がんばるダークランサー
パカラッ、パカラッ。
ダークジェネラルがこっちにやってくる。
移動速度が速いので、回避するタイミングが難しい。
相手の攻撃を見極めながら、慎重にステップする。
突進スキルを使ってくるまで、ひたすら逃げ回る。
・小ダッシュからの突き。
・3連続の突き。
・移動しながらの払い斬り。
しばらく観察したところ、通常攻撃はこんな感じのパターンだった。
突きは横移動で回避。
払いはステップで安定しそう。
3連撃だけは、要注意。
しっかり引きつけないと、2発目や3発目が当たってしまう。
実際に1回当たっちゃって、HPが9割ほど減った。
さすがボスだけあって、攻撃力が高い。
「!」
槍の先が光る。
突進スキルの合図。
壁際にりょーちゃんがいるので、そっちに誘導したい。
だけど、りょーちゃんとは真逆の方向。
誘導する時間があるかどうか……。
「あっ」
チャージ時間が終わって、突進を開始する。
うまく誘導できず、部屋の中央に向かって走っていく。
ズガガガガッ!
巻き込まれたダークシリーズが、ボウリングのピンのように弾け飛んでいく。
ガシャン!
ガション!
メキョ!
弾け飛んだ鎧とか武器なんかが、他のダークシリーズにも次々とヒットしていく。
なんだか大変なことに。
「そこにいたらタゲもらうぞ」
「あ、そっか」
ダークアーチャーなども飛ばされていたので、索敵範囲内に入ってしまう。
ボスが戻ってくるまで、端っこで待機する。
パカラッ、パカラッ。
大きく外周を回って、こっちに向かって走ってくる。
槍を振りかぶって……。
ブンッ!
「!?」
飛んできた槍を、ギリギリでかわす。
遠距離攻撃もしてくるんだ。
動き回りながら投げてきたら、対処に困るかも。
……と思ったけど、どうやら自動で槍は補充されないらしい。
壁に刺さった槍を拾いにくる。
ドゴォ!
横ろから近付いていったりょーちゃんが、スキルを叩き込む。
衝撃でダークランサーが落下。
やっぱり、近接攻撃を当てると落とせる仕組みらしい。
何かを地面に投げてから追撃に入る。
キィン!
ダメージプラスも重ねて、地道にHPを削っていく。
通常攻撃だけで戦っているので、なかなか減っていかない。
のけぞり無効があるので、反撃を警戒しているのかな?
りょーちゃんに殴られつつ、ダークジェネラルに乗ろうとして……。
メキョォッ!
また蹴られた!
よほどいい当たり方をしたのか、部屋の真ん中くらいまで飛んでいく。
倒れたままピクピクしてるけど……大丈夫なのかな?
近くにいたダークウォーリアが、手を差し出して……。
ベシッ!
ひっぱたいた!
地面を転がっていく。
他のダークシリーズも集まってきて、叩いたり蹴ったりしていく。
さっきの体当たりを根に持っていたのかな?
すごい勢いでダメージが入って。
相方のダークジェネラルさんは……。
もしゃもしゃ。
また何か食べていた。
よく見ると『太くて硬い右曲がりなニンジン』というアイテム名が表示されている。
りょーちゃんが置いていたアイテム。
食べている間はおとなしくなる、という効果かな?
他のダークシリーズは反応していないので、ダークジェネラル専用のアイテムっぽい。
「食料品店で買ってきたの?」
「自作品を露店で買った。1袋3本入りで98G」
「お買い得……なのかな?」
太くて長くて立派なニンジン。
特売じゃないとなかなか買えない値段だと思う。
現実の話だけど。
「NPCから買ったほうが安いが、大きさや品質によって効果時間が変わる」
「あ、顔写真もあるんだ」
アイテム説明を見ると、名前や生産地、所属ギルドやメールアドレスなどが書いてあった。
生産者である『リーダー』さんの、すっごくいい笑顔も。
メイン職業は音楽家らしい。
「情報載せるかどうかは任意(※1)」
「アピールするにはいいのかも?」
生産者同士の競争は、どのゲームでも激しい。
少しでも覚えてもらうために、顔写真やコメントで印象づける必要がありそうだ。
ぷるぷるぷる……。
槍を杖のように使いながら、元に戻ろうとするダークランサー。
当然のように、追い打ちをかけていくりょーちゃん。
いいのかなぁ……と思いつつも、りょーちゃんのサポートをする。
ボスを倒さないと、このステージをクリアできない。
『ヒヒーン!』
どうにかダークジェネラルの元にたどり着き、再び走り出す。
やり方は覚えたので、弓で攻撃してから逃げ回る。
今回はすぐに突進スキルを使ってくれたので、誘導しながらりょーちゃんの近くへ。
ドゴォ!
しっかりスキルで落として、ニンジンをセット。
ひたすらダークランサーを攻撃する。
もうほとんどHPが残っていなかったのか、3回ほど斬りつけたところで前のめりに倒れた。
実家からたまに色の付いた大根かと思うほどのぶっといニンジンが届きます。
※1、生産者情報:私が育てました。
アイテムや装備を作った場合に品質が一定以上だと、情報を載せることができる。
趣味や特技をアピールして、恋人募集に使う生産者も。
実際にカップルが誕生しているらしい(男女の組み合わせとは限らない)。




