これから
「ごちそうさまでした〜」
彗太はご飯を食べ終わり、キッチンへ茶碗を持って行きます。茶碗を水につけて天使くんがいるリビングに戻ります。
「さて、天使くん。これからどうするの?」
彗太は天使くんに話しかけます。
「…………」
天使くんは黙って俯いています。
「とりあえず、警察とか児童養護施設とかに連絡入れたほうがいいと思うんだけど……」
「それはダメ」
「っ……!」
彗太は天使くんが言葉を被せてきたことに少し戸惑います。
(何か事情があるのかな……。家出少年とか?それとも本当に天使だから……?)
彗太は少し考えます。
(いや、結論を出すには少し情報が少なすぎるな……。もう少し天使くんと話して情報を集めよう)
彗太は天使くんに話しかけ続けます。
「なんで警察とかに連絡したらダメなの〜。理由を教えて欲しいな」
「天使は清らかな存在だから、守護対象以外とはあまり関わってはいけないのだ。まぁ、やむを得ない場合は除くが……」
天使くんはまっすぐ彗太の目を見て話します。
(……どう言うことだろう?天使くんが中二病ならこの答えで納得がいく。でも、理由を求められた場合、家出少年なら答えを出し渋るのが普通なはず……。それか適当な理由をつけるとかだけど……)
彗太はさらに質問を続けます
「天使くんの家はどこにあるの?お父さんとお母さんは?」
「なんだ、忘れたのか?さっきも言った通り家は天界だ。それに両親はいない。僕は最上級天使様の祈りによって生み出されたのだからな。」
(これも、さっきと同じ答え……。しかも、天使くんは僕の目を見て真剣に答えてくれている。……でも、やっぱり)
「でも、やっぱり言動が中二病っぽいんだよなぁ……あ。」
彗太は思わず思っていることを口を出してしまいました。
「彗太。僕は本当に天使なのだ。この場所は神聖な力が薄いので能力を使用することは出来ないが、君を守護するためにやってきたと言うのは紛れもない真実なのだ。今すぐ信じろとは言わない。」
「天使くん……」
彗太は天使くんのまっすぐな目を見て心が揺らぎます。
「……わかった。とりあえず行くあてもないんだし、ここにいていいよ。天使かどうかは置いといて」
「っ……!ありがとう!彗太。」
天使くんは目を輝かせてお礼を言います。
(本当はもっと情報が欲しかったんだけど……。あんなまっすぐな目で話されたら揺らいじゃうよね〜。僕もまだまだだなぁ)
「じゃあ、改めてよろしくね。天使くん」
「なんで、天使くんなんだよ。僕にはカイトという名前があるんだ。」
天使くんは少し不貞腐れます。
「わかったわかった、カイトくん。」
カイトは名前で呼ばれて嬉しそうです。
「あぁ、この僕が守護するんだ。絶対幸せになるぞ!」
「あはは、期待しておこうかな。」
彗太はそう言って、水につけていた茶碗を洗うためにキッチンへ向かいます。
こうして、彗太は自称天使?と一緒に暮らすこととなりました――
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