

真っ黒で、カラスのような翼。


しかし、その翼はかなり傷ついていた。


「え・・?ちょっといったいどうなってんの・・・?」

「少し黙ってろ!!」

美雪にそう怒鳴りつけると、男は猛スピードで降下し始めた。


「〜〜〜〜〜〜!!!!??!!!」


一瞬、意識が飛んでいきそうになった。

そのあまりの速さに、巨大生物は二人を見失ってしまったようだ。








男が着地したところは学校から遠く離れた木の茂った寺の裏側。

たった一瞬だったのに、だいたい1kmぐらい離れたところに来てしまった。


「ねぇ・・・いったいあんたって・・・」

「・・・っ!!」

質問しようとしたとたん、男は急に苦しみだした。

美雪は驚いて駆け寄り男を見たが、体中痣だらけで、翼は大きな傷があった。


「手当てしないと・・・」

「触るんじゃねぇ!!」

男の身体に触れようとした瞬間、思いっきり手を弾かれた。


「なによ!!手当てしてあげようとしてんじゃない!!」

「大きなお世話だ!!・・・って痛てぇ!!!!なにしやがる!!」

傷口を軽く弾くと、飛び上がるように男は声を上げた。

「ちょっと待ってて。化膿したら大変でしょ?」

そう言って美雪は相手の有無を問わずに簡単な手当を施した。

少し暴れられてやりにくかったけど・・・。








「これで良し!!・・・・で、聞きたい事があるんだけど。」

手当を施すと、美雪はそう言って男の方をじっと見た。


「あんた・・・いったい何者なの?」




美雪の質問を聞いた男はふっと笑ってこう言った。

「それはそのままてめぇに返すぜ。てめぇこそ何者だ?」

質問を質問で返されてしまった。


「ちょっと!!ちゃんと答えて・・・」


「俺の姿はこの世界の人間には見えないんだよ。」




美雪の顔色が変わった。


それじゃあ・・・わたしは・・・・





「お前は、波長的にも、俺たちの世界の人間なんだよ。」







突然の言葉に、美雪は呆然と立ちすくむしかできなかった・・・。








「う・・・そ・・・・・・・・・・」



何かが砕ける・・・音がした・・・・・・









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