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青春のライブラリー

作者: 池田 智之

目の端に映る赤い血。そして大好きな人の悲しい顔。それでも私は満足だった。

 遡ること1年。当時の私、早川美奈は言わずもがな地味だった。いつも眼鏡をしていて、休み時間には読書をする毎日だった。でも私には憧れがあった。アニメやドラマみたいに誰かが私の心のドアをこじ開けてくれる人がいるだろうと。そう思い続けてもう3年にもなる。中学生になれば青春が待っていると思っていた。でも実際に待っていたのはただただ面白くない日常だった。友達もいない、周りからは地味子呼ばわり。そんな日常だった。けれどその日常はふと急に変わることとなった。それはクラスでも1番関わりたくなかったカーストでいうと上位クラスの矢神真二だった。そして彼は女たらしとの噂もあった。そんな彼が急に私に絡んでくるようになった。カースト底辺の私は弄ばれるんじゃないかいじめられるんじゃないかと不安で不安で仕方なかった。もう話した感想はチャラい!話にまとまりがない!日本語が下手!情緒不安定!などなどあげ出したらキリがないほど最悪だった。できるだけ何処かに行ってもらえるように努力した。

 それから1ヶ月が経ち、未だに矢神君は私の隣にいる。つい最近席替えがあって、私は1番前の席になって授業に集中できると思っていた。横の席が彼でなければ。運悪く席が隣になってしまった。矢神君は喜んでいたけれど、私は明らかに嫌な顔をしているだろう。

「そんな嫌な顔しないでよ〜、友達でしょ俺たち」

私はそんな言葉に耳も傾けず本を読むことにした。

「俺、美奈のこと好きなんだけどな〜」

「はぁ、私はあなたのこと好きじゃありません。それに本を読んでいるので静かにしていてください」

「あなたって言うのやめてって言ったよね〜真二って呼んでよ〜、そんで静かにしてれば横にいていいってことだよね」

話してしまったのが間違いだった、言い出すと絶対諦めないのがこの男だった。はぁ、ほんとめんどくさい

「はぁ、真二君の好きにしてください」

「やったー、ありがとう!」

たしかに静かにしてくれてはいるものの私の顔をずって見てくる。流石の私も我慢できず違うことをすることにした。休み時間が終わる頃にはもうくたくただ。なんで休み時間に疲れないといけないのか。授業が1番楽である。横が静かなのが唯一の救いだ。授業をちゃんと聞いているわけではなく寝ているのだ。そんな彼だけどちゃんと起きている時がある。それは今から行われるグループ活動だ。席が横ということもあって班はいつも一緒になってしまうのだ。待っていたかのように彼は目を覚まして楽しそうに私の席に自分の席をくっつける。ため息を今日はついていなかったらしく彼は驚きと同時に喜んでいた。もう正直なれてきている部分もあることに私自身も驚いた。グループ活動が終わると離れたくないーと駄々をこねてくる。これが彼でなく、一般的な人ならキュンとするのかもしれないけれど私は未だに彼のことが苦手でキュンすら起こらない。昼休みには前まで友達とご飯を食べていたのに、今は私の目の前にいる。今では周りからなにも言われなくなっていて、まるで公認カップルだ。けれどカップルと違う所は、彼が一方的に話しているということだ。それには私もよくこんなに話を続けられるもんだと感心はしている。本人に言うことはないだろうけれど。昼休みが終わる10分前だけ、彼は1人の友達を連れてどこかに行く。これについて、のちにその友達から聞かされることになることを私はまだ知る由もなかった。

 私たちの関係が深くなったきっかけは文化祭だった。この学校は他の学校よりも文化祭などの行事に力を入れているらしく、売上ランキングで1位になったクラスには景品がもらえるらしい。そこで私たちのクラスはクレープ屋をすることになった。文化祭当日、予想以上に店が繁盛していてみんな盛り上がっていた。私はみんなに迷惑をかけまいと役割を全うしていた。けれどシフト交代の時間になっても交代してくれるはずの人が来ておらず、私は飲まず食わずで働いていた。私はとうとうふらつくほどくたくたになっていた。そんなとき交代の人たちが予定より3時間も遅れてやってきた。私は交代しようとするとある場所へ連れてこられた。薄暗く人影の少ない場所に。

