近接魔法戦士
『イィー!』
スキル硬直中にサハギンが飛び込んできた。
タイミング的に避けられない。
運よく生き残ることを期待するしか……。
ボゥッ!
燃え上がるサハギン。
前のめりに崩れ落ちていく。
その後ろには、短い杖を構えたモヒカンの人の姿があった。
「ありがとうございます、パピ∃ンさん」
「ここは私に任せてください」
別のサハギンの懐に飛び込んでいく。
魔法タイプではあるけど、射程がほぼ0。
近接職のような動きをしている。
特筆すべきは、その攻撃力の高さ。
すべてのサハギンを一撃で倒していた。
4ケタダメージがポンポン出ている。
「あれ? なんか俺達と違うゲームやってね? ダメージ尋常じゃないんだが」
「戦闘職の人ってすごいんですね」
お父さんたちが感心していた。
そろえるのは大変だろうけど、装備さえあれば同じようなダメージは出せると思う。
ただ、射程を完全に捨てて攻撃力に全振りしているから、動きを真似しようと思ってもできそうにない。
魔法の詠唱速度は近接スキルほど速くないので、あの距離で当てるのはかなり難しそう。
『イィー!』
またサハギンがやってきた。
ボクが戦うより、パピ∃ンさんに任せたほうがよさそう。
戦いやすくなるようモンスターの動きを誘導する。
ザシュッ!
りょーちゃんも戻ってきた。
パピ∃ンさんと協力して、周囲のモンスターを減らしていく。
「やっぱりみんな違うゲームしてない? 俺がサハギン殴っても100も出ないぞ?」
「私にとっては戦闘自体が別ゲームですよ」
2人の活躍のおかげで、ひとまず周囲のモンスターはいなくなった。
別の場所では多数のモンスターに襲われている人もいるし、そちらの支援に回る。
『大渦来るぞ! 全艦撤退しろ!』
『ダメだ! 取り巻きの攻撃が激しくてかじが取れねぇ!』
『本艦はもう持たない! あとは任せた!』
『応援を! 応援を頼……あああああ!』
『天使のかかとをなめ回したかった……』
『ワキに吸い付きたいだけの人生だった……』
『思いっきり蹴り上げてほしかった……』
ボスの周りに巨大な渦が現れ、近くの船を次々と飲み込んでいく。
この船も影響を受け、大渦に向かって動き出していた。
『おいおい! 幼女みるく飲み込まれてんじゃねーか!』
『ほら見ろー! 先走るからー!』
『すーぐ先汁出す』
『あいつらなんてどうでもいいけど、俺の天使だけは救出しないと!』
『誰か釣りざおで引っ張り上げて!』
『バカ野郎! 釣り針が天使の肌に引っかかったらどうするんだ!』
『そうだぞ! 仮にスカートに引っかかってみろ!』
『!』
『!』
『!』
『今釣り上げるぜー!』
『鍛え上げたキャスティング能力を見せてやる!!』
『絶対に引っ張り上げてみせる!』
渦に飲み込まれていない船の人たちが、釣り針を飛ばしてくる。
プレイヤーだけでも助けようと動いてくれているらしい。
でも、お互いに動いている状況ではなかなかヒットしない。
どんどん渦の中心に近づいていく。
「やっべ、これ俺らルート入ったんじゃない?」
「ああ、ズッポリと入りそうだ」
「渦にも穴があるんだよな……」
「……ごくり」
「らめぇ! そこは海底に続く穴だよぉ」
「俺の初体験が海底ちゃんとだなんて……///」
「すっごいバキューム! じゅぽじゅぽ音が聞こえてくるのぉ~」
「そんなに激しくされたら壊れちゃう!」
「ああ~~~! イク~~~! 逝っちゃう~~~~!」
危機的状況に思えるけど、幼女みるく一番搾りの人たちは余裕そうだった。
こういった事態に慣れているのかもしれない。
何か対処法でもあるのかな?
どんどん増え続けるモンスターを対処しながら、どうするのか見守る。
前回よりもさらに射程が短くなっております。




