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レイド戦2

『ぐわああああーーーッ!』


 倒された人に復活薬を投げる。

 どうしよう。

 さっそく、復活薬が尽きてしまった。

 ちゃんと補充してくるべきだったのかも。

 所持上限が少ないので、そこまで変わらない気もするけど。


『いつも支援ありがとうございます! よかったら使ってください!』


 槍を持った青年が、アイテムをばらまいていく。

 ポーションや、復活薬などの消耗品。

 見れば、マップのあちこちにアイテムが落ちていた。

 ドロップ品とは表示されている色が違うので、プレイヤーが置いていった物だとわかる。


「りょーちゃん、アイテムを置いていく人がいるんだけど」

『支援者のために投げていくのが恒例』

「そうなんだ。じゃあ、使っちゃってもいいのかな?」

『問題ない』

「わかった、ありがと」


 そういうことので、遠慮なく使っていこう。


『つ つよすぎる…』


 近くで倒れた女性に、復活薬を投げつける。

 かなり取り巻きを倒しているはずだけど、なかなか数が減っていかない。

 もしかしたら、レイドボスが再召喚しているのかも?


『リザレクション!』


 白いマントを装備した男性が、復活魔法を唱える。

 いいなぁ。

 アイテムを気にせず使えるのは、うらやましい。

 ボクも早く覚えたい。


『ヒール!』


 続けて使ったヒール。

 3ケタの数字が見えた。

 ヒールって、あんなに回復するんだ。

 ボクだと、せいぜい20くらいしか回復しないのに。


『風ブレス(※1)くるぞー!』


 誰かがそう叫びながら走っていく。


『バリア張ります!』

『盾やりま。ヒールよろ』

デスボ(デスボーナス)狙いは前へ』

『ひと肌脱ぐときが来たようだな……』

『最初から全裸だろwww』


 近くの人たちが動き始める。

 次に来る攻撃のために、陣形を組んでいるようだ。


『野良の人もバリア範囲にどうぞー』

『全裸ですが、僕も大丈夫ですか?』

『もちろん。歓迎するぜ』

『すみません、服着てたらダメですか?』

『ダメってわけじゃないが、せめて下くらいは脱ごうか』

『わかりました! 脱ぎます!』

『やめろwww』

『おっさんが裸同士で密着するとか、なんの拷問だよ!』

『守れる範囲広くないから、なるべく固まってー』

『地獄絵図www』


 レイドボスのほうに視線を向けると、首を高く上げた状態で止まっていた。

 その口元から、光があふれ出す。


「お邪魔します!」


 あきらかに攻撃してくる雰囲気だったので、みんなが集まっている場所に移動する。


『……』

『あっ、お前、何服着てるんだよ!』

『何を言っているんです? 人前で服を着るなんて、そんなの常識じゃないですか』

『全裸宣言チャットログに残ってんぞwww』

『まったく、裸になるとか信じられませんねぇ』

『お前もだよwww女子を見ただけで手のひら返しすぎだろwww』


 楽しく談笑している人たちは、レイド戦の経験者なのかな?

 みんな余裕がありそう。


『ウィンドバリア!』


 杖を持った人が、防御系と思われるスキルを詠唱する。

 緑色に光るカーテンのようなモノが、術者の周囲に展開される。


『インデュア(※2)!』


 続いて、一番前に立つ鎧を着こんだ人。

 自身を叩きつけるような動きで、スキルを宣言する。


『あれ? 微妙にバリアからはみ出してるんだけどwww』

『自ら場所を開けて、犠牲になってくれるなんて……』

『俺たちのために……なんという漢っ!』

『いやいや、入れてよwwwもうちょい詰めてよwww』

『ご…ごめんなさい ここは もうひとり いえ…どうつめても ふたりまでです!!』

『だったら入るよwww1人だよwww』

『おーい、来たぞー』


 レイドボスが動いた。

 大きく首を振りながら、ウィンドブレスを吐き出してきた。

 渦を巻く光の流れが、フィールド全体をなぎ払っていく。


『俺に任せろ!』


 鎧の人が、さらにスキルを使用する。

 真正面から受け止める気らしい。

 ヒールの詠唱を開始して、その瞬間に備える。


『ここだっ!』

『くたばれ!』

『ファイア!』

『その輝かしき頭頂部に、大いなる奇跡を!』

『俺の愛を受け取ってぇええ!』


 ロッドを持った人たちが、一斉にヒールをかける(※3)。

 なるべくジャストのタイミングになるよう、ギリギリまで引っ張ってからヒールを飛ばす。


『うぉおおおっ!』


 みんなのヒールのかいもあってか、鎧の人がガッツポーズをして……。


 どさっ。


 仰向けに倒れる。

 耐え切れなかったようだ。

 勢いを殺しきれなかったウィンドブレスが、次々と人を飲み込んでいく。


『こ、こんなはずでは……!』


 バリアを張っていた人も倒れ、スキル効果が消失する。


「っ!」


 ヒールの硬直をキャンセルして、ステップ。

 間に合うかどうか……。


 シュゴォオオオ!


 光と風と人が、すぐ横を通り抜けていく。


「……」


 立ったままでいる……ということは、間に合ったようだ。

 遠ざかっていくブレスを見送る。


『おい! お前らのケツに引っかかってステップできなかったぞ!』

『早く起こして! おっさんのワキが目の前なんだが!』

『こっちなんぞ、おっさんの股間がドアップだぞ!』

『肌色と毛で画面が埋まってる』

『助けてくれー!』

『これはひどい』


 ウィンドブレスに巻き込まれた人たちが、バッタバタと倒れていた。

 生き残った人たちで、少しずつ復活させていく。

 ゲームをやっている途中で調べたいことがあったので、ブラウザに切り替え→何を調べたかったのか忘れる。

 この間わずか5秒。


※1、風ブレス:ボスが使ってくるウィンドブレスのこと。

 ドラゴン系のモンスターがよくブレス(吐息)攻撃をしてくる。

 支援スキルのブレッシングもブレスと略すので、ちょっとわかりづらい。

 餃子を大量に食べると、誰でも簡単にブレスを放てるようになる。


※2、インデュア:カッチカチになれる盾職の基本スキル。

 のけぞり無効と被ダメージ軽減効果がある。

 前に通りすがりの盾の人が黒つや虫に使っていたスキルと同じ。

 朝だったり、興奮したりすると体の一部がインデュアすることもあるが、どちらかというと被ダメ増加するのでちょっと違う。


※3、オリジナル詠唱:中二病患者歓喜。

 自分で好きなようにスキル詠唱を変えることができるので、ヒールっぽくない言葉でもちゃんとヒールしている。

 対人戦では相手を混乱させるために、わざと違う魔法名で偽装することも。

 同じ呼び方でも、微妙なニュアンスで変化させることもできる。

 現実世界で説明すると、

「いらっしゃいませ! 何名様でしょうか?」

「あ……」

「1名様ですね。ご利用時間はどうされますか?」

「あ……」

「1時間ですね。機種のご希望などはありますか?」

「あ……」

「わかりました。それでは会員証のご提示をお願いします」

「あ……」

「こちらの画面に確認のタッチお願いします」

「あ……」

「ありがとうございます。部屋は5番です。ごゆっくりどうぞ」

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