自己紹介
彗太はリビングで天使と名乗る少年と向かい合わせで座っています。少年はドヤ顔で彗太に話しかけます。
「じゃあ、改めて自己紹介するぞ!僕の名前はカイト!天使だ!!」
少年は堂々と答えます。
「じゃあカイトくんだね。よろしく〜。僕は……」
彗太が名乗ろうとした時、カイトが言葉を被せるように言ってきます。
「おっと!君の情報は天界ですでに調べてあるぞ!名前は星川彗太16歳で高校生だったな?」
カイトと名乗る少年はドヤ顔で答えます。
「そうだよ〜。カイトくんは賢いね〜」
彗太はニコニコしながら、カイトの頭を撫でます。
「ちょっ?!僕は天使なんだ!気安く頭を触るんじゃない!!」
カイトは少し恥ずかしそうにして、彗太の手を払いのけます。
「そもそも、よく考えたら僕の情報を知っているってかなり怖いね。カイトくんは僕のストーカーか何か?」
「ムッ!失礼な人間だな!僕は天使だ。天界にはあらゆる人間の情報があって、それを見てこちらの世界に来たんだ!」
カイトは頬を膨らませて怒ります。彗太はそんなカイトを無視して話し続けます。
「あ、そういえばお茶出してなかったね〜。ごめんね?すぐ出すよ〜」
彗太は立ち上がり、冷蔵庫からお茶を取り出してコップに注ぎ、カイトの前に出します。
「……彗太って、ほんとにマイペースだな。」
カイトの言葉に気にすることなく、彗太はお茶を飲みます。
「このお茶、スーパーの特売で買ったんだ〜。すごくお買い得だったんだよ〜」
彗太はカイトにいつも通りの口調で話しかけます。よく見ると、カイトのお茶は減っておらず、口をつけた形跡もありません
「あれ?カイトくん。そのお茶お気に召さなかった?」
「あぁ、いや……。天界にはこのような飲み物はなかったからな!少し戸惑っていただけだ。」
カイトはコップを手に取り、少し飲みます。一口飲み、しばらく固まっていましたが、いきなりものすごい勢いでお茶を飲み干します。
「なんだこの飲み物は?!かなり美味しいぞ!」
カイトは目を輝かせて彗太に話しかけます。
「それならよかった〜。おかわりもあるからね〜」
彗太は自分のお茶を飲み干して、冷蔵庫からお茶を出してきます。
「彗太!もう少しだけこのお茶というものをくれ!」
カイトは彗太に懇願します。彗太はニコニコ笑いながらカイトのコップにお茶を注ぎます。
「はい、どうぞ。」
彗太はカイトの前にコップを差し出します。カイトは一心不乱にコップを持ち、中に入っているお茶を飲み干します。
「プハー。彗太!君はとても良い飲み物を知っているな!」
「初めて飲むの?これは」
彗太は疑問をカイトに投げます
「あぁ、天界には聖水しか飲むものがなくてな。飲めなくはないが、あまり美味しいものでもないんだ」
「それはそうと。カイトくんの家は?両親が心配するから早く家に帰ったほうがいいよ?」
彗太の度重なるマイペースな性格により、カイトは少し呆れてきます。
「彗太、君と言うものは本当にマイペースだな。そもそも何度も言うが僕は天使だ!家は天界にあるし、僕の両親はいない」
「え?じゃあどうやって生まれてきたの?」
「話せば少し長くなるぞ。それでも聞くのか」
「気になるから、話してほしいな〜」
「わかった。じゃあ心して聞くのだぞ!天使の言葉は重みがあるんだからな!」
カイトはそう言い、話し始めます。
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