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本好きゆめの冒険譚  作者: モカ☆まった~り
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銀河鉄道の夜

 お昼休みの学校の図書館にて…


「すみません。借りてた本を失くしてしまって…」


 そう謝っているのは、ゆめである。


「それで同じ本をパパに買ってもらいましたので、これで、許してください!」


 一冊の本を先生に手渡す。


 その本のタイトルは「北風と太陽」。

 ゆめが、干渉している世界が書いてある絵本と同じ物だ。


 先生は、無理をしないようにと、注意だけして、本を受け取った。


 図書館を後にしながら、鞄から本を取り出す。


「北風と太陽」。


「こっちの本を渡してしまうと、大変な事になるからね。」


 説明すると、同じ本は沢山ある訳で、それぞれには生命はない。だが、ゆめが干渉した時点で、その1冊の本の世界のみが、生命と共に宇宙の何処かで生まれると言う事。


 故に、他の人間が意識しても、その世界は生まれない。ゆめだけの「力」である。




 この所、「何もない空間。」には行っていない。


 家で、本の中に入り練習もしているのだが、


「どうしよう…」


 そう、ため息を付いている訳は、パパが、もう一度「お父さん」に会いたいと言っているからだ。


 パパはお父さんに何するつもりだろうと考えると、胸がムズムズして、行く気になれないのだ。




 5時限目は国語の授業。


 今日からは、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を勉強していく。


 本を勉強していく内に、ゆめの頭の中には、星空いっぱいの世界を汽車がゆっくりと走る、そんな光景が、頭に浮かんだ



・・・そう、頭に浮かんだ「だけ」のはず



 だから、何で私は汽車に乗っているの!



 その汽車は、木で出来ているのか、木目のある内装。ランプの照明がアンティークな感じ。窓から外に目を移すと、月明りと星々に照らされた、のどかな田園風景が眼下に映る。


 車輌の扉が開き、赤い帽子を被った車掌が、入って来た。


「切符を拝見いたします。」


…どうしよう…、切符持ってない…


「すみません、切符を失くしちゃって…」


「では、ここで買うことが出来ます。」


「あの、幾らですか?」


「百円になります。」


 100円なら、今持ってるけど、大丈夫かな?

 と、思いつつ、「100円玉」を取り出した。


 車掌に「100円玉」を渡そうと手を出すが、

 車掌の手に渡る時には「百円札」になっていた。 


「あの、この汽車は、何処に向かっているのですか?」


「南十字星ですよ。可愛いお客さん。」


 宇宙の空を走る「銀河鉄道」。

 ゆっくりとした時間が流れ、汽車の汽笛の音や揺れも心地良い。


「はっ!」


 こんな所で落ち着いている場合ではない!

 学校に帰らなくては!


 ゆめは、左手を突き上げ「帰還!」と叫んだ。


 教室に戻って来たゆめは、周りを見渡すと、時間が止まってる事に気がついて、パン、と手を鳴らした。


 いつも通りの、授業が再開された…。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 宇宙を駆ける汽車の車輌内に、少女の姿が見えず


「あれ?お嬢さん、どちらに行かれました?」


 と、ゆめを探す車掌の姿があった。

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