しばしお別れ
始めまして 読んで頂きありがとうございます リコリスと申します 何分老齢かつ目が非常に悪いので遅筆です 万が一楽しみにして下さった方に大変申し訳ございませんがご理解のほどを
老体に鞭打って頑張りますので応援していただけたらありがたいです」よろしくお願いいたします
ドアが開かれると 従者の方が居た そして直ぐにお姫様が現れた 昨日と違いパンツ姿だ「よし寝坊しないできちんと起きていたな」と
「ケアリャーフ」とポンスが言う「ケアリャーフ」とお姫様が返事をする 暫くポンスと何か話している 姫がポンスとカノアの背中をポンポンと叩く きっと娘は任せておけという事なんだろう
アインが身支度して現れた 大きなカバンを2つと小さなカバン1つを持って 急いで大きなカバンを持ってあげた 直ぐに破壊力抜群の笑顔を俺にくれた うーん幸せな気持ちに成る
思わずにやけてしまいそうだ すると従者の方が直ぐにお預かりしますと言った感じでカバンを受け取り馬車の方に持って行った
カノアが俺が此方に来た時に持っていた学校指定のカバンを手渡してくれた 俺に何か言っている きっとアノンを頼むと言っているんだろう 任せて下さいってつもりで握手をする 強く握り返される 心配な事も勿論有るが期待も有る 俺が心配な顔をしては居られない 続いてポンスにも何か言われる
ユリエールが通訳してくれる 「アインは しっかりして居そうだが時々抜けているので気を付けて 気の強い所も有るが貴方を本当に好きだから大丈夫 大事にしてと言っている」
「任せて下さい 命に代えても大切にします と言ってくれ」
「わかった」カノアと二言三言話した後に「大事に育てたがこれから娘はお前に任せた たまには帰って来いと言っている」「わかった これからは任された そしてアインと二人で時々帰って来るよとお願い」ポンスに話してくれている
本当に頼んだぞと言った感じでポンスからも握手された とてもとても力強く握手された 改めて覚悟と気合が入る おう!任せておけポンスよ いや義父さん また戻ってきます
「最後に お二人まだまだ若いので義妹か義弟を期待していますと言ってくれ」「ふむ判った」話してくれたんだろう 二人が照れている「任せておけと言っている そしてお前が居たから中々作る機会が無かったという苦情も聞いたぞw」「はははそりゃそうか 俺が居たんじゃそりゃ難しいよなw今日から遠慮しないでいいぞって言ってくれ」「判ったw」ポンス達に話す「はははははは」と3人で笑った 楽しみが一つ増えたよ だがアインだけは笑ってなかったむしろキッとポンスを睨んでいた 一瞬だが俺は見逃さなかった 直ぐに笑顔に戻り なにかポンス達に話している
「それじゃこうやって話していてもきりが無いので出発しようか」よユリエールが言った 最後にアインがカノンとポンスに強く抱き着いた しばし親子のお別れだ アインは涙が止まらない カノンが一生懸命涙を拭いている 俺も僅かしか過ごさなかったが何となくセンチな気持ちに成る だがそんな気持ちは此処に置いて行きアノンの為にも 頑張って行こうと気合いも入る 実際不安も多いが アインと居れば大丈夫だ これからの生活も不安だけで無く楽しみも有るのだ
カノアがサンドイッチの入ったバスケットを手渡してくれた 途中で食べてという事だろう 「グラッシュ(ありがとう)」と言ってカノアからバスケットを受け取った しかし単語だけだが随分言葉が出る様に成ったものだ
そして外に出てびっくりした 馬車は1台だと思っていたが実は3台有ったのだ 勿論この前見た馬車は豪華仕様だったが残りの2台は若干装飾が簡素化されている感じだ そして更に騎馬が8頭ほどいた 護衛なのだろう
どれに乗るのだろうと思っていると 当然の様に「こちらにどうぞ」と言った感じで従者の方がアノンの手を取り豪華な馬車に誘った
窓を開け 最後のお別れをしている
馬車が動き出す 徐々に速度を上げる 一生懸命アインが手を振る ついにポンス達の姿が見えなくなった 村を出て段々と周りの風景が緑一色に成って行った
それにしてもこの馬車はかなり広い
恐らくだが大人が6人乗っても余裕だろう その馬車に俺アインにユリエールと護衛の人が乗った 例の笑えば可愛いのに目の鋭い獣人の人だ
後ろの馬車にメイドさんや侍従の方が乗っているんだろう
この馬車は御者が二人いる さらに馬車の後ろにも二人いる都合8人乗っている 後ろの馬車はもっと多そうだ 馬で周りを警護監視している人もいる 何だろうな随分厳重な感じがする
この世界はそんなにも治安が悪いのだろうか?
