第五話 初陣
ゲルゼン帝国宮廷ー
「今は国力が回復していない!だいたい、8ヶ月前に戦争したばかりだろう!」
「半年以上たってるではないか!国力が戻ってないのは文官の怠慢であろう!」
「軍人の貴様に文官の何がわかる!脳筋は黙っていろ!」「っ!貴様〜!」
「落ち着け!宰相よ、国力はどの程度回復している?」「はっ、戦争前の7割ほどです。」
「ふむ、今回戦争しようとしているのは8大国の一つだったな。開戦して半年間は国境で防戦していれば回復し切ることはできるか?」
「4が月で完全回復してみせます。ただし、国境部は要塞の建築が必要なため2が月は開戦を待ってほしいです。」「軍部はどうだ?」「はっ、それで宜しいかと。そう言えば陛下、皇女様の初陣はいつですかな?もし宜しければ、今回の戦で初陣とするのはいかがですかな?」
「その件は娘に聞いてみればな。次の会議までに聞いてくるとしよう」
「その必要はありません。私はここにいます」
そう言って扉を堂々と開け放ったのは第一皇女、スカーレット・オリバー・ゲルゼン。会議している一同が驚愕していると、部屋の奥へと進んで父親の右側に座った。(右側が軍人陣営)
「さて、私の初陣でしたね。今回話しておられる戦で構いません。」「本当にそれでいいのか?」
「はい。それと、要塞建築は私の指示に従って貰います。私は直属の兵2000を率いていきますので。」
「はは!皇女様にはいつも兵たちがお世話になっております。次回はもっと厳しく、死なない程度によろしくおねがいします。」
「ええ、今週中に私達の兵と一緒にするわ。」
「ありがとうございます!」
◆
8大国の一つ、リゾ帝国との国境から4キロ後方ー
「ここは山脈や大河等行軍には適さない要塞を建てるには最適の立地だ!ここに、強固な要塞を建てる!各自、作業を開始せよ!」「「「おう!」」」
それから1ヶ月もの間、ここには毎日のように馬車によって資材が運ばれてきた。「よし、資材の搬入は今日までだな。」「殿下!外堀が完成しました!」
「今見に行く!」そこには縦10m幅5mほどの堀があった。「この外堀は落とし穴にする。この下に槍を上向きに指しておけ。後でもう一度見に来る。」
「了解しました!」「殿下!内堀が完成しました。」
「内堀と本陣の間を5m地面を押し上げろ!土は外堀のものがあるはずだ!」「了解しました!今すぐ取り掛かります!」
◆
そんなこんなで2ヶ月という短い期間で要塞を建築し終わったと同時にリゾ帝国に宣戦布告。すぐにリゾ帝国は越境。しかし越境から2日後に行軍を停止。侵攻軍が目にしたのはーどこから見てもスキのない要塞だった。