闇城の主
今までで一番大きな部屋。
天井も、見上げるほどに高い。
その部屋の中央。
黒い馬に乗った、黒い騎士。
手にした槍は、3メートルはあろうかという長さ。
全身から赤黒いオーラが立ち上り、一目でボスだとわかる姿をしている。
『ダークジェネラル』
赤い文字で表示された、このダンジョンのボス。
見るからに強そう。
「取り巻きも多いね」
「全種いるからな」
ダークアーマーや、ダークウォーリアなど、各種ダークシリーズがそろっている。
遠距離組もいるので、うかつに近づけない。
「どうするの?」
「サモンスレイブ(※1)で再召喚するから、本体だけ釣る」
「うまく釣れるかな?」
ちょうど中心にボスがいるので、手前にいるモンスターから狙われそう。
特に、弓と魔は索敵範囲が広い。
「1匹くらいは巻き込んでも問題ない」
「わかった」
射程内に入るまでボスへと近づいていく。
右からのほうがいいかな?
なるべく敵がいないところへ回り込み、弓を構える。
射程ギリギリから、よーく狙って……。
カンッ!
鎧に当たるけど、刺さらずに弾かれる。
遠距離耐性?
ダメージは1しか出なかったけど、目的は果たせたようだ。
パカラ、パカラ。
ゆっくりと動き出す。
1歩、2歩……。
歩きながら、槍を前に突き出す。
その穂先。
ゆらめきながら、赤い光が集まって……。
「!?」
次の瞬間、その光が全身に広がっていた。
爆発的に加速し、目の前まで迫ってくる。
「っ!」
反射的にステップ。
ギリギリ間に合ったようで、体の横をすり抜けていく。
見た目からして突進しそうだったけど、予想していた以上に速い。
槍に当たるのは、もちろんのこと。
どこかに当たるだけでも、致命的になりそうだ。
ドゴォ!
壁際で止まったところを、待ち構えていたりょーちゃんが攻撃。
馬に乗っていたダークジェネラルが落下する。
追撃を入れてダメージを稼ぐ。
「……?」
あれ?
ダークジェネラルじゃない?
名前を見ると『ダークランサー』になっていた。
最初に確認した時は、ダークジェネラルだったはずなんだけど。
もしかして……と、お馬さんのほうを見る。
『ダークジェネラル』
「そっちなんだ!」
人型のほうじゃないんだ!
よく見たら、お馬さんのほうからボスっぽいオーラが出てる。
そのダークジェネラルはというと、地面に顔をつけておとなしくしている。
口がもごもごと動いているので……何か食べている?
起き上がったダークランサーが、ダークジェネラルに乗ろうと近づいていき……。
メコォッ!
後ろ足で蹴り飛ばされた。
きりもみ回転しながら、10メートルほど先に落下する。
「えーと……?」
味方、だよね……?
飛ばされただけじゃなく、思いっきりダメージも入っていた。
スキル攻撃でもないのに、りょーちゃんのスキル並みのダメージが出ていた。
ジェネラルの称号も納得の一撃。
「!」
りょーちゃんが追撃に向かったので、後方からダメージプラスで支援する。
キィン!
攻撃は当たるけど、弾かれたような音がする。
のけぞり無効かな?
遠距離耐性もあったので、速攻で倒すのは難しそう。
むくり。
起き上がったダークランサーが、再び近づいていく。
また蹴られたり……大丈夫だった。
今度はちゃんと乗せてくれた。
『ヒヒーン!』
前足を高く上げて一鳴き。
りょーちゃんへ向かって走り出した。
すぐさま槍を突き出してくる。
キン!
短剣で突きを受け止める。
シャキィ!
斜め上に向かって切り返す。
なんかかっこいい!
あれもカウンタースキルかな?
切り払いと似ているけど、エフェクトが違っていた。
「タゲ取って突進使うまで逃げ回ってくれ」
「わかった」
弓に持ち替え……ないで、杖のまま攻撃してみよう。
りょーちゃんの周りをうろついているので、後ろのほうから詠唱を始める。
「ヒール!」
ぺちっ。
当たりはしたけど、ほとんどダメージが通らない。
遠距離攻撃だと『物理』『魔法』共に、かなり高い耐性がある。
りょーちゃんの攻撃みたいに落とせなかったし。
『近距離攻撃を当てて地面に落とす』が、一般的な攻略法なのかもしれない。
ダークランサー:いつの間にか槍を持たされて、いつの間にか馬に乗せられていた。
ホントはただの歩兵に戻って小部屋とかに配置されたいけど、ジェネラルが怖くて言い出せないでいる。
※1、サモンスレイブ:下っ端を呼び出すスキル。
下っ端の数が減ってくると、何度でも再召喚したり、さらに強い別の下っ端を呼び出したりする。
呼び出される下っ端に拒否権はないので、休暇中でも容赦なく呼び出される。
カリスマが足りないボスだとたまに失敗する。




