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ユウと菖蒲谷太郎
プロローグです。短いです。
あらすじにも書きましたが、ヒロインはデブです。
紙をそーっと捲る。音を立てたらマイクに拾われて監督に怒られてしまうから。
水無の、次の台詞。
『うちには無理やな。霜はどう思うん?』
僕の番!
『あたしは、できると思う。やろっ! きっとあたしらならできるって!』
「お疲れさまでしたー! ありがとうございましたー!」
友紀は大声を張り上げながら挨拶をする。その心はとても生き生きとしていた。
今日も頑張ったー……。
住宅街へとつながるドアを開ける。胸の中いっぱいに新鮮な空気が取り込まれて清々しい。すっきりするよ。
「よ、お疲れさん」
「あー、由希もお疲れ。ていうか菖蒲谷さん」
「じゃ、オレも。ユウさんお疲れ様です」
「やめろー」
友紀を外で待ち構えていたのは、先程演っていたアニメ『月極』の主人公を演じている中村由希。同じ学校に通い、同時に寮のルームメイトである
そんな彼と収録現場初めて会ったのは、『月極』の第一話の収録の時であった。