ツンデレな彼女ができた
「私と付き合ってください」
「お、おう。俺でいいならこちらからもお願いしたい」
彼女いない歴=年齢 の俺に昨日初めて彼女ができた。
体育館裏に呼ばれた時は、カツアゲでもされるんじゃないかと怖かったが、まさかまさかの告白だった。
相手はクラスカースト上位。
それに対して俺は中の下あたりだろうか。
ちなみにその彼女はツンデレだと思う。
いや。絶対ツンデレだ。
だってさ。
昨日告白されて、いいよっていったら、
「あっ。で、でも別に好きってわけじゃないんだからね?」
だってさ。
小説のキャラレベルのテンプレツンデレ。
そもそも好きじゃないやつに告白なんてしないだろ。
「ちょっ。おい! 誠也何ボーッとしてんだ? そっちボールいったぞ」
ん?
何か言ってたので顔を上げる。
おいおい!?
眼前に迫るボールを見て、「あぁ、だめだこりゃ」なんて思いながら目を閉じた。
♢♢♢
保健室で俺の看病をしながら彼女は言う。
「べ、別に心配したってわけじゃないんだからね?」
「はいはい。分かってるよ。ありがとな」
爽やかな笑顔で感謝を述べる。
もうこれでイチコロだよな……?
うーん。
て、照れてはないみたいだなぁ?
ちょっと気持ち悪いものを見るような目で見てきてるけど、それも照れ隠しだろ?
そうやってしないと顔がゆるゆるになっちゃうんだろ?
「あ、うん。ちょ、ちょっと気分悪くなっちゃったからお手洗い行ってくるね」
えーっと!?
あっ。そういうことか。
ちょっとそろそろ顔の緩みが抑えられなさそうだからトイレで落ち着かせてくるんだよな。
♢♢♢
あれからも俺は彼女のツンデレ発言をデレとして受け取ってきた。
まぁ、そんなすぐに素直になんてなれないだろうから大丈夫だ。
いくらでも待とうってことで待ち続けて今日で付き合い始めて3ヶ月目だ。
いろんなところに行った。
たとえば、水族館とか、ショッピングとか……。
……あれ?
あんま行ってなかったな。
今日で付き合い始めて三ヶ月なんだ。
そろそろデレるはずだ。
と思っていたら、その愛しの彼女からお呼び出しだ。
デレ期到来のお知らせかな?
「別れましょ」
「へっ?」
「あなたも前私があなたのこと嫌いって言った時、『分かってるよ』だの、『俺も』だの言ってたじゃない。反対なんてしないわよね? サヨナラ」
「えーっと。へっ? デレ期は? ツンデレは?」
「デレ期? ツンデレ? あなたは何を言ってるの? 私罰ゲームで告白しただけなんだけど」
「あっ。あぁあぁ。知ってたよ?」
「それは良かったわ。あっ。学校じゃ話しかけないでね。キモいから。前の保健室の時は本当に危なかったわ。それじゃ」
俺の始めての彼女はツンデレじゃなかったらしい。
彼女の去っていく背中を俺は呆然とみていた
♢♢♢
「私と付き合ってください」
俺は学年一の美少女に告白されていた。
「俺で良ければお願いします」
「あ、でも、べ、別に好きってわけじゃないんだからねっ!?」
「本当は?」
「ふぇっ?」
今回はガツガツ本音を聞きに行こうと思う。
前回みたいに勘違いされないように。