エンゼルフィッシュ
「やっぱ無理だ、渦から出れねぇ」
「終わったwww」
「草」
「大 破 確 定」
大渦の底に向かって流されていく。
どうがんばっても戻れそうにない。
「今月これで船大破5回目www」
「修理費痛すぎるwww」
「もうギルドマネーないから修復できねぇや」
「お前ら金使いすぎなんだよw」
「誰だよ! ギルド資金で合体ロボ作ろうとか言いだしたヤツは!」
「股間キャノン作ろうとしたら運営ビーム食らって草」
「もうポーション買う金すら残ってねぇ」
「連帯責任で上納金を集めるしかねぇか」
「新しいパンティー買っちゃったから無理でござるwww」
「稼ぎは全部アイリたんの貢物に消えてる。後悔はしていない」
「やめてよぉ! 財産はもうこのブリーフとロウソクしか残ってないよ!」
「錬金で作った借金があるから現金持てねーんですわ」
「靴下だけは許してください! 唯一の装備なんです!」
「俺達に全裸になれと言うのか!?」
「そんなこと言うなら全裸でSENRIちゃんを守るしかないじゃない!」
「そうだそうだ! 全裸で近づいちゃうぞ!」
「いいのか!? いいんだな!?」
「心苦しいけどやるっきゃねぇか!」
「うひょーぅ!」
元々そうだった人も、そうじゃない人も、ブリーフ1枚姿になって近づいてきた。
沈没する恐れがあるから、泳ぐ準備をしているのかな?
くいっ。
「?」
背中を引っ張られる。
何かと思って振り返ると……。
「わっ」
空中に浮かび上がった。
船から離れ、弧を描くように飛んでいく。
向かっている先は……1隻の船。
甲板に向かって落下していく。
ぶつかる……!
ガシィ!
誰かが受け止めてくれた。
たくましい腕と、盛り上がった胸筋。
「ヴァニキさん?」
「こんにちは、麗しいお嬢さん」
にっこりと微笑み返す。
理由はよくわからないけど、O.Panzerさんの船まで飛んできたらしい。
「ありがとうございます」
甲板に下ろしてもらい、あらためて周りを確認する。
「よう、嬢ちゃん」
「お久しぶりですSENRIさん。相変わらずしなやかでそそられる指先をしていますね」
B.Caimanや、マグナムゼータさんもいた。
O.Panzerさんの1番艦に来たようだ。
「こんにちは」
周りにいる人たちとあいさつをする。
ヴァニキさんたちがいると心強い。
「あっ」
幼女みるく一番搾りさんの船のほうを見る。
お父さんたちがまだ取り残されている。
ほぼ90度に傾きながら、渦の中心へと流されていった。
「ヴァニキ! これ以上は無理ですぜ! 俺達も飲み込まれちまう!」
「ギリギリまで救助しましょう」
「無茶言いますね! やってやりますとも!」
近くにいる人が釣り針を飛ばしていた。
ボクもこうやって救助されたようだ。
「よし、かかった! フィーッシュ!」
「クロダイいっちょー!」
「灼熱のルースターフィーッシュ獲ったどー!」
りょーちゃんや、パピ∃ンさんも釣られてやってきた。
ざぱーっ。
「鼻の穴が広がるかと思ったぜ」
お父さんは途中で海に落っこちていたらしい。
全身びちょびちょになっていた。
あとはyagenさんだけど……。
「いいルアー持ってんだから自力で飛んでこーい!」
お父さんが叫ぶと、『そんな無茶なー!』と悲鳴が聞こえてきた。
もうかなりの距離が離れてしまったし、釣り針も届かない。
船の姿が完全に見えなくなる。
親切なギルドから親切なギルドへ。