「なんであなたみたいな地味な子が真二君といつも一緒にいるのよ!!真二君の弱みでも握ってるの!?なにもなきゃあなたみたいな人に真二君が近づくはずがない!調子乗らないでよ!」

言い張った1人を筆頭に私のことを殴る蹴るを繰り返した。誰だったかは疲れで意識がはっきりしていないことと暗いこともあってわからなかった。気がついた時には空には雨雲が漂っていて雨が降っていた。私は雨にさらされていたせいか冷えていた。凍えながらも教室に向かおうとすると足が痛いことに気がついた。足には大きなあざができていて足を捻ってもいた。それでもできる限り教室に向かおうと努力した。けれど学校は広く、校舎は見えているものの進むスピードが遅く全然着かず、心の底から何かが込み上げてきた。

「なんで!!なんで私がこんな間に合わなきゃいけないのよ!私は何もしてない!なんで…」

泣きながら声を上げたがその声ははかなく空に響くだけ。現実は厳しいと思ったそのとき、誰かがこっちに向かってくるような気がした。顔を上げるとそこには先生でも真二君でもなく、いつも真二君と昼休みにどこかに行っている柊美琴君だった。私は涙を拭いできるだけ明るく振る舞った。

「なんで、ここにいるの?」

「なんでってなんか悪い予感がしたんだよ」

「そうなんだ、えへへ私は大丈夫だ」

私の笑顔を見て柊君は怒った。

「なんでだよ!どう見ても大丈夫じゃねぇだろ!!どう見ても足痛めてるし、ずぶ濡れだしたまには誰かに頼れよ!」

それ聞いて私の中の何かが壊れた。

「そんなこと言ったって私には友達なんていないし頼るなんてできないよ!!それに迷惑なんてかけたくない!!」

「お前には真二がいるだろ、それにお前は友達を作る努力をしたのか?待ってただけだろ、あの頃のお前はどこに行ったんだよ!」

そういうと彼はおんぶしてくれた。彼の言葉に言い返す言葉も見つからなかった、努力を今までしてこなかった自分が悪いと思った。けれど最後の言葉の意味がわからなかった。

「うん、ごめん……えっと最後のあの頃ってなんのこと?」

「やっぱり覚えてないんだな、まぁいいけど。俺はお前に5歳の頃に救われたんだよ。トラックにはねられそうになった俺の手をお前は引っ張ってくれたんだよ」

「ごめん、全く覚えてない…」

「いいよ、昔のことだし。お前には恩がある。だからお前には幸せになってもらいたい。真二はあー見えていいやつなんだよ、そんでお前のことが本気で好きなんだよ」

「ありがとう。でもなんで本気だなんてわかるの?」

「あいつが真剣になにかに悩むことなんて今までなかったんだ、そんなあいつがお前のことで本気で悩んでるんだよ、昼休みに俺にアドバイス求めてきたり結構普通にやってそうだけど真剣なんだぜ、だから少しでもなにか返事をしてやってくれねぇか?」