気に成ったので聞いてみた
「ねぇユリエール様 随分厳重な警備だけどこっちって治安悪いの?」すると「この辺りは村人が豊かな暮らしをして居るので夜盗や盗賊は少ないが 地域によっては治安のよくない所も有るな それにな貴族は色々なしがらみで命を狙われるのだ 良い領主が特にな ポンスも心配じゃのう 良くない事を企む者によっては良い領主は邪魔なんだよ 一緒に悪巧みをやってくれた方が都合良いからな ついでに言っておくと前にお前が運が良いと言っただろう あれはそういう治安の悪い所でお前が見つかったとしたらお前がどうなっていたと思う?」言葉に詰まった 確かにあの村の人は皆良い人ばかりだったがそうじゃない場所も有るっていう事を考えた事も無かった よく日本人は平和ボケしていると危機管理が足りないと言われるが 全くもってそういう事の想像力が足りていなかったと思う
「おそらく死んでいたと思う」と答えた すると「そうだろうな 恐らく死んでいただろう 良くて奴隷商人に売られて奴隷生活だろう 実際に迷い人が来ても奴隷に成り言葉も判らず耐えられずに自死した者も多い それ以前に誰にも見つけてもらえず森の中で野獣に食われるもの 食べ物や飲み水を探す事が出来ず死んだ者も多い これは推測でしかないが此方に来ても1週間生きていた者は10人に1人居ないだろう そういう意味も含めてお前があそこの村の近くで見つかったのは幸運だったのだ しかもポンスは迷い人を知っていた 日本から来た者が沢山の知識をこの国に齎し発展の助けになったという事を知っていたので もしやと思い保護したと言う 迷い人は まれびととも呼ばれ沢山の知識とで国の為に成る者でこの国では英雄扱いだしな ただし何も知らない者からしたら ただの獲物だろう 言葉も判らず 何も知らないのだから おまけにこの国に無い珍しい物も大概持っているだろうし」絶句した まさしく絶句 言葉が出ない 俺が思っていたのより かなり過酷な世界に来てしまった 来てから如何成るなんて 成る様にしか成らない位にしか思っていなかった あのまま村に居て徐々に言葉や文字を覚えて生活して行くんだろうしか想像していなかった
「それにこんなに可愛い伴侶を見つけたんだから お前は本当に幸運だぞ」と言われて本当に幸運だったんだなと思った
日本語で話しているとアインがユリエールに何か聞いている
「二人で何を話しているのか気に成るらいいぞ 話して良いか?」「勿論です 隠す事でも無いんで」「わかった」アインに説明して若干顔が青くなった そんな危険だとはアインも思って居なかったんだろう 「でもウチに来てくれたのは神様の思し召しだと言っておるぞ」「そこは運命だったと言って置いて下さい」通訳したら今度は顔が赤く成った 青く成ったり赤く成ったり忙しいw
「しかしアインはこんな辺境に居たのに賢いな 正直驚いている 文字も知って居るし 計算も出来る 大概貴族か大商人の子息位だぞ まして辺境育ちと有っては驚愕に値する」「それはポンスとカノアが教えていたからでしょう」
「ほう 不思議に思って居たがポンス達は粗野な所も無く 人を敬む言葉もしっかりしていた 恐らく何処かの貴族出身かもしれんな 元々彼が指導者的に村を収めていたので 豊かで粗野な人間のいない村だったのだろうな」続けて「やはり教養と言うのは大事だな」と言った
「教養と言うより教育だと思います」と思わず言ってしまった
その時だった 急に馬車が速度を上げたのだった
急に速度ががったのでアインが驚いている 「心配するな」とユリエールが言った 御者に何か聞いている 「あほうな賊がずっと付いてきたが村から離れた所で 襲って来そうだそうだ 本当に阿呆共だがな」「ジレール!」と言うと目配せした
