ラストWAVE
『きゃぴぃー!』
3回目のスタン。
『ポーション』
りょーちゃんの報告が飛んでくる。
「えっと……復活薬」
大当たりではないけど、すぐ使えるアイテムなのでよかったかも?
「次は当たりが出るといいね」
『ああ』
レイドボスのHPも、残り25%。
WAVE4。
いよいよ大詰め。
『3連ブレスくるぞー!』
『デスボもらいたいヤツは、急いで死ぬ準備しろ!』
『生存ボーナス(※1)欲しい人はこっちへ!』
『壁どこいったー! 壁ぇー!』
あわただしく人々が動き出す。
この感じだと、かなり強力な攻撃がくるっぽい。
『全裸準備オーケー!』
『よし、死ぬか!』
『PTあったら拾って!』
『ヒーラーさん募集! ビンビンな壁そそり立ってます!』
『うちらの壁はどこ行った!?』
『急な腹痛とかで、トイレで耐久してる』
『壁ぇえええ!!』
『フライパン置いとくぜ』
それぞれ目的別で、臨時の集団が形成される。
ヒーラー募集しているところがあったので、そこにお邪魔する。
『タンクの人は前へ! バリア張れる人いる? あと5人くらい募集』
『やるわ』
『俺も』
『スキルレベル3しかないけどいい?』
『全然オッケーよ』
『んじゃやります』
『あと2人ー』
『はい』
『イェア』
『おk、タンクにかかる位置で準備よろしく』
『ういういー』
『あいよ』
『お任せあれ』
『ミスったらごめん』
『イェア』
盾持ちの人、バリアの人、回復支援の人といった順番で、それぞれ陣形を組む。
『リザ持ちはなるべく後ろのほうで』
『りょーかい』
『あとはもう、その場のノリで』
『くるぞぉおおおおお!』
スタン時間が終わり、レイドボスが動き出す。
何度か翼を羽ばたかせたあと、ゆっくりと浮かび上がっていった。
『あんな巨体が空を飛ぶだと……?』
『この世界の物理法則はどうなっているんだ……』
『そういうゲームだからwww魔法とかバンバン出てくるからwww』
『飛行機なんか鉄の塊でも飛ぶんだぜ? 全身たんぱく質だったら飛んでもおかしくない』
『なるほど、確かにそうだな』
『おかしいよwwwたんぱく質に浮かぶ性質はねーよwww』
『あれ? じゃあ、俺も飛べるんじゃね?』
『そうだよな。トカゲが飛べて人間が飛べないわけがない』
『飛べねーよwww俺たちに翼はねぇwww』
『風を感じる……今ならいけるかも!』
『風を……風を拾うんだ……』
『ブレスの前兆だよwww早く準備しろwww』
見上げるほどの高さまで飛び、口を大きく開く。
今までのウィンドブレスと同じように、光が集まっていく。
ただ、少し違うのは、風が吹いていること。
何百メートルと離れたこの場所でも、体を通り抜けていく風を感じる。
それがすべて、レイドボスの元へと集まっていく。
そして……。
ボゥッ。
地上へと向かって、ブレスが放たれた。
小さな光の玉。
音もなく。
静かに地面へと到達し、秘められていた力を解き放った。
『キター!』
『野郎ども! 準備はいいか?』
『ヒール!』
『気が早ぇよwww』
『リザレクション!』
『だから、気が早ぇ……え? なんで死んでたの?』
『小石がヒザに当たって……』
『お前のHPはスライム以下かwww』
『みんな! 死ぬんじゃねぇぞ』
『ああ、無事に会おうぜ』
『死にたくない……死にたくない!』
『死にたくないなら服を着ろwww』
ゆっくりと。
人や岩を巻き上げながら、見えない壁が広がっていく。
『風バーリアーwww』
『シールドのうんたらかんたら!』
『マッシヴでうぇーいなアレ!』
『スキル名で詠唱登録してるヤツいねーのかよwww』
各自スキルを発動し、ウィンドブレスに備える。
ボクもヒールを詠唱し、盾持ちの人にターゲットを合わせる。
『ここだー!』
ついに到達。
ここぞとばかりに、みんながスキルを解き放つ。
『ぬぉおおおおお!!』
盾持ちの人がスキルを使い、仁王立ちで受け止める。
一瞬で尽きそうになるHP。
降り注ぐヒールの雨。
その勝敗の行方は……。
『よっしゃぁ!』
受け切った!
片手をあげて、ガッツポーズを取る壁の人。
『次! 来てる!』
休む間もなく、第2陣のウィンドブレスが。
準備をしたいところだけど、すぐにヒールは使えない。
『おぅあああああ!!』
みんなもディレイ待ちなのか、さっきよりヒールの数が少ない。
やがてHPが削り切られ……。
『あとは……任せ……ぐふっ』
先頭にいた壁の人が倒れた。
軽減しきれなかったウィンドブレスが、近くの人へと襲いかかる。
『どうやら、ここまでのようだな……』
『おい! あきらめるな! まだ戦えるだろ!』
『もういいんだ……もう十分だ』
『待ってろ! 今ヒールかけてやるからな!』
『そんなことより、最期の願いを聞いてくれないか……?』
『なにを言っているんだ! ようやくここまで来たのに……!』
『ふふ……思えば、悪くない人生だった……』
『しっかりしろ! こっちを見るんだ!』
『頼む……どうか、数学課題フォルダの完全消去を……』
『たかし……?』
『……』
『たかしぃいいいいいい!!!』
『うるせーよwwwお前らどっちも死んでるじゃねーかwww』
バリア張っている人も含めて、何人もの犠牲が出る。
すぐに復活薬を投げる。
『3発目ー!』
まだ態勢が整っていないところに、トドメの一発がやってきた。
『き… きさまといた 数か月…… わ…わるく… なかったぜ…… 死ぬ…な…よ…… た…… …かし…… ……』
『たかしはもう死んでるが』
『まだこのゲーム始まってから1ヶ月なんだが』
『そもそも、名前たかしじゃないし』
ヒールも支援も足りないせいか、盾持ちの人のHPが一瞬で消失する。
間近に迫るウィンドブレス。
復活薬使用の硬直時間で動けない。
回避が間に合わない!
お気に入り度や、プレイ内容別でフォルダ整理を試しましたが、途中でめんどくさくなって『新しいフォルダ』『新しいフォルダー (1)』『aaaa』などの中にごちゃまぜ状態で入っています。
※1、生存ボーナス:ノーミスでクリアすると増えるボーナス。
クエストやミッションではよくある項目。
後方でうろうろしているだけでもらえるのでおいしい。
現実世界で説明すると、ドッジボールで内野と外野ギリギリの場所に立ち『自分味方っすよ?』と相手に誤解させて生き残ろうとするヤツ。




