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魔道少女の瞑歌  作者: れるり
2/8

廻 2

この男は、人間だ。

人間だ、と思うと、ココロがざわつく。

それは、恐怖と、怒りだった。

ただ、その感情は、()()()()()()気がした。


誰なのかも、自分にとっての何なのかもわからない男に。

仰向けになっていた身体を起こしながら、言葉を吐き出した。


「あなたは。人間、なのですね」


うまく起き上がる事が出来ず、またベッドに倒れ込んだ。

視界から男が消える。なんだかこれで良い気がした。

本当に見なければならない、見ていなければならない、誰かがいる。

身体と精神がまだちぐはぐで、上手く動くことも出来ない、

歪な自分の中で、それだけは、きっと、確かな事で。


そして、もう一つ。


「わたしは……人形(ドール)


だとしたら。言葉が、徐々に整理出来るようになる。


「あなたが、わたしの……マスター、なのですか」


倒れたまま、灰色の天井を眺める。

人間。人形師。人形。主従。隷属。

そうだ、だからわたしは人間の事が嫌なんだ。


「いや」


視界の向こうのどこかで、男が言葉を発している。


「私は君を……」


言葉が、途切れた。

なんとなく、『造った』のだと言いたい事が分かった。

人形として従う誰かは、この男ではないらしい。


「……君には、君を愛してくれる人と、会って欲しい」


愛。あい。愛。言葉を反芻する。

馬鹿らしい。人形には、決して縁のない言葉のはずだ。

それでも、それはごく身近にあったような気がする。

ずっと、触れていたものが、愛だったような。


まさか。ありえない。ついさっき動いたばかりの、人形なのに。

まるで記憶があるみたいじゃないか。

()()()()は、きっと、別物だ。


「それは、命令ですか」


「めいれい……? いいや、違うよ。私達の……望みだ」


今度こそ、起き上がる。少しだけ勢いをつけて。

身体はうまく起こせたけど、やっぱりまだ、ふらついてしまう。

倒れないように、ずっと寝ていたのだろうベッドから降りる。

ゆっくりと動けば、体勢を崩す事も無いはず……と、思う。


「わかりました。あなたに、従います」


再び男をじっと見つめる。

ずっとココロの中で蠢く、人に対する恐怖と憎しみ。

それをこの男に向けるのは、この男に対して感じるのは、やっぱり違うと思った。

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