デブの決定打
それ以降、やっぱり自分で努力するしかない、という結論に至った私は運動した。づ・く・め・にした。一週間に5日、キックボクシング、ヨガ、ソフトテニス、ジャズダンスで埋め尽くした。元々の生真面目な性格がたたって、慣れないジャズダンスで足首を軸に膝を左から右にスライドさせる動きがあったのが、先生のように膝だけが大きな弧を描く動きがうまくできず、猛練習した結果、膝を痛めた。
そりゃそうだ。
最近の柔軟体操だって、昔は普通に準備体操でやっていた膝に手を当てて、膝をぐるぐる回すやり方は軟骨をすり減らすからと、やってはいけない動きになってしまっている。あれがこれだって、何でやってる時には気づかなかったんだろう?一生懸命になる余り、加減もわからなくなって、ただひたすらに打ち込んでしまう。
何でも初心者が要領を得ないまま、がむしゃらに頑張るのは良くない。自分の知らない事に挑戦する時は、きちんとインストラクターに教わりながらやった方がいい。
ダンスの先生が、「そこの力の入れ具合が間違っていますよ」とか「これは膝に負担のかかる動きだから、あまり根を詰めてやらないように」とか、アンタ、プロなら何で言ってくれなかったんだよ、と恨めしく思うけど、先生だって、所詮週一の趣味の習い事如きで、ここまで必死に練習する生徒がいるとは思ってなかったのかもしれない。
この膝の故障は、果たして、私の体に取り返しのつかない痛手を与えた。
軟骨を自らすり減らすような事をしてしまい、両足とも痛くて、一時は松葉杖がないと歩けないほどになった。歩くのが痛いから、動くのが苦痛になった。そして、できるだけ動かないようになった結果、
・・・・・・太った。
でも、当時は太った云々より、私はこのままこれで一生歩けなくなるんじゃないかという恐怖に包まれていたから、全くそれどころじゃなかった。勿論、足への負担を考えたら、体重を増やさない、というのは絶対条件だけれども、とにかく、何とか治る兆しを見つけようと必死だったのだ。そして、カイロプラクティック、整形外科、整骨院、を転々としてもダメで、最終的に針治療で何とか普通に歩けるほどに回復した。
もう走ったりはできないけど、歩くのには問題ない程度に治ることができた。
嬉しかった。
もう色々な事は望まない、ここまで治ってくれたんだから、もう贅沢言わない!
そんな気持ちになった。
でも以前のような運動はもうできない・・。
そうして私は坂道を転がり落ちるようにデブの一途を辿っていったのだった。