神々の円卓会議
大勢の神々が、円卓を囲んで協議している。
ここは「何もない空間」。
「ですから!ここは私が引き受けましょうと言っているのです!」
と息巻いているのは、ヘラクレス。
「この私が負けるはずがありましょうか!何卒、私に討伐の命令を!ゼウス様!」
ゼウスは悩んでいた…。
確かに、ヘラクレスは強い…だが、それは「過去の話」。
ヘラクレスは、かつて「人間」であった。数々の功績を讃え神となったのである。
しかしながら、今のヘラクレスには、自分が思っている程の力はない。
何故ならば、彼もまた、「神」だからである。
実は神々は、元々強大な力を持っていた。その力の根源は「人間の祈り」である。
大昔は人間の信仰心も厚く、それ故に神の力も絶大であった。
しかし現代となると、「神信仰」よりも「科学信仰」の人間が殆どで、我々神への信仰心はほぼ無いに等しい。ある場所では、まだまだ我々を崇め、祈りを捧げてくれる人間もいるが、数が少なすぎる…。
それ故に「神の力」は期待できない。ヘラクレスが幾ら英雄であっても、それは「過去のもの」なのだ。
「ヘラクレスよ!お主では駄目だ!必ず負ける!」
ゼウスが叱りつけるように声をあげた。
「な、何故ですか!私では不服と申されるのですか!では、私だけではなく、他の英雄と一緒に討伐してまいります!」
ヘラクレスは食い下がる…が…ゼウスが止めよとばかりに右手を上げたので、口を噤んだ。
「ヘラクレスよ…お主の気もちはよく分かる…しかしじゃ、我々は現実世界に干渉は許されん、そういう掟があるのを忘れたか?」
「解っております!ですので、ポセイドン様のように干渉可能にして下さい!」
「駄目じゃ!」
ゼウスが一喝した。
ゼウスは「悪魔ダイモーンは殺した相手から、全て奪ってしまう」事を知っている…。
今は人間を養分として、吸収しているに過ぎないのだが、それ以上の力を持つヘラクレス、「神の力」を吸収される訳にはいかない。ダイモーンがどうなってしまうのか、予想もつかない。
大昔ならば、行って来いと命令を下すのは簡単な事だった…そう、大昔ならば…。
さらに、ゼウスにはもうひとつの悩みもあった。
悪魔ダイモーンは、「強大な力を持った神々でも、封印するのがやっと」と言う事で、今では誰が行っても殺されるだけがオチではないかと言う事だ。
「もっと、我々に力があれば・・・。」
ゼウスは嘆き、そして悲しんだ。
全ての人間が消えてしまうのをただ、見るだけとは…。
「お父さん、皆さん、どうしたの?」
ゆめの声が響いた。




