とあるラブレター
誰かに向けて書かれたラブレター
誰に向けられたものなのか、誰が書いたものなのかは雨に濡れて見えない
いつからだったか。
あなたを意識したのは。
いつも笑うあなたが、可愛いと思い始めたのは。
最初は、心を殺そうとした。
この心の内を知られて、気まずくなるあなたを見たくなかったから。
知っていたから、この恋は実らないだろうと。
あなたは高根の花で、雑草みたいな落ちぶれた私にはもったいないし、ふさわしくない。
話すのを、やめればよかった。
そうすれば、この心がばれないのは確実なのだから。
でも、この恋心はそれを許してはくれなかった。
誰かとあなたが、話してニコニコするたびモヤモヤした。
話しかけられるたび、心臓が跳ねた。
話しかけてくれなかったたびに、嫌われていないかビクビクした。
話しかける時に、面倒くさいと思われていないか不安になった。
会話を止めたくなくて、永遠と同じ言葉を言ってしまった時もあった。顔には出てなかったと思うが、あれほど自分のコミニケーション能力を呪い、消えたくなったことはなかった。
そんな自分が、気持ち悪いのではないかと自己嫌悪したことはよくあった。
僕は、高校に落ちて彼女は受かった。
僕は、彼女の日常の脇役にさえなれなくなった。
それでも、打ち明けられないこの恋がまだ脈打っている。
勇気のない、意地汚いこの恋は続いている。
だって、彼女に...あなたに読まれるのをどこか期待している自分がいるから。
ここまで固執するのは気持ち悪いかもしれない、だけどそれでもどうしても捨てきれない。
あなたに直接言えない私は、ここに書きます。
勇気がなくて、臆病で、あきらめきれなくて、この初恋を引きずり続けて、この恋心を捨てたくない私は、ここに書きます。
あなたが好きです。
恋とは残酷なものです。
ほんとはバレンタインに出したかった。