序章
「初めてバンドを見たけど、みんなと見れてすっごく楽しかったー!」
学校の帰り、そこでふと耳に入った路上ライブの歓声、その帰り際、とある少女たちのたわいもない会話。
「………まぁ、結構楽しかったね。」
「うんうん、私は最後まで体力が持たなくてヘトヘトだったけど、それでも楽しかったね。」
私は、なぜかもわからぬ感情から感謝の気持ちを咄嗟に口にした。
「あのね、……みんな、ありがとう。」
「私がライブを見たいっていきなり言い出したのに、みんなまで付き合わせて……」
「その……みんながよかったら、またバンドのライブ見に行きたいな。」
その言葉は願いでもふと口元からこぼれ出た言葉でもない。
なにげなくそう思い描いた希望なのかもしれない。
「うん!また行こうよ!!明日でも、明後日でも、4人で行こうね!」
その言葉は今の幸福でいっぱいの私に、さらに幸福を重複させた。
「うん……うん!またいつ…あっ、流れ星?……やっぱり、また流れた!」
時刻は10時を過ぎている。
もちろん外はすでに真っ暗、周りには大きく光源と言える街灯はなく、流れゆく星々が剝き出し露わになっている。
「え!どこどこ!?ねえ、近くの公園から見てみようよ!」
近くには町全体を見渡せる公園がありその景色はまさに絶景と言えるだろう…。
「そういえば、今日って、ふたご座流星群の見られる日だったような……、確か朝のニュースで特集されてたよ。それにしても、きれい……!」
「へぇ、そうなんだ……なら、これからもっと見られるのかな。」
「もっと、たくさん………」
皆言わなくてもわかっていた。
それはきっと私たちを照らし出し、空のキャンバスに吸い込まれるほどの甘美なものなのだろうと。
「………………」
「心春?どうしたの?」
この反応、帰りも一番、心春が楽しそうでウキウキしていたというのに、どうしたのだろう?と素朴な疑問だった。
「………へへっ。いや、ずっとこうだったらいいなって」
「みんなで遊んで、バンドを見て、こうだそうだー!ってたっくさんおしゃべりしてさ、たまにこう星を見たりしてさ!」
「そんな風に、ずーっと4人で楽しくいられたらいいなぁって、そうお祈りしてた!」
たぶん、ここにいる皆が互いの思うこと、言いたいこと、果てには願うことも一致していたであろう。
「あっ、そうだ。またいつかみんなで家から双眼鏡持ってきたりさ、季節によって見える星座も違うから、また夏にも知らない星座が見れるかも、みんなで見ない?」
「………うん、おもしろそう」
「じゃあ、またいつかここで4人で見に来ようね!」
いつかもわからぬ約束に私は心をくすぐられる一心で、
「うん!」
そう二つ返事で返答を返した。
いつからか、私たちはいつでも一緒だと、これからも誰一人欠けることはない、ずっと友達なんだって、そう、思ってた。
そう――………………「願ったはずなのに………」
書き始めたのは最近学マスの一番星という言葉が耳によく入るようになったからです。
他にも惑星の英名は全て神話の神々の名称が由来なのだとか………!!