表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/6

〜始まりの街に現れた双子〜05

◆登場人物


■主人公

リズ…双子(ラビスの妹)厨二病不思議少女

ラビス…双子(リズの兄)冷静沈着な少年


■ギルド役員

フェルナ…受付嬢 兼 ギルド内酒場のウェイター


■冒険者

ギルバード…悪態ばかり吐く中年冒険者

ロミオ…ギルバードに憧れる少年冒険者


◆前回までのあらすじ

始まりの街カランカに訪れた不思議な双子。

冒険者ギルド受付のフェルナからギルドカード(冒険者見習いEランク)を受取り、初級ダンジョンの入り口で様子見をしていた。しかしダンジョンから出てきたのは初級ダンジョンではありえないような深傷を負った瀕死の冒険者だった。


5.幻の最下層





大きな爆煙が立ち込めるー





その煙は所々が鈍く光り、2人の冒険者の小さな影を表面に映し出していた。



意識を失い倒れ込む小さな影をもう1人が庇う。


「ロミオ!!!おい!!!しっかりしろ!!!」



瞬間ー

雷雲のように稲光りが煙に流れ、立ち込めていた煙が突風に吹き飛ばされた。



『神盾イージスッ!!!』



晴れていく煙の隙間から見えたのは、

赤い鱗に覆われた体躯。


鱗の上からでも分かる。何重にも重なる繊維を絞ったような無駄のない筋肉。


大木とも見紛う太い四肢で大きな体を支えるのはモンスターの最上位種。



〝ドラゴン〟だった。



鼻先から尻尾まで7Mはくだらない。車を2台並べた程の大きな体を反らし喉を膨らます。


眼前の男に深紅の眼を向け禍々しい顎がゆっくりと唾を伸ばしながら開く。


不気味な笑みにも似た表情から、

開ききった大顎。


発した大喝は煙幕を円形に巻き込み渦を作り、

空間を波紋が揺らした。


「ッーーーー!!!!!!!!!」


凄まじい衝撃波が地面を吹き飛ばし、

煙に流れた稲妻が引火し続けて爆炎が起きた。




〝ドラゴンブレス〟




ーーー



崩落と共に現れた人間を灰塵に帰した

ドラゴンは崩落する天井を見つめていた。



人種なぞこの程度。



睨めば恐怖に絡まり自由を奪われ、

ひと吹きすれば塵となる。



幾ら力を持てども只の人間。

我と相対する事など叶わない。



眠気覚ましと言わんばかりのその表情は、

終った戯れに退屈を取り戻していた。




鈍く光るフロア。




崩落した天井の大きな穴からは止めどなく繋ぎを失った大きな瓦礫が落下し砕け、所々で光を放っていた石中の光が干渉し合い稲妻が走る。



人影があった場所には煙が巻き上がり、

地面を這った炎が軌跡を描く。




月明かりが差し込んでいた。




大きく伸びをするように翼を広げたドラゴンは長い眠りの苛立ちを地上に向けて飛び立とうとしていた。

















「…そんなもんか……赤龍ラグナ……」










一瞬。

瓦礫を縫う様に響いた言葉。



決して大きい声ではない、

つぶやいたような男の声。



耳を疑い振り向いた。



それはー

紛れもない〝闘志〟




焼けた粉塵が宙に消える。

月から注ぐ光が闇を裂いて男を照らしていた。


体を伝う煙が人影を露わにしていく。






何だこの人間はー







眼前に現れた目障りな2つの影は、

跡形も無く消し飛ばしたはず。



手加減をしたつもりはない。

いや、寝ぼけていたのか…



どちらにしても、人種がそこに立っていられる威力ではないー







何故そこに立っているー






眼光鋭くドラゴンを睨みつけるのはギルバードの姿だった。





「もうおわりか?…」





陳腐な体で威勢を発する人間は、

側に倒れ込む少年を守り切ってみせた。






我と〝戦う〟つもりかー




たった1人でー




そこに勝機があるとでも思っているのかー





力の差を顧みない人間は、稀にいる。

差し違えても想いを振り抜く、まさに命を賭す一撃は何の因果か治りが遅い。



古傷が疼いたドラゴンに

苛立ちが込み上がる。



大縄を締め付けるような筋肉の音が、

ドラゴンから発せられる。



膨れ上がった鱗の隙間から蒸発する気体に、

本来の力を出そうとしている事は明らかだった。



絶対的な種の違いー



持つ者と持たざる者ー





激昂したドラゴンが怒号を咆哮する。


「ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」


低音とも高音とも聴き取る事ができない声が、

視界を、空間を揺らす。



咆哮に揺られたダンジョンは崩落を加速させ、滑落した穴を広げた。





ーーー




「ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ」



怒号に揺さぶられたロミオが意識を取り戻す。


冷たい石畳は平ら。



どこだここは…



霞むまぶたに映るギルバードの背中。

起き上がろうと体を動かすが激痛が体を走る。


でも大丈夫…動かないわけではない。


「痛ッ…う…ぎ…ギルバー…」


ギルバード悪い!オレは大丈夫だ!


無事を知らせようと放つ言葉。

その最中に見えた深紅の巨体。


頭の理解が追いつくよりも先に、

体が恐怖に押し潰された。


定まらない焦点に揺れる視界。



「ドラ……ゴン…!??」




離れなければー



本能がそう叫んだ。



腰を抜かし無様に後ずさる。


突きつけられた〝死〟に縛られた体は、

うまく動かない。


ダメだ…絶対に殺される…


いくらギルバードでも勝ち目なんか無いー



絶望するロミオを守るように…



たった1人ー



迎え撃つギルバードの姿が記憶と重なる。



あまりの恐怖に意識が分断されたのか…

冷静な自分が、ふと、気付いた。



「あの時と同じだ…」



凍っていた心が溶けるのを感じたあの時と…

心から目指したいと思える夢ができた。

あの時と…


久々のアップです!!!

決してサボっていたわけではなく…

これほどの長文は未知の領域となってきました…

そうです。苦戦です!!!(早い)



Twitter→@kuze45526408

最新情報やイラスト、挿絵なども載せてます!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