親切なギルドの末路
「ヴァニキ! マジで限界!」
「仕方ありません、引き上げましょう」
旋回して大渦から離れていく。
まだあの船にはyagenさんが残されている。
楽しく釣りをする予定だったのに、余計なトラブルに巻き込んでしまった。
あとで謝らないと。
「ん? なんか船尾に釣り糸引っかかってるぞ?」
「誰かのが絡まったか?」
「いや……太ったおっさんが流されてる!?」
「まだ生存者がいたのか!?」
「引っ張れ引っ張れ!」
船尾に人が集まり、誰かを引き上げる。
「し、死ぬかと思いました……」
「yagenさん!」
海藻まみれになったyagenさんが、びちょびちょの状態でヒザをついていた。
ついでに、魚も3匹くらいビチビチしていた。
「なんかカッコイイからという理由で付けた無駄に豪華にした尻尾部分をピンポイントで狙うとは」
「腕のいい釣り師じゃないか」
「健全で安心な優良ギルドO.Panzerへようこそ」
「すぐバレるウソをつくなwww」
「幼女みるくよりはマシじゃない?」
「大丈夫だって。おっさんには一部の人しか手を出さないから」
「優しくするぜ?」
「ひぃ……」
「おい、ノンケに迫るなwww」
「あれ? これって恵比須様の釣りざおじゃね?」
「んぉ?」
「マジで!?」
「そいつはすげぇ!」
「神話級の釣りざおじゃん!」
「釣りガチ勢かよ!」
「ヴァニキでも持ってねーのに」
「ヤバ」
「言われてみれば見た目も恵比須様に似てるような……」
「ありがたやー」
「ありがたやー」
「彼女ください」
「空から女の子が降ってきますように」
「おっぱい吸いつきたい」
「イケメンと結婚できますように」
「拝むな拝むなwww」
「えびす様大繁盛」
「この釣りざおならイベランキング狙えるんじゃね?」
「やったれ恵比寿様!」
「いや、私はゆっくり釣りができればそれでいいので……」
「釣り好きなんですか?」
「ええ、そのためにゲームをやっています」
「リアルでも釣りしてたり?」
「週末はだいたい釣りに出かけてます」
「おおー!」
「ガチだ!」
「いいなぁ、最近全然行けてねぇや」
「恵比寿様! 俺も釣りに連れてって!」
仲良くなっていた。
ちょうどイベント期間だし、釣り好きの人が集まっているのかも。
「あ」
「あー」
「幼女みるく逝ったな」
「大破エフェクト出た」
「南無」
「わりとよく見る光景」
「あそこいっつも船ぶっ壊してね?」
「幼女みるくだしな」
「あいつらの理性にブレーキはねぇから」
「修理費ヤバそう」
「あのクラスの戦艦は無駄に修理費高いからな」
「おぱんつ3も船ぶっ壊して姐さんたちにお仕置きされてたな」
「ああ……うん」
「嫌な事件だったね……」
「我々の業界でも拷問です」
バラバラに崩れた船の破片が、チラッとだけ見えた。
折れたマストにしがみつきながら手を振っている人もいたけど、ここからでは何もできない。
早く大渦が止まってくれることを祈るしかない。
ただ本能に従ってぬるぬるをぶっかけたかっただけなのに……。




