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本好きゆめの冒険譚  作者: モカ☆まった~り
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別頁 御伽噺「旅人」を創る

 私は「旅人」。名前はない。


 何もない荒野の道を私はひたすら歩き続ける。


 毎日の事なんだけど、ものすごく冷たい風が吹いたと思うと凍える位に寒かったり、太陽が大きくなったかと思えば、汗が吹き出す事を繰り返している。


 ある時、遠くに初めて「人」を見た。2人・・・。私がたどり着く頃には消えてしまっていた。 2人が居た所に到着すると、「虫食い状態」のサボテンが1本だけ生えていた。


 この世界に「夜」と言う概念はない。だから私はひたすら歩き続ける。 今日も、冷たい風に凍え、太陽の熱波で汗を垂らしている。


 随分と歩いているので、遠くまで来ているはずなのに、いつも同じ所を歩いている気がする。


 ふと目を遠くにやると、この前に見た「人」がいた。今度は3人。 急に空が暗雲に染まり、強烈な音と共に雷が走り、炎に包まれた地面が割れた! 驚愕と恐れを感じた私は気を失ってしまった。


 やっと、気が付いた私は再び、歩き出す・・・。 すると、今度は「女の子」が一人立っていた。


 その女の子は、私の所まで走ってきて「マントが汚れてますよ」と言ってきた。確認の為にマントを脱ぐ。


 女の子は空に向かって「私の勝ち!」「勝負しなさい!」と言って一冊の本を取り出すと「私の眷属になりなさい!」その瞬間、全てが闇に包まれた・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 気が付くと、荒野だったはずのあたり一面が草原となり、暖かな陽気と涼しげな風が吹いていて、快適な旅が出来ると歩き出す。 急に目の前に何か建物が現れ、その建物に行くと「カフェ」と書いてあった。 たぶん、休憩所だろう。飲み物と食事を頼んだら「1.800円になりま〜す」と女性の声が天から聞こえた。


 慌てて周りを見渡すと、誰もいない。それに所持金もない。手になにやらカードのような物を持っている感触があったので、手に目をやると「VISA」と書いてあるカードがあった。


「それで支払いが出来ますよ。」とまた天から声が聞こえたので、店の箱のような物にかざしてみる。「ピロリ〜ン」の音と共に「これで支払い完了よ!これからは、これで支払いなさい。」・・・またまた、天の声。とりあえず持っていくことにした。


「こんな話が面白いか?」老人のような声が聞こえる・・・。どうやら、天には2人いるようだ。「じゃあ、話を考えるから、少し待ってて。」少女らしき声が聞こえた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 私の名前は「ウォリス・バン・エモット」。 名前はなかったはずなのだが、急にそんな気がしてきた。確かに私はウォリスなのだ。


 当てもなく旅をしていたはずなのだが、大陸間の戦争があり私は敵の様を偵察する「斥候」として王都に向かって馬を走らせていたが、その馬も体力が尽き、今はこうして歩いて向かっている・・・そんな気がする。


 歩き続けているので、疲労困憊・喉の渇き、空腹感に襲われていた。「途中に休憩できるところがあれば・・・。」と考えていると、少し離れた所に「Mのマーク」の建物が見えた!あれはギルドに違いない!


何だ、この店は・・・こんな店は王国にはない形だ。敵国の店であったか! 私は、正体がばれぬよう、マントで顔を隠し、飲み物と食料を店員らしき人に注文をすると、「店内でお食事ですか?テイクアウトですか?」と言われた、テイクアウト?なんじゃそれ?


「ここで食事をして行く。」と告げると「ご一緒にポテトはいかがでしょうか?」「は?ポテトとは・・・?」 女性はニッコリと笑って「ジャガイモのことでございます!」・・・じゃがいもの蒸した奴か・・あまり好かんが女性の笑顔に押され注文することにした。


 店員はニッコリと笑顔で「970円になります!」「は?円?何でしょうか?円って?」「お客様は観光か何かでこちらに来られたのですか?外国のお金しかないのであれば、あちらにエクスチェンジボックスがありますが。」


 私は財布を取り出すと、金がない!あるのは「VISA」と書いてあるカードだけだった・・。


「お客様、そちらのカードでお支払いできますよ。」「そ、そうなんですか?」「こちらの端末にカードをかざしてください。」


 案内されるまま、カードをかざそうとすると、「一括でよろしいですか?」とニッコリ笑顔で質問された。


「ピロリ~ン!」「お支払い完了しましたよ。お客様。」


 このカードは何かの魔道具なのだろうか?じっくりと見ていると、私の名前が刻まれている。こんなカード持った覚えはないのだが・・・


「ところで・・・」「何でしょう?」「あなたは、いつも笑っているのですか?」「ええ、スマイル0円ですから!」店員はニッコリと笑いながら答えた・・・。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ゆめよ、この話は面白いのか?」また老人の声が天から聞こえる。「だって、旅人さん、目的もナシ、しかも休憩所もナシって可愛そうだから。」


・・・私は天の声を聞いている。どうやら私のことで話しているような気がしたからだ。この2人は、いったい誰なのだ・・・天から聞こえると言うことは神だと思うのだが・・・。


「で、この後どうなるんじゃ?」


・・・え?どうなるんじゃ?私は王国に報告に行かねばならないのだが?


「単純に王国に行くのはつまらないと思うの。」


 え?ちょ、ちょっと待って?


「やっぱり、魔獣が出てきたりして戦ってもらおうかな」


 ?魔獣と戦うの?私、斥候ですよ?戦いには慣れてないですよ?


「で、強い仲間と一緒に冒険して。」


・・・良かった。強い仲間か・・これで一安心・・・え?冒険?王国まで、この道をまっすぐに行くだけですよ?城も、小さいですけど見えているんですよ?


「途中で美女と出会って・・・。ロマンスもあって・・・。」


 美しくも麗しい女性・・・。旅の道連れにはいいかも知れない・・・。


「でも、ウォリスは男色が好みだから、仲間のひとりと出来てしまうの。」


 え?私は、女性が好みで男色趣味ではないですよ!


「ゆめや、「腐女子」の悪い癖が出とるぞ。」「腐腐腐腐腐・・・」「じゃあ、その光景を見た美しい女性は「私の事なんか、興味ないのね!」って怒って、ウォリスを鞭でシバク!って、どう?」


 え?私は男性に弄ばれた挙句に鞭でシバかれるの?やだよ!


「それがキッカケで、ウォリスは新しい世界の扉を開けるの。」


 私は、どこに向かっているのだろう・・・行き先も性癖も・・・。


「それで、王国に帰ったパーティーは王様に戦争の状況を報告するんだけど・・・」


 うんうん。それが本来の私の仕事だからね。


「でも、2年も経っていたから、すでに戦争は終わっていたのよ〜。王国勝利で。」


 え?戦争が終わっていた?私が冒険をしていたからか?鞭でシバかれてたからか?


「遅すぎる報告に激怒した王様が討ち首処分を言い渡す・・・」


 えぇ!?私は死んでしまうのか?体全体から血の気が引いていくのを感じた。


「ところが、一緒に旅をしていた女性が行方不明の王様の娘で。ウォリスたちは犯罪者から一躍、ヒーローになるの。」


・・・助かった・・・。良かった。


「めでたし、めでたし。」


「ところでのぅ、ゆめや。」「なぁに、お父さん。」「やっぱり、この話は面白いのかの?」「だよね。面白くない。違う話にするよ。それまでは書き加えるのやめる!」


 私は途方に暮れるのだが、ふと目をやると女性店員がスマイル0円を振りまいていた。


ー完ー

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