そうジレールと言うのはあの強そうな護衛さんだ
「ヤー」と言うが早いかかなりの速度の馬車からドアを開け出て行った 大丈夫な物なのかと外を見れば 既に賊達が追いついて来た
しかし馬車は速度を落とさず進んでいった
暫くすると馬車は止まった 途中で速度を落とした後ろの馬車もやって来た 外に出てみると侍従や侍女さんたちが忙しそうにテーブルや椅子を出してお茶の用意をし始めた
「暫くすればジレールも追いついて来よう それまで丁度良い休憩してお茶でも楽しもう」とユリエールは言うがあの護衛の人達大丈夫だろうか?気に成ったので聞いてみた
「ジレールさんや護衛の人達は大丈夫なんでしょうか?」
「心配など不要だ 馬車で移動したのもお前達が人が死ぬと所を見せたく無くて移動した迄 わしだけならあの場所で迎え撃ったのだぞ それにジレールや護衛団は私の国の最高の剣士達 しかも治癒魔術師も付いている 本当に馬鹿な賊共だな
アルメリアの紋章に気が付かなかったのか?それともあえて知っててきたのかのう?まぁジレールが2~3人は殺さずに捕らえて来るだろうからその時に聞こう」と優雅にお茶を飲んでいる お茶を頂き暫くしてアインが馬車に戻った時に 賊で有ろう者3人を縄で縛ったジレール達が追いついて来た いつの間にか護衛の人が増えていた きっと遠巻きに監視を兼ねて離れていた人も合流したのだろうか?随分沢山の人が居たんだなと驚いた
ユリエールがその内の賊の一人に聞いた
「何が目的だ?何処から来た?まさかアルメニアの紋章の意味を知らずに襲って来た訳でも有るまい」
賊は「そんなの決まっているでしょう 金持ってそうな馬車が来たから襲ったんですよ 紋章そんな物見た事も無いですよ」と言う話らしい ユリエールが通訳してくれた
「アインは馬車の中か お前も戻ってはどうか?見ていても判らんだろう?それに気持ちの良い物でも無いぞ アインの傍に行って安心させてやれ」と言われたがこれがこれからの現実だと思うとその場を離れられなかった
ユリエールがジレールに聞いた所残りの者は全て切り捨てたとの事 またユリエールが何か聞いた所 賊がそっぽを向いた瞬間だった 両手を前で縛られていたのだが 行き成りジレールが抜刀した刹那 ぽとりと両手首が地面に落ちた 痛みでのたうち回る賊の一人 血が飛び散る そして次の男に又何か聞いている そっぽを向く男 次の瞬間またその男の膝から下が無くなった また叫びながらのたうち回る ジレールが何か言っている そして3人目に又聞いたようだ 項垂れた男は観念したのか素直に話している そこで腕を切れたもの 足を切られた者は斬首された 確かに気持ち良くは無い処か真面目に引いた 躊躇いも躊躇もないのだ 「なんで?殺す事も無いんじゃ?」と聞くと 「どうせあの傷では助からない それに公爵家の者を襲った時点で死罪確定なのだ」と言う
野蛮と言うかこれがこの世界の法律なのか・・・生きて行く自信を失いそうだ
更に詳しく何か聞いている 観念したのか他の仲間が居なくなったからか素直に話しているようだ
「まったく面倒な事をしてくれた すまないが今日は少し遠回りに成る まぁそんなに急ぐ事も無いだろう」とユリエール
