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美(うつくし)  作者: 二糸生 昌子(にしお しょうこ)
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美(うつくし)

今井剛は、美に引っ叩かれた時、正確には美の流れ落ちる涙を見た時に戦意を喪失した。

今まではチヤホヤされている勇敢が鼻について仕方がなかった。誰からも興味を持たれ愛される勇敢が腹立たしかった。だがあの日、勇敢には全く似ていない美にびっくりした。勇敢の姉さんだと言うけれど、この人は誰なんだろうと今井剛は思った。そして美の涙がさらに今井剛を驚かせた。

女の子が手放しで涙を流すのを見たのは初めてだった。強そうな女の子なのになぜ?

ブスなんて言葉はもう何と言うこともない言葉のはずで、剛は何人もの女の子にぶつけてきた言葉だったし、深刻に受け止める女子なんかいないと思ってきたのだ。それなのに、あんな一言でなぜ泣いたのだろう?

それとも、ブスは関係なくて弟が酷い目にあっていると思って泣いたのか?剛には見当がつかなかった。

ただ、その時の美の涙は剛の心の片隅に引っかかり続けていた。でもまだ幼い剛はそんなことより大事なことは、他のからかい仲間に「剛ちゃんは勇敢の姉ちゃんに引っ叩かれて大人しくなってしまった」などとは死んでも言われたくないと言うことだったので、

「おい、勇敢、決着をつけようぜ」と凄んで見せた。

「何の決着?」と、呑気な返事が返ってきた。

「なんのって」何のだろう?こう言う場合、落とし前とか言うのだろうか?落とし前ってなんだ?

「今日学校が終わったら、机橋にこいよ」剛は女子達に聞かれないかヒヤヒヤしながら言った。もし聞かれでもしたら、学校中の女子が机橋に押しかけかねないからだ。だが運良くその話を聞いた子はいなかった。

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