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闇城クリア

『ミッションコンプリート!』


「あれ?」


 まだダークジェネラルや、その他が残っているのに、クリア画面が出てきた。

 一緒に消えるわけではなく、普通にニンジンを食べている。


「クリアフラグ(※1)はランサーのみ。評価S取りたいなら(ダークジェネラル)を先に倒す必要がある」

「そうなんだ、2人だと大変?」

「足止めと火力が2人ずつくらい欲しい」

「厳しそうだね」


 現状のボクたちだと、メインアタッカーとオマケだけ。

 挑戦するにしても、もっともっと先のことになりそう。

 足止めスキルもあるけど、あの速度で動く相手には当てられない。

 もっと練習しないと。

 ちなみに、総合ランクはBだった。

 Aじゃなかったってことは、クリアまでの時間が影響してるのかな?


「各ダンジョンS制覇のタイトルは使えるから、1度くらい攻略PTに入るのもいい」

「あー、うん……」


 パーティープレイもやってみたいんだけど、近くで見られたら男だってバレそうで……。

 顔を隠せる装備があれば、大丈夫だと思うんだけど。


「宝開けるか」

「まだ周りにいるけど、襲われたりしない?」

「クリアした時点でお互いに判定消える」

「それなら安心だね」


 まだ残っているダークシリーズの間を通って、報酬部屋に行く。

 お楽しみの宝箱タイム。

 何かいいアイテムが出ないかな。


「……ポーション3個だった」

「同じく」


 うん。

 そんなにうまくはいかないよね。

 道中でレアドロップはあったし、運は悪くないはず。

 そのうち狙いのアイテムが出ると思う。


「まだ回るか?」

「んーと……あ、もうこんな時間」


 かなり長い間やっていたらしい。


「お風呂入ってくる」

「わかった」


 町に戻ってログアウトする。




「わ、真っ暗」


 カーテン閉めないと。

 予定より長くやってしまったので、急いでやることやっちゃおう。

 お風呂の用意と、明日の準備。

 時間に注意しておかないと、だらだらゲームを続けてしまいそうで危ない。


「……」


 レベルもだいぶ上がってきたし、スキルポイントもたまってきた。

 そろそろ新しいスキルが取れるかも。

 あと、矢の残りも少ないから補充して、ついでに素材も売って……。


「現実のほうをがんばらないと!」


 思考がゲーム中心になっている。

 ホントに気をつけないと……。




「ちーぃちゃーんっ!」


 お風呂を入れていたら、お母さんが帰ってきた。

 こちらの姿を見つけると、全力で飛びついてくる。


「ただいまちーちゃんさみしかった!」

「おかえりなさ……わっ」


 勢いでソファーに押し倒される。


「もう、危ないよ?」

「はぁ~、ちーちゃんだぁ……クンカクンカ」

「お母さん、くすぐったいよ」


 ここ最近は、毎日のようにやっている気がする。


「お風呂、もうちょっとで入れるよ」

「うん、入るー」

「ここで脱がないでね……もう脱いでる!」

「ちーちゃん、脱げない」

「髪に引っかかってるから、ちょっと動かないで」


 脱がすのを手伝ってから、お風呂場まで連れていく。

 それから着替えを用意して……。


「ちーちゃーん!」


 髪と体を洗うのを手伝う。

 体が冷えないように、しっかりお風呂に入れて……。


「ちーちゃん♪」

「わっ」


 時々抱きついてくるお母さんをかわしながら、どうにかお風呂を終わらせる。

 お風呂から上がったら、体をふいて服を着せる。


「のどかわいた」

「まだ髪ぬれてるよ」


 そのままどこかへ行こうとするので、タオルとドライヤーを持って追いかける。

 お茶を用意して、ソファーへ誘導。

 それを飲んでまったりしている間に、せっせと髪を乾かす。


「ちーちゃん、甘い物が食べたい」 

「……少しだけだよ?」

「わーい!」


 『もしかしたら食べるかも?』と思って、一応作っておいたフルーツゼリー。

 お皿に取り分けて、お母さんへ持っていく。

 食器を片づけて、食材の確認をして、あとは……大丈夫かな?


「……くー」

「お母さん、ここで寝たらカゼひくよ」


 戸締りの確認から戻ってくると、スプーンを持ったままうとうとしていた。

 倒れそうで倒れないのは、器用だと思う。


「んー……ちーちゃん、抱っこ……」

「歯をみがいてからね」

「ふぁーい……」


 のそのそと、洗面所のほうへ歩いていく。


「歯みがきしながら寝ちゃダメだよ?」

「……くー」

「それ以前だった!」


 眠らないように見張りながら、どうにか歯みがきを終わらせる。


「トイレは?」

「いく……」


 ふらふらしながら、お風呂の中へ入っていく。


「そこは違うから!」

「……んー」

「脱いじゃダメだよ!」


 必死に押しとどめて、正しい場所へ引っ張っていく。


「……くー」

「もう少しがんばって!」


 廊下の途中で丸くなるお母さん。

 体がもっちりと床に張りついて、なかなか動かせない。


「……」

「ホントに寝ちゃダメだよ!」

「……んー」


 おぼつかない足取りで、よたよた歩いていく。

 いつもならもう寝ている時間なので、限界がきているのかも。

 その後も、あっちこっち行こうとするお母さんを誘導して、なんとか寝室まで連れていった。


「おやすみ、お母さん」

「……ちーちゃんも」


 ポンポンとベッドを叩く。

 ちょっとだけログインして、スキルチェックでもしようと思ってたんだけど……。


「……ちーちゃんもー」

「わかったよ」


 観念して布団に入る。

 両手を回して抱きついてきて、すぐに寝息を立て始めた。

 ちょっと早い時間かもしれないけど、ゲームばっかりしているよりはいいかも。


「……おやすみ」


 そうささやいて、ボクも眠りについた。

 可愛い男の子に介護されたいだけの人生だった。


※1、クリアフラグ:クリアの条件。

 すべての敵やボスなどを倒さなくても、クリアになる場合がある。

 『馬車を町まで送り届けるミッション』で他に条件がなければ、馬車に乗っている人物の生死は問わないし、送り届けたあとに馬車が崩壊しても問題ありません。

 現実世界で説明すると、『最後に牛乳を飲んだ人がパックを洗って開いて干す』という家訓があった場合に、一口分だけ残して次の人に渡すこと。

 これで家訓フラグは次の人に移るが、たいていの場合は殴りあいに発展する。

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