「んー絶対にとは言えないけど私なりに頑張ってみる」

「ありがとう」

歩けない私は言われるがまま答えるしかなく、家まで送ってもらった。

「わざわざありがとう、重いのにごめんね。ほんとにありがとう」

「おぅ!今日から俺のことも友達って思ってくれ、それじゃあんまり無理しないようにな」

そう告げると帰り始めた柊君を呼び止めて、お礼も込めて傘を渡した。柊君はありがとうと告げて帰ったいった。私は体のあちこちに湿布やら絆創膏やらを貼った。雨に濡れてびちゃびちゃだった私にお母さんは理由を聞くのは後にして、お風呂に入るよう促してくれた。次の日、風邪をひくこともなく学校に行けた。学校へ行くと真二君は口の横を切っていて、頬も少し腫れていた。私に気づくや否や、真二君は私に深く謝罪してきた。私は状況が把握できずわけがわからなかった。席に座ると謝った経緯を話してもらい、もう一度謝罪された。昨日柊君と約束したことを私なりに守った。真二君は私が返事を返すようになってくれたのが嬉しかったのか1日ニコニコしていた。つられて私も笑顔になった。それから私と真二君、そしてたまに会話に入るようになった柊君と仲良くなった。柊君曰く、文化祭での事件の犯人は真二君が見つけて怒ったらしいと後で聞かされた。私は誰かはわからないけれど大丈夫であることを祈るばかりであった。

 そして次の大きな出来事は体育祭だった。体育祭は男子にとって最大の見せ場だー!とクラスの男子が言っていた。男子にとって体育祭は普段一緒の場所で体育をしないから、すごいと思わせることができる行事らしい。真二君はオーラからすでにメラメラしていた。柊君はそんな真二君に頑張りすぎない程度に頑張るようにと加減しろよと言っていた。そこまで体育に自信があるわけじゃない私にとってはただの行事にしか思えない。でもたぶん並程度には運動できると思いたい。体育祭が始まり、着々と競技が始まり終わっていく。そして体育祭の本命らしいリレーが始まる。リレーには真二君がでている。柊君は走るのは苦手らしく、でていない。真二君は柊君の分も頑張ると意気込んでいた。リレーが始まり、うちのクラスは6位中3位でアンカーの真二君にバトンが渡った。1位と2位との差はそれほど大きなものではなかった。真二君と他の2人とは接戦でゴールは僅差だった。僅差でうちのクラスは2位だった。ここからでもわかるくらい真二君は悔しがっていた。真二君もだけど他の2人もとても速かった。リレーが終わり全競技が終了して、みんな観客席から降りて並んだ。私は通りぎわに真二君を励ました。それでも真二君はまだ少し悔しそうだった。最後の話が終わって帰るときには切り替えたみたいで笑顔になっていた。

「くそー、1位だったら絶対美奈に惚れられてたのにー」

と笑いながら言ってきた。

「そうかもね、ドンマイ」

背中をささってあげた。私がそう言ったからか悔しそうでもありながら嬉しそうでもあった。このときお互い思った。もし本当に1位だったらどうなっていただろうと。私は真二君へ好きかはわからないけど特別だと思うようになっていた。でもそれは柊君へ思う特別とも似ていてわからなかった。体育祭が終わった次の日からは前以上に関係性が深まったとしみじみ思う。

 そして月日は経ちとうとう私たちにも後輩ができる。私たちは2年生になった。まぁ後輩ができるとはいえ、私たちは部活に入ってなく後輩との接点はないのだが。始業式の日の帰り道、柊君と別れてから真二君は公園のベンチに座ろうと言ってきた。たわいもない話をしてひと段落ついて、一息吐いた後真二君の顔が真剣になり、私も真剣にした方がいいのかなと真剣に真二君を見た。

「俺と付き合ってほしい。俺は全然ダメダメなとこもあるし肝心なとこで惜しい結果だったりだけど美奈へと気持ちは他の人に負けてるつもりはない。だから俺と付き合ってください!」

真二君の口から出た言葉は昔の私が憧れていた告白だった。正直な気持ちで言えばかなり嬉しい。けれど最近は普通に楽しくて、この3人の関係を壊したくなかった。

「え、…少し時間をください」

「うん、わかった待ってる」

少し気まずく別れた。柊君にLiNeで相談することにした。柊君に私の気持ちを伝えた。真二君が好きだということ、3人の関係性を壊したくないこと、これからどうすればいいかを。

「俺は自分の気持ちに素直になって真二と付き合ってほしいと思うよ。それで俺たちの関係性は今まで通りでいいと思うよ。別に俺は横でイチャイチャしてても応援はするだけだから、とりあえず自分の気持ちに素直になるべきだと思うよ」