「それでどういう事なの?」と聞いた 「まぁ此処の近くの郷爵の跳ね返りが 領地を増やせとずっと言ってきていた なんでも税金が苦しいのでどうにかしろと 税金下げるか領地を増やせとな だが無能な奴でな 自分で領民の為になにもせず税金だけ搾り取っていたせいで領民は逃げだすわ 商人も禄に寄り付かなくなった 益々税金徴収に苦しむ様になった 此方としては逆に領地を取り上げようかと思って居た位の所を何処かで聞いたのだろう そこで自分の近くに公爵家の者が来たので捕らえてちょっと脅して領地を増やして貰えたら幸いって事らしい 愚かな事だ さて此奴を捕らえて有るので言い逃れも出来ない様に成ったのでちょいと懲らしめに行こう」とちょっと楽しそうに言った「お嬢様はお暇だったんですね なんだか楽しそうですよ」と言うと「いや前々からアイツは評判悪い上に悪いのは公爵や伯爵だと言いふらしていたので そろそろ現実を教えてやらないとな」
そうして休憩をした後に再び馬車に乗り出発した
あそこから 随分走って夕方に成り陽が傾いた頃村に着いた
何だろう?皆暗い顔の上に 顔を合わしても皆顔を俯く者ばかりだ タルホ村の人とは随分違う あそこの村では出会う者出会う者全てが明るく挨拶し 働く人も活気が有り皆楽しそうだったのだ 同じような境遇のはずだがどうしてこんなにも違うのだろう?ユリエールが「お前も判るだろう?タルホとの違いが もしもお前が此処の傍に来たのだったらきっと今頃生きてはいないだろうな そして如何にポンスが優れた領主か判るだろう?此処のボンクラと大違いだ」言われてみて思いいたる事が有る ポンスは皆が協力し易いように皆から色々聞いていたし夜に成って男達や偶に女性達もポンスの家に来て酒を呑んでいたのは騒ぎたいだけじゃなく 色々相談もしていたのだろう
個人では大変な事は村人総出でやっていたものな そう思うとポンスは優秀な男だったのだな 誇りに思うよ義父さんw
そうして村を進むと大きなお屋敷が見えて来た 憤った顔でユリエールが何か呟いている 屋敷に近づくといきなり 兵士が襲ってきた しかも相当な数だ こちらは総勢良い所30~40人だが兵士は100人は居る すると「心配するな お前とアインの安全は保障する 傍に居てやれ」とユリエールが言った そしてジレールに目配せすると直ぐにジレールと3~4人が馬車の外で睨みを利かせていた すると後ろの馬車から普段は優雅にお茶の用意等をしてくれていた侍従や侍女さん達も各々武器を持って馬車から出て来た 余りのギャップに非常に驚いた ジレールは馬車を守っている それだけで何故か安心する
屋敷の中を見ると馬車が止まっていた 何やら荷物を積み込んでいる その傍で何やら言い争っている男女が居た ただし少し離れているし 何しろ兵士と護衛の人達が戦っている最中だ 震えるアインを抱きしめ頭を撫でながら判らないと思いつつ「ユリエールさんが大丈夫と言ってくれているしジレールさんが馬車を守っているから安心して」と言うと小さく「ヤー」と答えた 実際馬車に近づける敵兵は居ない 近づくと直ぐにジレールに切り捨てられる 本当に強い 勿論護衛の人も強い
暫く戦闘が続き 此方が優勢になった所で屋敷の門が開いた が出て来ようにも兵が居て出られない 御者と窓を開けた馬車から男が何か叫んでいる 退けとでも言っているんだろう するとジレールが脱兎ごとく走り出すと馬車に近づき刀を振ると御者の首が落ちた・・・こうなってしまっては馬車は動かない 中に居た男は悪あがきにも更に逃げようとしている ジレールの手とうが その男を打ちその場に崩れ落ちた と同時に首根っこを掴まれ身動き出来なくなった そこでユリエールが外に出て何か大声で言っている すると兵士達は動きを止め 後ろに下がりだす すると屋敷の方から女性が走って来た
最後まで読んで頂きありがとうございます まだまだ書くことに不慣れですが精進していきます
よろしくお願いいたします