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……つけた。
私は、四角の一つに、静かに印をつけた。
「いいえ」
ペンを離したとき、
胸の奥で、何かが崩れる音はしなかった。
崩れるものは、もう残っていなかった。
用紙を差し出すと、
窓口の女性は、一瞬だけ視線を落とし、
何も言わずに受け取った。
「お預かりします」
いつもと同じ声だった。
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余韻
帰りのエレベーターで、
掲示板の端に貼られた、小さな紙が目に入る。
文字は、薄くなりかけている。
> お子さんから結ばれた約束、守りましたか?
下には、別の問い合わせ先。
別の部署名。
別の建物の住所。
この問いは、
ここだけのものではない。
どこかで、
誰かが、立ち止まっている。