「わかった、ありがとう!」

真二君にLiNeを送った。

「明日の朝、みんなが来る前に教室で待っています」

なかなか既読がつかなかった。そして違うことをすることにした。するとポヨンっと着信音がなった。その返信に言葉を失った。

「今、病院。母親が倒れた」

と送られてきた。なんて返せばわからなかった。

気がつけば返信していた。

「わかった。そばにいてあげて」

と。なんて気が利かない女だと思った。それから返信はなかった。次の日は当然真二君は来なかった。それから1週間経っても来なかった。

 そしてもうすぐ2週間が経つ。未だに真二君は来てない。私も柊君の電話にでないしLiNeも既読がつかない。流石に心配になってくる。柊君と手分けして探すことにした。探し始めて2日目、とうとう見つけた。

「危ない!」

「きぃぃぃぃぃぃ」

激しいブレーキ音が周りに響き渡った。そのすぐ後に私の体に鈍い痛みが走った。でもそんな痛みよりも私の大好きな人が無事だったことが嬉しい。

「おぃ!おぃ!なんでこんなこと!どうして!」

 真二君の声がうっすら聞こえてくる。できるだけ大きな声を出した。

「真二君大丈夫?怪我してない?」

「なんで…なんでこんな状況でも俺のことを…」

「そんなに泣いちゃ顔くしゃくしゃになっちゃうよ」

そう言うと、意識がどんどんかすれてなくなった。

「なんで、なんで、ごめん、ほんとにごめん」なぜかそう夢の中で聞こえた気がした。

 手が温か感じた。意識が少しずつ戻ってきた。目を開けるとそこには手を握って寝ている真二君がいた。周りを見ると空が暗かった。私の動きに気づいたのか、真二君が目を覚ました。目を覚まして少しすると泣きながら喜んでくれた。

「おい!大丈夫なんか!?大丈夫なんか!?」

「え、うん、たぶん大丈夫だよ、それより真二君が無事でよかった!」

私は嬉しさのあまり真二君に抱きついてしまった。真二君は一旦私を離すとナースコールを押した。そして抱きついてくれた。

「美奈が無事で本当によかった!ほんとにごめん、ほんとに…」

「ううん、結局お互い助かったんだしよかったじゃん」

真二君は涙を拭った。すると病室に看護師さんとお医者さんっぽい人が入ってきた。なにか簡単な検査的なものが終わって看護師さんとお医者さんは部屋から出ていった。それから少し経つとママとパパがやってきた。ママもパパも私を見るや否や抱きついてきた。ママもパパも本当に喜んでくれた。ママは真二君を見た。

