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魔道少女の瞑歌  作者: れるり
1/8

廻 1

情報が、渦巻いている。


初めて認識する()()が、<情報>だという事は理解できた。

世界、死、神、人、人形。

生命、知恵、身体、精神。

いまこの場所から、()()()()()

これから、()()()()()()()情報。

情報の渦が消える。内側が<空>になった。

それなら、これで。

()()()()()()()


目を開ける。光が差し込んでくる。

ぼやけた世界が、ゆっくりと、形作られる。

初めて目にしたのは、人だった。大人の男だという事は、分かる。

そのはずなのに、()()()()()()気がした。

もっと、違う。何か、ただの人ではなく、別の何かだったような。


しなければならない事があった気がする。

目の前の、男に、言わなければならない事があった気がする。

口内に冷たい空気が流れ込み、息をしている事に気が付いた。

それとも、言葉にしないといけない何かがあったのかもしれない。

男との間で、ゆっくりと時間が流れている。

何をしないといけないのかは、いつまでたっても分からなかった。


やがて男は、こちらを見つめたまま、口を動かした。

声を出している。男の声が聞こえてくる。

初めて感じる声は、ごちゃごちゃとした、理解の出来ない音だった。

知っているはずなのに、分からなかった。

口の形が変わり、動かなくなる。また変わる。動かなくなる。

繰り返される男の動きが、どこか面白く感じた。


――よかった。


それが初めて認識した男の言葉だった。


「あな、た、は。……だれ、ですか」


男と同じように、声を出す。

自分の口を見ることはできないけど、男と同じように、面白い動きをしているのだろうか。


男は、微笑んだ。

嬉しいからなのか悲しいからなのか。

声は聞き取れても、表情が分かっても、

そこに付随する感情までは、分からなかった。


「私は」


男がゆっくりと、話しかけてくる。


「君を、待っていた」


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