夢だと思っていた事
「美雪〜!!いつまで寝てるの?早くしなさい!!」
お母さんの声で、わたしは夢から現実世界へと戻ってきた。
わたしの名前は槇野美雪。
現在高校1年生で、これといった特技とかはないごくごく普通の高校生のつもりです。
せいぜいテニスをやってて、現在進行形で今もやってることぐらい。
ただ・・・毎日同じ夢を見る。
気が付いたら・・・たぶん覚えてる範囲ではだいたい小学校2年生ぐらいから見るようになって、ここ最近はもう毎日。
授業中居眠りしちゃったときとかまで。
・・・なんでこんなに夢ばっかり見るんだろう・・・。
「コラ美雪〜!!」
「は〜い!!すぐ行くから!!」
急いで服を着替えて台所へ向かった。
急いで身だしなみを整えて、台所に置いてある弁当を袋に包んで、朝ご飯を食べるためにイスに座った。
「いただきます!!」
「そうだ。美雪、お母さん今日用事があるから、帰るのが遅くなりそうなの。だから・・・」
「わかった。晩ご飯わたしがつくっとくから。」
「ありがとう。」
会話がはずんでいるうちに、朝食を食べ終わった。
「ごちそうさま。じゃあ学校行ってくるね♪」
「はいはい。いってらっしゃい。」
まさか・・・これがここでの最後の朝食になるなんて思ってもみなかった・・・。
美雪は家を出て、学校に向かって歩いていた。
だいたい学校は歩いて20分ぐらい。
朝練とかもないからのんびり行ける・・・なんて考えていると、後ろから声をかけられた。
「おっはよ〜美雪♪」
「あ、おはよ〜桜。」
彼女は日里桜。美雪とは中学の時からの親友で、同じクラス同じ部活である。
「ねえねえ、今日暇?よかったら遊びに行かない?」
「少しだけならかまわないよ。」
「じゃあ遊ぼ〜!!」
普段通りの会話をしているうちに学校に着いた。
だいたい予鈴が鳴る5分ぐらい前に。
自分の席に座って、窓の外を眺めた。
(・・・今日の夢・・・あの光はなんだったんだろ・・・)
ふとよぎった今朝の夢。
光の事だけでなく、あの謎の声。
他人事のようには聞こえなかった。
(いったい・・・誰が・・・・・・)
突如、睡魔が襲ってきた。
「・・・・・・・・・・・・・」
あれ・・・?また聞こえる・・・。
「・・さ・・・い・・ま・・・」
でも・・・やっぱり何て言ってるのかわからないよ・・・。
「・・・・・だ・・・ばか・むら・・・」
あれ?馬鹿って聞こえたような・・・?
「何してんだよこの馬鹿侍!!」
!?!?
今の・・・誰!?
「こら起きろ!!授業中だぞ!!槇野!!!!」
「!!!!・・・あれ?・・・・・!?!?」
気が付くと授業中だった。
「あれじゃないだろ!!なに居眠りしてるんだ!!」
「うわあああああす・・すみません!!!!」
周りから笑い声が聞こえてくる。
しまった。また寝ちゃったのか・・・
眠くないのに何で寝ちゃうんだろう・・・・。
「全く・・・しっかり受けないと成績下げるぞ!!」
「・・・ごめんなさい・・・」
さっきの声・・・先生の声だったのかな・・・?でも・・・侍って・・・いったい何なの・・・?
結局、それから午前中の授業は全然集中して取り組めなかった。
「み〜ゆき!!お昼食べに行こうよ♪」
「うん。いいよ。」
そう言って桜と一緒に屋上に向かった。
「ねぇ、今日の美雪おかしくない?突然寝ちゃったりさぁ〜。」
「ええ!?そ・・それはその・・・なんか急に眠くなっちゃって・・・」
「疲れてたの?」
「そ・・そうだと思う!!」
美雪は苦笑いでそう言った。
別に疲れてなんかいないし、眠くもなかった。それなのに眠ってしまった・・・。
それにあの声・・・
やっぱり気になってしまう。
「あ、忘れ物しちゃった!!ごめん美雪、先行っといて!!」
桜はそう言うと、教室に向かって走り出した。
「あ・・ちょっと桜・・・もう・・・。」
美雪はそう言って、すぐに屋上に向かった。
屋上には誰もいなかった。
吹き抜ける風が心地よい。
「この辺でいいか♪」
美雪は隅の方に座り、静かに桜が来るのを待とうとした。
そのとき
「!?!?」
突然周りの様子がおかしくなる。
景色が突然歪み始めた。
「な・・何これ!?どうなってんの!?!?」
そう思わず口にした瞬間、自分の隣の壁がひび割れし始めた。
そのひびはだんだん大きくなって、小さなトンネルのようになった。
そしてそこから・・・
「・・・くそ・・・逃げ切れるか・・・」
そう言いながら誰か出てきた。
出てきたその人は、銀髪のやや髪の長い男の人。
なんだか冷たいオーラを放っているように見える・・・。
そしてなぜかその声は
夢で聞こえた声と同じだった・・・・・