「ちょっときてくれるか?」

「はぃ」

その真二君の顔は悲しそうでも悔しそうでもあった。私はママに聞いた。

「ねぇ、真二君どこいくの?」

「え、あぁ美奈はそんなこと気にしなくていいのよ」

「で、でも…」

病室の外から遠くに離れてるっぽいけれどパパの怒り声が聞こえた。

「ねぇ、真二君を怒らないで、私が勝手にしたことだから、真二君は悪くないから」

そういうとママはなんで切り出そうか悩んでるように見えた。

「ごめんね、はっきり言うわね。ママもパパも彼のことは許せない」

「なんでよ。私、行ってくる!」

「行ってどうなるの!?彼を苦しめるだけよ、彼のことを思うなら行かないであげなさい」

私は口を紡いだ。ママの言う通り私が言っても迷惑になる。悔しい、悲しい。真二君ごめんね、私のせいで。少しするとパパが帰ってきた。

「真二君は?」

「あぁ彼なら遅いし帰ったよ」

「真二君は悪くないの…」

パパはママのことを見て察した。

「パパもママも美奈が心配なんだ。彼から事情は聞いたよ。パパは彼みたいな子に美奈を安心して託すことはできない」

「でも…」

続きの言葉が出てこない。それを察したのかパパは話し出した。

「パパは彼のことを許すことはできないが、彼には感謝してるんだよ。美奈が楽しそうに学校に行くことになったこととか本当にありがたいと思っている」

「ならせめて真二君と話させて」

ママもパパもどうしようと悩んでいたけれど渋々受け入れてくれた。

「わかった、明日来てもらいなさい」

「ありがとう!パパ」

ママとパパは泊まり込んでくれた。起きたらママが色々としてくれていた。花瓶の水を入れ替えてくれたり飲み物買っていてくれたりと。パパは仕事に行ったらしい。

「おはよう美奈!体調はどう?」

「おはようママ!大丈夫だよ」

「今日は検査だから検査が終わってから彼に来てもらいなさい」

「わかった、ありがとう」

検査が終わって、真二君がくる時間になった。私は髪がボサボサになってないかなど身だしなみを整えた。病室の扉が開いた。

「真二君!」

「大丈夫?美奈、こんにちわ」

真二君はママに挨拶をした。気を遣ってる感が伝わりすぎて、私は笑ってしまった。ママは私を見てもう一度真二君を見て、席を立った。

「ママ、飲み物買ってくるね」

「ありがとう」

真二君はペコっと頭を下げすれ違った。

「えらく丸くなってるね」

「当たり前だろ、それよりほんとにごめんな、ほんとにごめん」

「もういいって、次謝ったら罰ゲームだからね」

「んーうん、わかった」

「真二君、ママもパパも怖いかもだけど一緒にママに話してみよ!」

「でもなんて言ったらいいか、俺…」

「真二君はお母さんのことがあって辛かったんだよね。でもそんな真二君を私が救い出せたのならあれくらい私は平気だよ。だから一緒にお願いしよ」

「わかった!がんばる!」

「ありがとう」

私と真二君は決意を伝えることにした。ママが戻ってきて、椅子に座るように促した。

「ママ、真二君とこれからも一緒にいることを許してほしい。ママが心配なのはわかってるけどお願い許して」

「お母さん、この度は本当にすいませんでした」

「え!真二君なにもそこまでしなくても」

真二君はわざわざ土下座までしてくれた。

「いや、しなきゃいけない。本当にすいませんでした。こんなことで許されるとは思っていません。けれどこれからの行動も見ていただけないでしょうか。私は必ず美奈さんを幸せにしてみせます!だからどうかお願いします」

ママは閉ざしていた口を開いた。

「そんなことされても今は許せない。けどその言葉に嘘はないってことだけはわかったわ。パパを説得するの協力してあげる」

「ありがとうママ!!」

「ありがとうございます」

俺はまた頭を下げた。

「もう顔を上げなさい、美奈にそんな格好見られちゃ恥ずかしいでしょ」

ママは最後に少し笑ってくれた。そして会社が終わったパパも来た。私と真二君、そしてママもお願いしてくれた。

「ちょっと真二君だっけ?」

「はい」

「来てくれるかな」

と病室の外へ連れ出した。私はまた真二君が怒られないか不安だった。

「ママ、また真二君怒られないかなぁ、私行かなくて大丈夫かなぁ」

「大丈夫よ、パパは育ててきた娘の父としての役割を全うしてるのよ」

私はそれでも少し不安だった。病室から戻ってきた真二君はなにやらしゃきっとしていて、パパは落ち着いていた。ママはパパの背中をゆっくりさすってあげている。

「真二君どうだった?」

「うん、いいお母さんとお父さんだね」

そしてママとパパの方へ向いて深く頭を下げた。

 私があれから退院してもう何年になるかな。もう10年以上も前になる。時が過ぎるのはとても早いと最近思う。

「この人がパパだよ〜」

「可愛い〜!ありがとう美奈!そしておつかれさま」

私はあの時のママとパパのおかげで今では新たな命をこの腕の中に抱えている。そして私も真二君も今日からママとパパになる。

 読んでいただきありがとうございました。初めて書いたものなのでコメントとか貰えると、それを参考に次も頑張ります。

 改めて、下手ですが最後まで読んでいただきありがとうございました。

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