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漂流ブツ

『おーい、誰かー』


 積もったがれきの中で、何かがもぞもぞ動いていた。

 周りの人たちと一緒に掘り起こす。


「さんきゅー、助かったわ」


 逆さになった状態のお父さんが出てきた。

 がれきのおかげで運よく流されずに済んだらしい。

 近くにりょーちゃんの姿も。


「あ」


 こちらはHPは0になっていた。

 がれきのダメージに耐えられなかったようだ。

 リザレクションを使う。


「yagenさんは……」


 マップでパーティーの位置を見ても、この船や近くの船にはいない。

 いったん町に戻ったのか、それとも海のどこかをさまよっているのか。

 パーティーチャットで呼びかけてみても返事がこない。


「ま、生きてりゃそのうちどっかで会えるっしょ」

「そうだといいけど……」


 返事もできないってことは、海の底に沈んでいる可能性も。

 システム的に呼吸ができなくなることはないけど、身動きが取れなくなっていることはありそう。


「?」


 海の漂流物を探していたら、船べりに釣り針が引っかかっていることに気づいた。

 糸はピーンと張っている。

 この先に誰かいるかもしれない。


「お父さん、りょーちゃん」

「ん? いたか?」

「yagenさんかどうかはわからないけど」

「よっしゃ、とりあえず引き上げてみるか」


 3人で引っ張る。

 手ごたえはちゃんとあるから、この先に何かが引っかかっているのは間違いない。

 ただ、思った以上に重くてなかなか引き上げられない。


「お任せください」


 ヴァニキさんがやってきた。

 一番先頭に立ち、ぐいぐい引っ張っていく。

 はちきれんばかりの筋肉が頼もしい。

 最後は投げ飛ばす勢いで、一気に引き上げた。


「ぐえっ」

「がほっ」

「げふっ」

「ぽきゅっ」

「びゅるるっ」


 甲板に叩きつけられる人々。

 1人だけじゃなくて、5人もつかまっていた。

 なかなか上がらないはず。

 そのうちの1人はyagenさんだった。


「また死ぬかと思いました……」


 海藻をまとったまま、甲板の感触を踏みしめていた。

 思っていた以上に釣りざおが大活躍している。


「生き残ったのはこんなもんか」

「3割くらいか?」

「まあ、被害は少なかったほうだろ」

「海面漂ってるブリーフ姿のおっさんたちがまだたくさんいるぞ!」

「回収する?」

「いや、スルーよくね? おぱんつのやつらだぜ?」

「だよな」

「草」

「俺達もそうなんだけどさw」

「船も大破まではいってないからまだ戦える」

アレ(リヴァイアサン)どうする?」

「ここまできたら攻めるしかないでしょ」

「取り巻きの数エグイんですけど」

「もう少し援軍が欲しいところだな」

「やっぱりおっさん回収する?」

「おぱんつのやつらだしなぁ……」

「だよな」

「草」

「同じ連盟なのにこの扱いよw」

「回収始めたら全員がこの船に群がることは目に見えているし」

「まぁな」

「すでに群がり始めてる」

「よし、振り切ろう」

「www」

「ブリーフ一丁で人並みの扱い受けようとするほうが悪い」

「つーか、股間だけ海面に浮かべてサメごっことかしてるんだが」

「アウトォー!」

「余裕あるじゃねぇかw」

「マジで近づけちゃダメなやつwww」

「あいつら見捨てて他に援軍呼ぼうぜ」

「幼女みるくはどうした? そろそろ戻ってきてもおかしくないはずだが」

「修理費足りなくてイカダで向かってるってさ」

「何やってんだwww」

「マジで金欠だったんかよw」

「イカダてw」

「あの野郎どもはwww」

「普通に運用してたらギルド資金なくならないだろw」

「1日で3回はぶっ壊すギルドだから」

「どこの偉大なる航路回ってんだよwww」

「だったらもうちょい安い船作れしw」

「相変わらず味方にすると頼りにならねぇなw」

「敵に回すとあそこほどウザイところはないんだが」

「そりゃ幼女みるくだしな」

「ダメだ、頼りになる連中が5町にはいねぇ」


 生き残った人たちでどうするか話していた。

 このままボスを放置したら、釣りイベントに支障が出てしまう。

 今いる人たちでなんとかするしかない。

 ブリーフ姿のおっさんたちは無事にどこかへと流されていきました。

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