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お子さんから結ばれた約束、守りましたか?  作者: 田中葵
2.とちゅう
4/16

すぐ後ろの人物から

列の後ろに立っている男は、

自分が何番目かを、さっきから数え直していた。


この手の手続きは、早く終わるに越したことはない。

質問が多いほど、時間がかかる。

それだけの話だ。


——約束?


視界の端で、前の人が動かないのを見て、

男は、用紙の文字を追う。


子どもから結ばれた約束。

妙な言い回しだな、と一瞬だけ思う。


守りましたか、だって。


男は、心の中で、即座に答えを出した。

守っていない。

そもそも、覚えていない。


だから何だ、という感覚が先に来る。

今さら掘り返す必要はない。

過去は過去だ。


——こういう質問、要るのか?


そう思った直後、

胸の奥に、ほんのわずかな引っかかりが生まれる。


内容ではない。

「覚えていない」と即答できた自分の速さだ。


男は、その違和感を、

咳払いひとつで押し戻す。


前が、空いた。

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